市町村長は、その区域内に存する特定農業用ため池について、現に管理上必要な措置が講じられておらず、かつ、引き続き管理上必要な措置が講じられないことが確実であると見込まれる場合であって、相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお当該特定農業用ため池の所有者(数人の共有に属する特定農業用ため池にあっては、当該特定農業用ため池について二分の一を超える持分を有する者。次条第一項第三号において同じ。)を確知することができないときは、農林水産省令で定めるところにより、都道府県知事に対し、当該特定農業用ため池の施設管理権(当該特定農業用ため池の所有者のために当該特定農業用ため池の操作、維持、修繕 その他の管理を行う権利をいう。以下同じ。)の設定に関し裁定を申請することができる。
農業用ため池の管理及び保全に関する法律
第四章 裁定による特定農業用ため池の管理
特定農業用ため池の所有者、特定農業用ため池から農業用水の供給を受ける者 その他の利害関係人は、当該特定農業用ため池について、前項の規定による申請をすべき旨をその所在地を管轄する市町村長に申し出ることができる。
都道府県知事は、前条第一項の規定による申請があったときは、農林水産省令で定めるところにより、次に掲げる事項を公告するとともに、当該申請に係る特定農業用ため池が数人の共有に属する場合であって、その所有者の一部が確知されているときは、当該確知されている所有者にこれを通知するものとする。
当該特定農業用ため池について、所有者を確知することができない旨
当該特定農業用ため池の所有者は、公告の日から起算して六月以内に、農林水産省令で定めるところにより、その権原を証する書面を添えて、都道府県知事に申し出て、当該申請について異議を述べることができる旨
都道府県知事は、前項第四号に規定する期間を経過した後でなければ、裁定をしてはならない。
都道府県知事は、第十三条第一項の規定による申請に係る特定農業用ため池について、前条第一項第四号の規定による申出の内容、当該特定農業用ため池の自然的社会的諸条件 その他の事情を考慮して、引き続き管理上必要な措置が講じられないことによりその保全上著しい支障が生ずるおそれがあり、かつ、当該特定農業用ため池の施設管理権を当該申請をした市町村長に設定することが必要かつ適当と認めるときは、施設管理権を設定すべき旨の裁定をするものとする。
前項の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
市町村長が設定を受ける施設管理権の始期
市町村長が設定を受ける施設管理権の存続期間
市町村長が設定を受ける施設管理権に基づいて行う措置の内容
第一項の裁定は、前項第一号から第四号までに掲げる事項については申請の範囲を超えないものとし、同項第三号に規定する存続期間については二十年を限度として定めるものとする。
都道府県知事は、前条第一項の裁定をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、遅滞なく、その旨を当該裁定の申請をした市町村長に通知するとともに、これを公告するものとする。
当該裁定についての審査請求に対する裁決によって当該裁定の内容が変更されたときも、同様とする。
前条第一項の裁定について前項の規定による公告があったときは、当該裁定の定めるところにより、市町村長は、当該特定農業用ため池についての施設管理権を取得し、当該特定農業用ため池に関するその他の権利は、市町村長による当該施設管理権に基づく措置のため必要な限度においてその行使を制限される。
市町村長は、農林水産省令で定めるところにより、前条第一項の裁定に係る特定農業用ため池の管理に要する費用を当該特定農業用ため池の所有者から徴収することができる。
市町村長は、前条第一項の裁定に係る特定農業用ため池の管理に関し特に必要があると認めるときは、当該特定農業用ため池の施設管理権に基づく措置の一部を土地改良区その他の者に行わせることができる。
前条第二項の規定により施設管理権の設定を受けた市町村長は、第十五条第一項の裁定において定められた施設管理権の存続期間を延長して当該裁定に係る特定農業用ため池の管理を行おうとするときは、当該存続期間の満了の日の九月前から六月前までの間に、都道府県知事に対し、当該特定農業用ため池の施設管理権の存続期間の延長についての裁定を申請することができる。
第十三条第二項 及び第十四条の規定は、前項の規定による申請について準用する。
この場合において、
同条第一項第四号中
「六月」とあるのは、
「三月」と
読み替えるものとする。
都道府県知事は、第一項の規定による申請をした市町村長の有する特定農業用ため池の施設管理権の存続期間を延長することが当該特定農業用ため池の管理のため必要かつ適当であると認めるときは、その必要の限度において、当該特定農業用ため池の施設管理権の存続期間の延長についての裁定をするものとする。
第十五条第二項 及び第三項 並びに前条の規定は、前項の裁定について準用する。
この場合において、
第十五条第二項中
「次に掲げる事項」とあるのは
「次に掲げる事項(第二号に掲げる事項を除く。)」と、
同項第三号中
「存続期間」とあるのは
「存続期間を延長する期間 及び当該延長後の存続期間」と、
同条第三項中
「前項第一号から第四号まで」とあるのは
「前項第一号、第三号 及び第四号」と、
「存続期間」とあるのは
「存続期間を延長する期間」と
読み替えるものとする。