仲裁法

# 平成十五年法律第百三十八号 #

第二十四条 # 暫定保全措置

@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第十五号による改正

1項
仲裁廷は、当事者間に別段の合意がない限り、仲裁判断があるまでの間、その一方の申立てにより、他方の当事者に対し、次に掲げる措置を講ずることを命ずることができる。
一 号
金銭の支払を目的とする債権について、強制執行をすることができなくなるおそれがあるとき、又は強制執行をするのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに、当該金銭の支払をするために必要な財産の処分 その他の変更を禁止すること。
二 号

財産上の給付(金銭の支払を除く)を求める権利について、当該権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は当該権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに、当該給付の目的である財産の処分 その他の変更を禁止すること。

三 号
紛争の対象となる物 又は権利関係について、申立てをした当事者に生ずる著しい損害 又は急迫の危険を避けるため、当該損害 若しくは当該危険の発生を防止し、若しくはその防止に必要な措置をとり、又は変更が生じた当該物 若しくは権利関係について変更前の原状の回復をすること。
四 号

仲裁手続における審理を妨げる行為を禁止すること(次号に掲げるものを除く)。

五 号
仲裁手続の審理のために必要な証拠について、その廃棄、消去 又は改変 その他の行為を禁止すること。
2項

前項の申立て(同項第五号に係るものを除く)をするときは、保全すべき権利 又は権利関係 及びその申立ての原因となる事実を疎明しなければならない。

3項

仲裁廷は、第一項各号に掲げる措置を講ずることを命ずる命令(以下「暫定保全措置命令」という。)を発するに際し、必要があると認めるときは、相当な担保を提供すべきことを命ずることができる。

4項

保全すべき権利 若しくは権利関係 又は第一項の申立ての原因を欠くことが判明し、又はこれを欠くに至ったとき その他の事情の変更があったときは、仲裁廷は、申立てにより、暫定保全措置命令を取り消し、変更し、又はその効力を停止することができる。

5項

前項の規定によるほか、仲裁廷は、特別の事情があると認めるときは、当事者にあらかじめ通知した上で、職権で、暫定保全措置命令を取り消し、変更し、又はその効力を停止することができる。

6項

仲裁廷は、第四項の事情の変更があったと思料するときは、当事者に対し、速やかに当該事情の変更の有無 及び当該事情の変更があったときはその内容を開示することを命ずることができる。

7項

暫定保全措置命令の申立てをした者(次項において「申立人」という。)が前項の規定による命令に従わないときは、第四項の規定の適用については、同項の事情の変更があったものとみなす。

8項

仲裁廷は、第四項 又は第五項の規定により暫定保全措置命令を取り消し、変更し、又はその効力を停止した場合において、申立人の責めに帰すべき事由により暫定保全措置命令を発したと認めるときは、暫定保全措置命令を受けた者の申立てにより、当該申立人に対し、これにより当該暫定保全措置命令を受けた者が受けた損害の賠償を命ずることができる。


ただし、当事者間に別段の合意がある場合は、この限りでない。

9項

前項の規定による命令は、仲裁判断としての効力を有する。

10項

第三十九条の規定は第八項の規定による命令について、同条第一項 及び第三項の規定は暫定保全措置命令 その他のこの条の規定による命令(第八項の規定による命令を除く)又は決定について、それぞれ準用する。