予算執行職員等の責任に関する法律

昭和二十五年法律第百七十二号
略称 : 予責法 
分類 法律
カテゴリ   財務通則
@ 施行日 : 令和元年十二月十六日 ( 2019年 12月16日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第十六号による改正
最終編集日 : 2024年 04月28日 20時04分

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1項
この法律は、予算執行職員の責任を明確にして、法令 又は予算に違反した支出等の行為をすることを防止し、もつて国の予算の執行の適正化を図ることを目的とする。
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1項

この法律において「予算執行職員」とは、次に掲げる職員をいう。

一 号

会計法昭和二十二年法律第三十五号第十三条第三項に規定する支出負担行為担当官会計法

二 号

会計法第十三条の三第四項に規定する支出負担行為認証官

三 号

会計法第二十四条第四項に規定する支出官

四 号

会計法第十七条の規定により資金の交付を受ける職員

五 号

会計法第二十条の規定に基き繰替使用をさせることを命ずる職員

六 号

会計法第二十九条の二第三項に規定する契約担当官

七 号

前各号に掲げる者の分任官

八 号

前各号に掲げる者の代理官

九 号

会計法第四十六条の三第二項の規定により第一号から第三号まで 又は前三号に掲げる者の事務の一部を処理する職員

十 号

会計法第二十九条の十一第四項の規定に基づき契約に係る監督 又は検査を行なうことを命ぜられた職員

十一 号

会計法第四十八条の規定により前各号に掲げる者の事務を行う都道府県の知事 又は知事の指定する職員

十二 号

前各号に掲げる者から、政令で定めるところにより、補助者としてその事務の一部を処理することを命ぜられた職員

2項

この法律において「法令」とは、財政法昭和二十二年法律第三十四号)、会計法 その他国の経理に関する事務を処理するための法律 及び命令をいう。

3項

この法律において「支出等の行為」とは、国の債務負担の原因となる契約 その他の行為、支出負担行為の確認 又は認証(会計法第十三条の二の規定による支出負担行為の確認 及び同法第十三条の四の規定による支出負担行為の認証をいう。)、支出、支払、会計法第二十条の規定に基く繰替使用をさせることの命令 及び同法第二十九条の契約 並びに小切手、小切手帳 及び印鑑の保管、帳簿の記帳、報告等国の予算の執行に関連して行われるべき行為(会計法第四十一条第一項の規定による弁償責任の対象となる行為を除く)をいう。

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1項

予算執行職員は、法令に準拠し、且つ、予算で定めるところに従い、それぞれの職分に応じ、支出等の行為をしなければならない。

2項

予算執行職員は、故意 又は重大な過失に因り前項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたときは、弁償の責に任じなければならない。

3項

前項の場合において、その損害が二人以上の予算執行職員が前項の支出等の行為をしたことにより生じたものであるときは、当該予算執行職員は、それぞれの職分に応じ、且つ、当該行為が当該損害の発生に寄与した程度に応じて弁償の責に任ずるものとする。

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1項

会計検査院は、予算執行職員が故意 又は重大な過失に因り前条第一項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたと認めるときは、その事実があるかどうかを審理し、弁償責任の有無 及び弁償額を検定する。


但し、その事実の発生した日から三年を経過したときは、この限りでない。

2項

会計検査院が弁償責任があると検定したときは、予算執行職員の任命権者(国家公務員法昭和二十二年法律第百二十号第五十五条第一項に規定する任命権者をいい、当該予算執行職員が都道府県の職員である場合にあつては、都道府県知事とする。以下同じ。)は、その検定に従つて、弁償を命じなければならない。

3項

各省各庁の長(財政法第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。以下同じ。)は、予算執行職員が故意 又は重大な過失に因り前条第一項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたと認めるときは、会計検査院の検定前においても、その予算執行職員に対して弁償を命ずることができる。

4項

各省各庁の長は、予算執行職員が前条第一項の規定に違反して支出等の行為をした事実があると認めるときは、遅滞なく、財務大臣 及び会計検査院に通知しなければならない。

5項

第三項の場合において、各省各庁の長は、会計検査院が予算執行職員に対し弁償の責がないと検定したときは、その既納に係る弁償金を直ちに還付しなければならない。

6項

前項の規定により還付する弁償金には、当該弁償金納付のときから還付のときまでの期間に応じ、当該金額に対し財務大臣が納付のときから還付のときまでの期間における銀行の一般貸付利率を勘案して決定する率を乗じて計算した額に相当する金額を加算しなければならない。

