アイヌの人々の誇りが尊重される社会を実現するための施策の推進に関する法律

# 平成三十一年法律第十六号 #
略称 : アイヌ施策推進法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   文化
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 06月23日 06時05分


1項

この法律は、日本列島北部周辺、とりわけ北海道の先住民族であるアイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統 及びアイヌ文化(以下「アイヌの伝統等」という。)が置かれている状況 並びに近年における先住民族をめぐる国際情勢に鑑み、アイヌ施策の推進に関し、基本理念、国等の責務、政府による基本方針の策定、民族共生象徴空間構成施設の管理に関する措置、市町村特別区を含む。以下同じ。)によるアイヌ施策推進地域計画の作成 及びその内閣総理大臣による認定、当該認定を受けたアイヌ施策推進地域計画に基づく事業に対する特別の措置、アイヌ政策推進本部の設置等について定めることにより、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現を図り、もって全ての国民が相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に資することを目的とする。

1項

この法律において「アイヌ文化」とは、アイヌ語 並びにアイヌにおいて継承されてきた生活様式、音楽、舞踊、工芸 その他の文化的所産 及びこれらから発展した文化的所産をいう。

2項

この法律において「アイヌ施策」とは、アイヌ文化の振興 並びにアイヌの伝統等に関する知識の普及 及び啓発(以下「アイヌ文化の振興等」という。)並びにアイヌの人々が民族としての誇りを持って生活するためのアイヌ文化の振興等に資する環境の整備に関する施策をいう。

3項

この法律において「民族共生象徴空間構成施設」とは、民族共生象徴空間(アイヌ文化の振興等の拠点として国土交通省令・文部科学省令で定める場所に整備される国有財産法昭和二十三年法律第七十三号第三条第二項に規定する行政財産をいう。)を構成する施設(その敷地を含む。)であって、国土交通省令・文部科学省令で定めるものをいう。

1項

アイヌ施策の推進は、アイヌの人々の民族としての誇りが尊重されるよう、アイヌの人々の誇りの源泉であるアイヌの伝統等 並びに我がを含む国際社会において重要な課題である多様な民族の共生 及び多様な文化の発展についての国民の理解を深めることを旨として、行われなければならない。

2項

アイヌ施策の推進は、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができるよう、アイヌの人々の自発的意思の尊重に配慮しつつ、行われなければならない。

3項

アイヌ施策の推進は、地方公共団体 その他の関係する者の相互の密接な連携を図りつつ、アイヌの人々が北海道のみならず全国において生活していることを踏まえて全国的な視点に立って行われなければならない。

1項

何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別すること その他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。

1項

及び地方公共団体は、前二条に定める基本理念にのっとり、アイヌ施策を策定し、及び実施する責務を有する。

2項

及び地方公共団体は、アイヌ文化を継承する者の育成について適切な措置を講ずるよう努めなければならない。

3項

及び地方公共団体は、教育活動、広報活動 その他の活動を通じて、アイヌに関し、国民の理解を深めるよう努めなければならない。

4項

は、アイヌ文化の振興等に資する調査研究を推進するよう努めるとともに、地方公共団体が実施するアイヌ施策を推進するために必要な助言 その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

1項

国民は、アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、及びその誇りが尊重される社会の実現に寄与するよう努めるものとする。