この法律において「公有財産」とは、普通地方公共団体の所有に属する財産のうち次に掲げるもの(基金に属するものを除く。)をいう。
地方自治法
第一款 公有財産
不動産
船舶、浮標、浮桟橋 及び浮ドック 並びに航空機
前二号に掲げる不動産 及び動産の従物
地上権、地役権、鉱業権 その他これらに準ずる権利
特許権、著作権、商標権、実用新案権 その他これらに準ずる権利
株式、社債(特別の法律により設立された法人の発行する債券に表示されるべき権利を含み、短期社債等を除く。)、地方債 及び国債 その他これらに準ずる権利
出資による権利
財産の信託の受益権
前項第六号の「短期社債等」とは、次に掲げるものをいう。
社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号に規定する短期社債
投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第百三十九条の十二第一項に規定する短期投資法人債
信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十四条の四第一項に規定する短期債
保険業法(平成七年法律第百五号)第六十一条の十第一項に規定する短期社債
資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第八項に規定する特定短期社債
農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第六十二条の二第一項に規定する短期農林債
公有財産は、これを行政財産と普通財産とに分類する。
行政財産とは、普通地方公共団体において公用 又は公共用に供し、又は供することと決定した財産をいい、普通財産とは、行政財産以外の一切の公有財産をいう。
普通地方公共団体の長は、公有財産の効率的運用を図るため必要があると認めるときは、委員会 若しくは委員 又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものに対し、公有財産の取得 又は管理について、報告を求め、実地について調査し、又はその結果に基づいて必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
普通地方公共団体の委員会 若しくは委員 又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものは、公有財産を取得し、又は行政財産の用途を変更し、若しくは第二百三十八条の四第二項 若しくは第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の規定による行政財産である土地の貸付け 若しくはこれに対する地上権 若しくは地役権の設定 若しくは同条第七項の規定による行政財産の使用の許可で当該普通地方公共団体の長が指定するものをしようとするときは、あらかじめ当該普通地方公共団体の長に協議しなければならない。
普通地方公共団体の委員会 若しくは委員 又はこれらの管理に属する機関で権限を有するものは、その管理に属する行政財産の用途を廃止したときは、直ちにこれを当該普通地方公共団体の長に引き継がなければならない。
公有財産に関する事務に従事する職員は、その取扱いに係る公有財産を譲り受け、又は自己の所有物と交換することができない。
前項の規定に違反する行為は、これを無効とする。
行政財産は、次項から第四項までに定めるものを除くほか、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、出資の目的とし、若しくは信託し、又はこれに私権を設定することができない。
行政財産は、次に掲げる場合には、その用途 又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は私権を設定することができる。
当該普通地方公共団体以外の者が行政財産である土地の上に政令で定める堅固な建物 その他の土地に定着する工作物であつて当該行政財産である土地の供用の目的を効果的に達成することに資すると認められるものを所有し、又は所有しようとする場合(当該普通地方公共団体と一棟の建物を区分して所有する場合を除く。)において、その者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けるとき。
普通地方公共団体が国、他の地方公共団体 又は政令で定める法人と行政財産である土地の上に一棟の建物を区分して所有するためその者に当該土地を貸し付ける場合
普通地方公共団体が行政財産である土地 及びその隣接地の上に当該普通地方公共団体以外の者と一棟の建物を区分して所有するためその者(当該建物のうち行政財産である部分を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付ける場合
行政財産のうち庁舎 その他の建物 及びその附帯施設 並びにこれらの敷地(以下 この号において「庁舎等」という。)についてその床面積 又は敷地に余裕がある場合として政令で定める場合において、当該普通地方公共団体以外の者(当該庁舎等を管理する普通地方公共団体が当該庁舎等の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該余裕がある部分を貸し付けるとき(前三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)。
行政財産である土地を国、他の地方公共団体 又は政令で定める法人の経営する鉄道、道路 その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地上権を設定するとき。
行政財産である土地を国、他の地方公共団体 又は政令で定める法人の使用する電線路 その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地役権を設定するとき。
前項第二号に掲げる場合において、当該行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該土地の上に所有する一棟の建物の一部(以下 この項 及び次項において「特定施設」という。)を当該普通地方公共団体以外の者に譲渡しようとするときは、当該特定施設を譲り受けようとする者(当該行政財産を管理する普通地方公共団体が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けることができる。
前項の規定は、同項(この項において準用する場合を含む。)の規定により行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該特定施設を譲渡しようとする場合について準用する。
前三項の場合においては、次条第四項 及び第五項の規定を準用する。
第一項の規定に違反する行為は、これを無効とする。
行政財産は、その用途 又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができる。
前項の規定による許可を受けてする行政財産の使用については、借地借家法(平成三年法律第九十号)の規定は、これを適用しない。
第七項の規定により行政財産の使用を許可した場合において、公用 若しくは公共用に供するため必要を生じたとき、又は許可の条件に違反する行為があると認めるときは、普通地方公共団体の長 又は委員会は、その許可を取り消すことができる。
普通財産は、これを貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、若しくは出資の目的とし、又はこれに私権を設定することができる。
普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)は、当該普通地方公共団体を受益者として政令で定める信託の目的により、これを信託することができる。
普通財産のうち国債 その他の政令で定める有価証券(以下 この項において「国債等」という。)は、当該普通地方公共団体を受益者として、指定金融機関 その他の確実な金融機関に国債等をその価額に相当する担保の提供を受けて貸し付ける方法により当該国債等を運用することを信託の目的とする場合に限り、信託することができる。
普通財産を貸し付けた場合において、その貸付期間中に国、地方公共団体 その他公共団体において公用 又は公共用に供するため必要を生じたときは、普通地方公共団体の長は、その契約を解除することができる。
前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによつて生じた損失につきその補償を求めることができる。
普通地方公共団体の長が一定の用途 並びにその用途に供しなければならない期日 及び期間を指定して普通財産を貸し付けた場合において、借受人が指定された期日を経過してもなおこれをその用途に供せず、又はこれをその用途に供した後指定された期間内にその用途を廃止したときは、当該普通地方公共団体の長は、その契約を解除することができる。
第四項 及び第五項の規定は貸付け以外の方法により普通財産を使用させる場合に、前項の規定は普通財産を売り払い、又は譲与する場合に準用する。
第四項から第六項までの規定は、普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)を信託する場合に準用する。
第七項に定めるもののほか 普通財産の売払いに関し必要な事項 及び普通財産の交換に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
旧来の慣行により市町村の住民中特に公有財産を使用する権利を有する者があるときは、その旧慣による。
その旧慣を変更し、又は廃止しようとするときは、市町村の議会の議決を経なければならない。
前項の公有財産をあらたに使用しようとする者があるときは、市町村長は、議会の議決を経て、これを許可することができる。
第二百三十八条の四の規定により普通地方公共団体の長以外の機関がした行政財産を使用する権利に関する処分についての審査請求は、普通地方公共団体の長が当該機関の最上級行政庁でない場合においても、当該普通地方公共団体の長に対してするものとする。
普通地方公共団体の長は、行政財産を使用する権利に関する処分についての審査請求がされた場合には、当該審査請求が不適法であり、却下するときを除き、議会に諮問した上、当該審査請求に対する裁決をしなければならない。
議会は、前項の規定による諮問を受けた日から二十日以内に意見を述べなければならない。
普通地方公共団体の長は、第二項の規定による諮問をしないで同項の審査請求を却下したときは、その旨を議会に報告しなければならない。