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1項

会計検査院は、前条第一項の規定による予算執行職員の弁償責任の検定後において、その検定が不当であることを発見したとき、又は各省各庁の長 若しくは予算執行職員がその責を免かれる理由があると信じ、その理由を明らかにする書類 及び計算書を作成し、証拠書類を添え、書面をもつて再審の請求をしたときは、その都度再検定をしなければならない。


ただし、請求に基いて再検定をする場合において、当該請求が検定のあつた日から五年を経過した日後にされたときは、この限りでない。

2項

会計検査院は、前項の規定による再検定のための審理をする場合において、各省各庁の長 又は予算執行職員から請求があつたときは、口頭審理を行わなければならない。


口頭審理は、当該職員から請求があつたときは、公開して行わなければならない。

3項
各省各庁の長 又はその代理官 及び予算執行職員は、すべての口頭審理に出席し、自己の代理人として弁護人を選任し、陳述を行い、証人を出席させ、並びに書類、計算書 その他のあらゆる適切な事実 及び資料を提出することができる。
4項

前項に掲げる者以外の者は、当該事案に関し、会計検査院に対し、あらゆる事実 及び資料を提出することができる。

5項

前条第一項本文、第二項第五項 及び第六項の規定は、第一項の場合に準用する。


この場合において、

前条第五項
第三項の場合において、各省各庁の長は、」とあるのは
「各省各庁の長は、」と

読み替えるものとする。

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1項

会計検査院は、検査 又は検定(前条第一項に規定する再検定を含む。)の結果、予算執行職員が故意 又は過失に因り第三条第一項の規定に違反して支出等の行為をしたことにより国に損害を与えたと認めるとき、又は国に損害を与えないが故意 又は重大な過失に因り同項の規定に違反して支出等の行為をしたと認めるときは、当該職員の任命権者に対し、当該職員の懲戒処分を要求することができる。


この場合において、会計検査院は、適当と認める処分の種類 及び内容を参考のため明示するものとする。

2項

会計検査院は、前項の規定により懲戒処分の要求をしたときは、その旨を人事院に通知しなければならない。

3項

任命権者は、第一項の規定による懲戒処分の要求を受けたときは、当該職員に対し その懲戒処分をすることが適当かどうかを直ちに調査してこれについて措置するとともにその結果を会計検査院 及び人事院に通知しなければならない。

4項

会計検査院は、第一項の規定による予算執行職員の懲戒処分を要求した後において、その要求が不当であることを発見したとき、又は当該職員の任命権者からその要求が不当であるとして再審の請求を受け実情を調査した結果、その要求が不当であることが明らかになつたときは、直ちにこれを取り消さなければならない。

5項

第二項の規定 及び第三項の規定中人事院に対する通知に関する部分は、予算執行職員が都道府県の職員である場合には、適用しない

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1項

第四条第一項本文(第五条第五項において準用する場合を含む。)の規定による弁償責任は、国会の議決に基かなければ減免されない。

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1項

予算執行職員は、その上司から第三条第一項の規定に違反すると認められる支出等の行為をすることの要求を受けたときは、書面をもつて、その理由を明らかにし、当該上司を経て任命権者(当該上司が任命権者(宮内庁長官 及び外局の長であるものを除く)である場合にあつては直ちに任命権者、当該上司が宮内庁長官 又は外局の長である任命権者である場合にあつては各省各庁の長)にその支出等の行為をすることができない旨の意見を表示しなければならない。

2項

予算執行職員が前項の規定によつて意見の表示をしたにもかかわらず、更に、上司が当該職員に対し同一の支出等の行為をすべき旨の要求をしたときは、その支出等の行為に基く弁償責任は、その要求をした上司が負うものとする。

3項

第四条第一項 及び第二項第五条 並びに前条の規定は、前項の場合に準用する。

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1項

沖縄振興開発金融公庫(以下「公庫」という。)の理事長(以下「公庫の長」という。)から公庫の予算執行の職務を行う者として指定された者(以下「公庫予算執行職員」という。)は、公庫の経理に関する事務を処理するための法律 及び命令の規定、公庫の定款 並びに公庫の経理に関する規程(以下「公庫に関する法令」という。)に準拠し、かつ、予算で定めるところに従い、それぞれの職分に応じ、公庫において行う第二条第三項に規定する支出等の行為に相当する行為(以下「公庫の支出等の行為」という。)をしなければならない。

