養護者による障害者虐待(十八歳未満の障害者について行われるものを除く。以下この章において同じ。)を受けたと思われる 障害者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。
障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律
第二章 養護者による障害者虐待の防止、養護者に対する支援等
刑法(明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、前項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。
市町村が前条第一項の規定による通報又は次条第一項に規定する届出を受けた場合においては、当該通報 又は届出を受けた 市町村の職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報 又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。
市町村は、第七条第一項の規定による通報 又は障害者からの養護者による障害者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該障害者の安全の確認 その他 当該通報 又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、第三十五条の規定により当該市町村と連携協力する者(以下「市町村障害者虐待対応協力者」という。)と その対応について協議を行うものとする。
市町村は、第七条第一項の規定による通報 又は前項に規定する届出があった場合には、当該通報 又は届出に係る障害者に対する養護者による障害者虐待の防止 及び当該障害者の保護が図られるよう、養護者による障害者虐待により生命 又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる障害者を一時的に保護するため迅速に当該市町村の設置する障害者支援施設 又は障害者の日常生活 及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第六項の厚生労働省令で定める施設(以下「障害者支援施設等」という。)に入所させる等、適切に、身体障害者福祉法(昭和二十四年法律第二百八十三号)第十八条第一項 若しくは第二項 又は知的障害者福祉法(昭和三十五年法律第三十七号)第十五条の四 若しくは第十六条第一項第二号の規定による措置を講ずるものとする。
この場合において、当該障害者が身体障害者福祉法第四条に規定する身体障害者(以下「身体障害者」という。)及び知的障害者福祉法にいう知的障害者(以下「知的障害者」という。)以外の障害者であるときは、当該障害者を身体障害者 又は知的障害者とみなして、身体障害者福祉法第十八条第一項 若しくは第二項 又は知的障害者福祉法第十五条の四 若しくは第十六条第一項第二号の規定を適用する。
市町村長は、第七条第一項の規定による通報 又は第一項に規定する届出があった場合には、当該通報 又は届出に係る障害者に対する養護者による障害者虐待の防止 並びに当該障害者の保護 及び自立の支援が図られるよう、適切に、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和二十五年法律第百二十三号)第五十一条の十一の二 又は知的障害者福祉法第二十八条の規定により審判の請求をするものとする。
市町村は、養護者による障害者虐待を受けた障害者について前条第二項の措置を採るために必要な居室を確保するための措置を講ずるものとする。
市町村長は、養護者による障害者虐待により障害者の生命 又は身体に重大な危険が生じている おそれがあると認めるときは、障害者の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該障害者の住所 又は居所に立ち入り、必要な調査 又は質問をさせることができる。
前項の規定による立入り 及び調査 又は質問を行う場合においては、当該職員は、 その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、 これを提示しなければならない。
第一項の規定による立入り 及び調査 又は質問を行う権限は、犯罪捜査のために認められたものと 解釈してはならない。
市町村長は、前条第一項の規定による立入り 及び調査又は質問をさせようとする場合において、これらの職務の執行に際し 必要があると認めるときは、当該障害者の住所 又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し 援助を求めることができる。
市町村長は、障害者の生命 又は身体の安全の確保に万全を期する観点から、必要に応じ適切に、前項の規定により警察署長に対し 援助を求めなければならない。
警察署長は、第一項の規定による援助の求めを受けた場合において、障害者の生命 又は身体の安全を確保するため必要と認めるときは、速やかに、所属の警察官に、同項の職務の執行を援助するために必要な警察官職務執行法(昭和二十三年法律第百三十六号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。
市町村は、第三十二条第二項第二号に規定するもののほか、養護者の負担の軽減のため、養護者に対する相談、指導 及び助言 その他 必要な措置を講ずるものとする。
市町村は、前項の措置として、養護者の心身の状態に照らし その養護の負担の軽減を図るため緊急の必要があると認める場合に障害者が短期間養護を受けるために必要となる居室を確保するための措置を講ずるものとする。