船長は、船籍港外においては、次に掲げる行為を除き、船舶所有者に代わって航海のために必要な一切の裁判上又は裁判外の行為をする権限を有する。
商法
第二章 船長
船舶について抵当権を設定すること。
船長の代理権に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない。
船長は、やむを得ない事由により自ら船舶を指揮することができない場合には、法令に別段の定めがあるときを除き、自己に代わって船長の職務を行うべき者を選任することができる。
この場合において、船長は、船舶所有者に対してその選任についての責任を負う。
船長は、属具目録を船内に備え置かなければならない。
船長は、航海中に積荷の利害関係人の利益のため必要があるときは、利害関係人に代わり、最もその利益に適合する方法によって、その積荷の処分をしなければならない。
積荷の利害関係人は、前項の処分によりその積荷について債務を負担したときは、当該債務に係る債権者にその積荷について有する権利を移転して、その責任を免れることができる。
ただし、利害関係人に過失があったときは、この限りでない。
船長は、航海を継続するため必要があるときは、積荷を航海の用に供することができる。
第五百七十六条第一項 及び第二項の規定は、前項の場合において船舶所有者が支払うべき償金の額について準用する。
この場合において、
同条第一項中
「引渡し」とあるのは、
「陸揚げ」と
読み替えるものとする。
船長は、海員がその職務を行うについて故意 又は過失によって他人に加えた損害を賠償する責任を負う。
ただし、船長が海員の監督について注意を怠らなかったことを証明したときは、この限りでない。
船長は、遅滞なく、航海に関する重要な事項を船舶所有者に報告しなければならない。
船舶所有者は、いつでも、船長を解任することができる。
前項の規定により解任された船長は、その解任について正当な理由がある場合を除き、船舶所有者に対し、解任によって生じた損害の賠償を請求することができる。
船長が船舶共有者である場合において、その意に反して解任されたときは、船長は、他の船舶共有者に対し、相当の対価で自己の持分を買い取ることを請求することができる。
船長は、前項の規定による請求をしようとするときは、遅滞なく、他の船舶共有者 又は船舶管理人に対してその旨の通知を発しなければならない。