漁船損害等補償法

# 昭和二十七年法律第二十八号 #
略称 : 漁船損害等補償法 

第二款 普通損害保険

分類 法律
カテゴリ   水産業
@ 施行日 : 令和四年九月一日 ( 2022年 9月1日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第七十一号
最終編集日 : 2024年 10月17日 19時43分

1項

都道府県知事が当該都道府県の区域のうち漁業協同組合の地区となつている地域を分けて指定する地域(以下「加入区」という。)ごとに、その加入区の区域内に住所を有し、かつ、指定漁船(一年を通じて六十日以上漁業に従事する総トン数百トン未満一トン以上の動力漁船であつて、当該加入区の区域内に主たる根拠地を有するもののうち政令で定めるものをいう。以下同じ。)を所有する者の総員の三分の二以上の者が、政令で定める手続により、当該加入区の区域内に住所を有する指定漁船の所有者(以下「指定漁船所有者」という。)は全てその所有する指定漁船の全部を普通損害保険に付すべきことにつき同意をした場合において、当該同意のあつたことにつき次条第三項の規定による公示があつたときは、指定漁船所有者(当該公示があつた後に指定漁船所有者となつた者を含む。)は、その所有する指定漁船の全部を、政令で定める金額を下らない額を保険金額として、普通損害保険に付さなければならない。


当該漁船についての保険期間が満了したときも、同様とする。

2項

都道府県知事は、前項の規定により加入区を指定するに当たつては、一の漁業協同組合の地区の区域の全部が一の加入区の区域の全部となるように当該指定をしなければならない。


ただし、一の漁業協同組合の地区の区域の一部が他の漁業協同組合の地区の区域の全部 又は一部となつている場合におけるその一の漁業協同組合の地区の区域、その地区の区域が著しく広い漁業協同組合の地区の区域 その他特別の事情のある地域については、漁業協同組合の地区の区域の一部を加入区として指定することができる。

3項

都道府県知事は、次に掲げる場合には、政令で定める場合を除き、当該加入区に係る部分につき、第一項の規定による指定を変更するものとする。

一 号

一の漁業協同組合の地区の区域の全部がその区域の全部となつている加入区について、当該漁業協同組合につき、合併、解散 又は地区の変更があつたことによりその加入区の区域の全部が一の漁業協同組合の地区の区域の全部でなくなつた場合

二 号

一の漁業協同組合の地区の区域の一部がその区域の全部となつている加入区について、その加入区の指定の基礎となつた事情に変更(軽微な変更を除く)があつた場合

4項

都道府県知事は、前項に規定する場合のほか、特に必要があるときは、その必要の限度において、変更を必要とする加入区に係る部分につき、第一項の規定による指定を変更することができる。

5項

第二項の規定は、前二項の規定により加入区についての指定を変更する場合に準用する。

6項

加入区についての第一項の規定による指定 及び第三項 又は第四項の規定による指定の変更は、告示をもつてしなければならない。

7項

第一項の規定により普通損害保険に付すべき漁船が、同項の規定により普通損害保険に付すべきこととなつた場合において、現に普通損害保険、満期保険 若しくは保険会社の普通海上保険に付されているとき、又はその後において満期保険に付され、若しくは当該漁船の使用者により普通損害保険に付されたときには、同項の規定の適用については、当該保険の保険金額の限度において同項の規定により普通損害保険に付されたものとみなす。

1項

前条第一項の規定による同意を求めるには、指定漁船所有者のうち二人以上が発起人とならなければならない。

2項

発起人は、前条第一項の規定による同意があつたと認めるときは、農林水産省令で定める手続により、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

3項

都道府県知事は、前項の規定による届出を受けたときは、これを審査し、前条第一項の規定による同意があつたものと認めるときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに、発起人、関係組合 及び関係漁業協同組合に通知し、当該同意がなかつたものと認めるときは、遅滞なく、その旨を発起人に通知しなければならない。

1項

前条第三項の規定による公示があつた場合において、政令で定めるところにより当該公示に係る加入区の区域内の第百十二条第一項の規定による同意をした者を代表する者が、当該公示に係る加入区の区域の全部 又は一部をその地区の区域の全部 又は一部とする漁業協同組合に対し、当該漁業協同組合の組合員たる指定漁船所有者 又は当該指定漁船の使用者が当該指定漁船につき組合に支払うべき漁船保険の保険料を集収してその者に代わり組合に払い込む事業を行うべき旨の申出をしたときは、当該漁業協同組合は、正当な理由がある場合のほかは、その申出に係る事業を行わなければならない。

