障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律

# 平成二十三年法律第七十九号 #
略称 : 障害者虐待防止法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和四年六月二十二日 ( 2022年 6月22日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七十七号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項

この法律は、障害者に対する虐待が障害者の尊厳を害するものであり、障害者の自立 及び社会参加にとって障害者に対する虐待を防止することが極めて重要であること等に鑑み、障害者に対する虐待の禁止、障害者虐待の予防 及び早期発見 その他の障害者虐待の防止等に関する国等の責務、障害者虐待を受けた障害者に対する保護 及び自立の支援のための措置、養護者の負担の軽減を図ること等の養護者に対する養護者による障害者虐待の防止に資する支援(以下「養護者に対する支援」という。)のための措置等を定めることにより、障害者虐待の防止、養護者に対する支援等に関する施策を促進し、もって障害者の権利利益の擁護に資することを目的とする。

1項

この法律において「障害者」とは、障害者基本法昭和四十五年法律第八十四号第二条第一号に規定する障害者をいう。

2項

この法律において「障害者虐待」とは、養護者による障害者虐待、障害者福祉施設従事者等による障害者虐待 及び使用者による障害者虐待をいう。

3項

この法律において「養護者」とは、障害者を現に養護する者であって障害者福祉施設従事者等 及び使用者以外のものをいう。

4項

この法律において「障害者福祉施設従事者等」とは、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律平成十七年法律第百二十三号第五条第十一項に規定する障害者支援施設(以下「障害者支援施設」という。)若しくは独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園法平成十四年法律第百六十七号)第十一条第一号の規定により独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみの園が設置する施設(以下「のぞみの園」という。)(以下「障害者福祉施設」という。)又は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第五条第一項に規定する障害福祉サービス事業、同条第十八項に規定する一般相談支援事業 若しくは特定相談支援事業、同条第二十六項に規定する移動支援事業、同条第二十七項に規定する地域活動支援センターを経営する事業 若しくは同条第二十八項に規定する福祉ホームを経営する事業 その他厚生労働省令で定める事業(以下「障害福祉サービス事業等」という。)に係る業務に従事する者をいう。

5項

この法律において「使用者」とは、障害者を雇用する事業主(当該障害者が派遣労働者(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律昭和六十年法律第八十八号第二条第二号に規定する派遣労働者をいう。以下同じ。)である場合において当該派遣労働者に係る労働者派遣(同条第一号に規定する労働者派遣をいう。)の役務の提供を受ける事業主 その他これに類するものとして政令で定める事業主を含み、国 及び地方公共団体を除く。以下同じ。)又は事業の経営担当者 その他 その事業の労働者に関する事項について事業主のために行為をする者をいう。

6項

この法律において「養護者による障害者虐待」とは、次のいずれかに該当する行為をいう。

一 号

養護者がその養護する障害者について行う次に掲げる行為

障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること。

障害者にわいせつな行為をすること 又は障害者をしてわいせつな行為をさせること。

障害者に対する著しい暴言 又は著しく拒絶的な対応その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

障害者を衰弱させるような著しい減食 又は長時間の放置、養護者以外の同居人によるイからハまでに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。

二 号

養護者 又は障害者の親族が当該障害者の財産を不当に処分すること その他 当該障害者から不当に財産上の利益を得ること。

7項

この法律において「障害者福祉施設従事者等による障害者虐待」とは、障害者福祉施設従事者等が、当該障害者福祉施設に入所し、その他 当該障害者福祉施設を利用する障害者 又は当該障害福祉サービス事業等に係るサービスの提供を受ける障害者について行う次のいずれかに該当する行為をいう。

一 号

障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること。

二 号

障害者にわいせつな行為をすること 又は障害者をしてわいせつな行為をさせること。

三 号

障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応 又は不当な差別的言動 その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

四 号

障害者を衰弱させるような著しい減食 又は長時間の放置、当該障害者福祉施設に入所し、その他 当該障害者福祉施設を利用する他の障害者 又は当該障害福祉サービス事業等に係るサービスの提供を受ける他の障害者による前三号に掲げる行為と同様の行為の放置 その他の障害者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。

五 号

障害者の財産を不当に処分すること その他障害者から不当に財産上の利益を得ること。

8項

この法律において「使用者による障害者虐待」とは、使用者が当該事業所に使用される障害者について行う次のいずれかに該当する行為をいう。

一 号

障害者の身体に外傷が生じ、若しくは生じるおそれのある暴行を加え、又は正当な理由なく障害者の身体を拘束すること。

二 号

障害者にわいせつな行為をすること 又は障害者をしてわいせつな行為をさせること。

三 号

障害者に対する著しい暴言、著しく拒絶的な対応 又は不当な差別的言動 その他の障害者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。

四 号

障害者を衰弱させるような著しい減食 又は長時間の放置、当該事業所に使用される 他の労働者による前三号に掲げる行為と同様の行為の放置 その他 これらに準ずる行為を行うこと。

五 号

障害者の財産を不当に処分すること その他障害者から不当に財産上の利益を得ること。

1項

何人も、障害者に対し、 虐待をしてはならない。

1項

国 及び地方公共団体は、障害者虐待の予防 及び早期発見 その他の障害者虐待の防止、障害者虐待を受けた障害者の迅速かつ適切な保護 及び自立の支援 並びに適切な養護者に対する支援を行うため、関係省庁相互間 その他関係機関 及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援 その他 必要な体制の整備に努めなければならない。

2項

国 及び地方公共団体は、障害者虐待の防止、障害者虐待を受けた障害者の保護 及び自立の支援 並びに養護者に対する支援が専門的知識に基づき適切に行われるよう、これらの職務に携わる専門的知識 及び技術を有する人材 その他 必要な人材の確保 及び資質の向上を図るため、関係機関の職員の研修等必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

3項

国 及び地方公共団体は、障害者虐待の防止、障害者虐待を受けた障害者の保護 及び自立の支援 並びに養護者に対する支援に資するため、障害者虐待に係る通報義務、人権侵犯事件に係る救済制度等について必要な広報 その他の啓発活動を行うものとする。

1項

国民は、 障害者虐待の防止、養護者に対する支援等の重要性に関する理解を深めるとともに、国 又は地方公共団体が講ずる 障害者虐待の防止、養護者に対する支援等のための施策に協力するよう努めなければならない。

1項

国 及び地方公共団体の障害者の福祉に関する事務を所掌する部局 その他の関係機関は、障害者虐待を発見しやすい立場にあることに鑑み、相互に緊密な連携を図りつつ、障害者虐待の早期発見に努めなければならない。

2項

障害者福祉施設、学校、医療機関、保健所 その他 障害者の福祉に業務上関係のある団体 並びに障害者福祉施設従事者等、学校の教職員、医師、歯科医師、保健師、弁護士 その他 障害者の福祉に職務上関係のある者 及び使用者は、障害者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、障害者虐待の早期発見に努めなければならない。

3項

前項に規定する者は、国 及び地方公共団体が講ずる障害者虐待の防止のための啓発活動 並びに障害者虐待を受けた障害者の保護 及び自立の支援のための施策に協力するよう努めなければならない。