仲裁廷は、仲裁合意の存否 又は効力に関する主張についての判断 その他自己の仲裁権限(仲裁手続における審理 及び仲裁判断を行う権限をいう。以下この条において同じ。)の有無についての判断を示すことができる。
仲裁法
第四章 仲裁廷の特別の権限
仲裁手続において、仲裁廷が仲裁権限を有しない旨の主張は、その原因となる事由が仲裁手続の進行中に生じた場合にあってはその後 速やかに、その他の場合にあっては本案についての最初の主張書面の提出の時(口頭審理において口頭で最初に本案についての主張をする時を含む。)までに、しなければならない。
ただし、仲裁権限を有しない旨の主張の遅延について正当な理由があると仲裁廷が認めるときは、この限りでない。
当事者は、仲裁人を選任し、又は仲裁人の選任について推薦 その他これに類する関与をした場合であっても、前項の主張をすることができる。
仲裁廷は、適法な第二項の主張があったときは、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める決定 又は仲裁判断により、当該主張に対する判断を示さなければならない。
自己が仲裁権限を有する旨の判断を示す場合
仲裁判断前の独立の決定 又は仲裁判断
自己が仲裁権限を有しない旨の判断を示す場合
仲裁手続の終了決定
仲裁廷が仲裁判断前の独立の決定において自己が仲裁権限を有する旨の判断を示したときは、当事者は、当該決定の通知を受けた日から三十日以内に、裁判所に対し、当該仲裁廷が仲裁権限を有するかどうかについての判断を求める申立てをすることができる。
この場合において、当該申立てに係る事件が裁判所に係属する場合であっても、当該仲裁廷は、仲裁手続を続行し、かつ、仲裁判断をすることができる。
財産上の給付(金銭の支払を除く。)を求める権利について、当該権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は当該権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに、当該給付の目的である財産の処分 その他の変更を禁止すること。
仲裁手続における審理を妨げる行為を禁止すること(次号に掲げるものを除く。)。
前項の申立て(同項第五号に係るものを除く。)をするときは、保全すべき権利 又は権利関係 及びその申立ての原因となる事実を疎明しなければならない。
仲裁廷は、第一項各号に掲げる措置を講ずることを命ずる命令(以下「暫定保全措置命令」という。)を発するに際し、必要があると認めるときは、相当な担保を提供すべきことを命ずることができる。
保全すべき権利 若しくは権利関係 又は第一項の申立ての原因を欠くことが判明し、又はこれを欠くに至ったとき その他の事情の変更があったときは、仲裁廷は、申立てにより、暫定保全措置命令を取り消し、変更し、又はその効力を停止することができる。
前項の規定によるほか、仲裁廷は、特別の事情があると認めるときは、当事者にあらかじめ通知した上で、職権で、暫定保全措置命令を取り消し、変更し、又はその効力を停止することができる。
仲裁廷は、第四項の事情の変更があったと思料するときは、当事者に対し、速やかに当該事情の変更の有無 及び当該事情の変更があったときはその内容を開示することを命ずることができる。
暫定保全措置命令の申立てをした者(次項において「申立人」という。)が前項の規定による命令に従わないときは、第四項の規定の適用については、同項の事情の変更があったものとみなす。
仲裁廷は、第四項 又は第五項の規定により暫定保全措置命令を取り消し、変更し、又はその効力を停止した場合において、申立人の責めに帰すべき事由により暫定保全措置命令を発したと認めるときは、暫定保全措置命令を受けた者の申立てにより、当該申立人に対し、これにより当該暫定保全措置命令を受けた者が受けた損害の賠償を命ずることができる。
ただし、当事者間に別段の合意がある場合は、この限りでない。
前項の規定による命令は、仲裁判断としての効力を有する。
第三十九条の規定は第八項の規定による命令について、同条第一項 及び第三項の規定は暫定保全措置命令 その他のこの条の規定による命令(第八項の規定による命令を除く。)又は決定について、それぞれ準用する。