2項

前項の規定は、同項の規定による事業を行う漁業協同組合に対し、当該漁業協同組合の組合員から、その所有し、又は所有権以外の権原に基づき使用する指定漁船以外の漁船につき組合に支払うべき漁船保険の保険料を集収してその者に代わり組合に払い込むべき旨の申出があつた場合に準用する。

3項

第一項の規定による事業を行う漁業協同組合は、その組合員以外の者であつてその地区内に住所を有する者がその所有し、又は所有権以外の権原に基づき使用する漁船につき組合に支払うべき漁船保険の保険料についても、これを集収してその者に代わり組合に払い込む事業を行うことができる。

4項

組合は、前三項の規定により保険料の集収 及び払込みをした漁業協同組合に対し、その事務費として、政令で定める金額を交付しなければならない。

5項

第二項 及び第三項の規定は、漁船保険の保険金額が政令で定める金額に達しない漁船については、適用しない

1項

次の各号いずれかに該当する場合には、当該加入区においては、指定漁船を普通損害保険に付すべき義務は、消滅する。

一 号

第百十二条の二第三項の規定による公示があつた加入区(以下この条において「義務加入区」という。)について、その公示の日から起算して四年を経過したとき。

二 号

義務加入区に係る部分につき第百十二条第三項 又は第四項の規定による指定の変更があつたとき。

三 号

義務加入区の区域内の指定漁船所有者が三人未満となつた場合において、当該義務加入区を都道府県知事が公示したとき。

2項

都道府県知事は、前項第一号 又は第二号に掲げる場合において、同項の規定により指定漁船を普通損害保険に付すべき義務が消滅したときは、遅滞なく、その旨を公示するとともに、関係組合 及び関係漁業協同組合に通知しなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項第三号の規定による公示をしたときは、遅滞なく、その旨を関係組合 及び関係漁業協同組合に通知しなければならない。

1項

第百十二条から前条までの規定の適用に関して必要な事項は、政令で定める。

1項

普通損害保険の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、基本部分(特定事故以外の事故により支払われる保険金に係る部分をいう。以下同じ。)及び特定特約部分ごとに定め、当該組合の普通損害保険(満期保険の保険期間の満了前の事故により支払われる保険金に係る部分を含む。以下この条において同じ。)に係る純保険料 及び再保険金の収入と保険金 及び再保険料の支出とが長期的に均衡を保つように定めなければならない。

2項

普通損害保険の基本部分の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、次に掲げる率を合計して得た率としなければならない。

一 号

農林水産大臣が定める期間における各年の普通損害保険の基本部分に係る危険率(次号に規定する異常危険率を除く)を基礎として、農林水産大臣が危険区分(漁船のトン数、漁船の主たる根拠地が属する区域 その他の事項で普通損害保険の基本部分に係る危険の程度に影響を及ぼす要因となるものに応じて、漁船につき農林水産大臣が定める危険の程度の区分をいう。同号において同じ。)ごとに定める率(第百三十九条第一項第一号において「通常純保険料率」という。

二 号

異常危険率(前号の農林水産大臣が定める期間における各年の普通損害保険の基本部分に係る台風 その他の異常な天然現象に基づき算出される危険率であつて、農林水産大臣が定める標準危険率を超えるものをいう。)を基礎として、農林水産大臣が危険区分ごとに定める率(第百三十九条第一項第二号において「異常純保険料率」という。

3項

普通損害保険の特定特約部分の保険料率のうち純保険料に対応する部分の率は、当該特定特約部分に係る危険率を基礎として農林水産大臣が定める率としなければならない。

1項

普通損害保険の保険期間は、一年とする。


ただし次条第一項ただし書の特約をする場合における当該特約に係る保険期間は、四月とする。

2項

前項の規定にかかわらず、組合は、農林水産省令で定めるところにより、保険約款で別段の定めをすることができる。

1項

組合は、普通損害保険の保険の目的たる漁船につき、事故によつて生じた損害を塡補する。


ただし、特定事故については、特約がなければ、これによつて生じた損害を塡補する責めを負わない。

2項

前項の規定により塡補すべき損害の範囲に関して必要な事項は、農林水産省令で定める。

1項

組合員は、普通損害保険の保険の目的たる漁船につき、保険期間中組合が負担した危険が消滅したときは、政令で定めるところにより、保険料の一部の払戻しを請求することができる。

1項

組合の普通損害保険については、保険法第十条 及び第九十五条の規定を準用する。


この場合において、

同条第二項中
「保険料を請求する権利」とあるのは、
「保険料を請求する権利 及び追徴金を請求する権利」と

読み替えるものとする。