2項

第三条第二項 及び第三項 並びに第四条から前条までの規定は、前項の公庫予算執行職員について準用する。


ただし、国家公務員法の適用を受けない公庫予算執行職員については、第六条第二項の規定 及び第三項の規定中人事院に対する通知に関する部分は、この限りでない。

3項

前項の場合において、

同項に掲げる準用規定中
予算執行職員」とあるのは
「公庫予算執行職員」と、

法令」とあるのは
「公庫に関する法令」と、

」とあるのは
「公庫」と、

支出等の行為」とあるのは
「公庫の支出等の行為」と、

各省各庁の長」とあるのは
「公庫の長」と、

任命権者」とあるのは
「公庫の長 又は公庫の職員の任免を行う権限を有する者」と、

懲戒処分」とあるのは、
公庫予算執行職員で国家公務員法 その他の法律による懲戒処分の規定の適用を受けないものにあつては「公庫の長の行う懲戒処分に相当する処分」と、

第四条第四項
財務大臣」とあるのは
「主務大臣、財務大臣」と

読み替えるものとする。

4項

公庫の長は、公庫予算執行職員を指定したときは、遅滞なく、主務大臣、財務大臣 及び会計検査院に通知しなければならない。

5項

公庫予算執行職員がその職務の執行に関し疑義のある事項について会計検査院に意見を求めたときは、会計検査院は、これに対し意見を表示しなければならない。

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1項

公庫において、公庫の長 又はその委任を受けた者から現金の出納保管をつかさどることを命ぜられた職員(以下「公庫の現金出納職員」という。)は、公庫に関する法令の定めるところにより、現金を出納保管しなければならない。

2項

公庫の現金出納職員が、その保管に係る現金を亡失した場合において、善良な管理者の注意を怠つたときは、公庫に対し弁償の責を免かれることができない

3項

会計法第四十一条第二項第四十二条第四十三条 並びに会計検査院法第三十二条第一項 及び第三項から第五項までの規定は、前項の場合に準用する。


この場合において、

当該準用規定中
出納官吏」とあるのは
「公庫の現金出納職員」と、

各省各庁の長」とあるのは
「公庫の長」と、

財務大臣」とあるのは
「主務大臣、財務大臣」と、

」とあるのは
「公庫」と、

本属長官」とあるのは
「公庫の長」と

読み替えるものとする。

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1項

公庫において、公庫の長 又はその委任を受けた者から公庫の物品の管理の職務を行う者として指定された者(以下「公庫の物品管理職員」という。)は、公庫に関する法令に準拠するほか、善良な管理者の注意をもつて公庫の物品を管理しなければならない。

2項

物品管理法第三十一条から第三十三条まで 及び会計検査院法第三十二条第二項から第五項までの規定は、公庫の物品管理職員について準用する。


この場合において、

これらの規定中
この法律」とあり、又は「物品管理法(昭和三十一年法律第百十三号)」とあるのは
予算執行職員等の責任に関する法律第十一条第一項」と、

」とあるのは
「公庫」と、

各省各庁の長」とあり、又は「本属長官」とあるのは
「公庫の長」と、

財務大臣」とあるのは
「主務大臣、財務大臣」と

読み替えるものとする。

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1項

第五条第一項 又は第八条第一項これらの規定を第九条第二項において準用する場合を含む。次条において同じ。)の規定により作成することとされている書類については、当該書類に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして財務大臣が定めるもの(第五条第一項の規定による書類については会計検査院規則をもつて定めるもの)をいう。次条第一項において同じ。)の作成をもつて、当該書類の作成に代えることができる。


この場合において、当該電磁的記録は、当該書類とみなす。

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1項

第五条第一項 又は第八条第一項の規定による書類の提出については、当該書類が電磁的記録で作成されている場合には、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であつて財務大臣が定めるもの(第五条第一項の規定による書類の提出については会計検査院規則をもつて定めるもの)をいう。次項において同じ。)をもつて行うことができる。

2項

第五条第一項 又は第八条第一項の規定による書類の提出が前項の規定により電磁的方法によつて行われたときは、当該書類の提出を受けるべき者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該提出を受けるべき者に到達したものとみなす。

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