会社法

# 平成十七年法律第八十六号 #

第四節の二 特別支配株主の株式等売渡請求

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和五年六月十四日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号による改正
最終編集日 : 2024年 10月13日 07時55分


1項

株式会社の特別支配株主(株式会社の総株主の議決権の十分の九これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)以上を当該株式会社以外の者 及び当該者が発行済株式の全部を有する株式会社 その他これに準ずるものとして法務省令で定める法人(以下 この条 及び次条第一項において「特別支配株主完全子法人」という。)が有している場合における当該者をいう。以下同じ。)は、当該株式会社の株主(当該株式会社 及び当該特別支配株主を除く)の全員に対し、その有する当該株式会社の株式の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる。


ただし、特別支配株主完全子法人に対しては、その請求をしないことができる。

2項

特別支配株主は、前項の規定による請求(以下 この章 及び第八百四十六条の二第二項第一号において「株式売渡請求」という。)をするときは、併せて、その株式売渡請求に係る株式を発行している株式会社(以下「対象会社」という。)の新株予約権の新株予約権者(対象会社 及び当該特別支配株主を除く)の全員に対し、その有する対象会社の新株予約権の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求することができる。


ただし、特別支配株主完全子法人に対しては、その請求をしないことができる。

3項

特別支配株主は、新株予約権付社債に付された新株予約権について前項の規定による請求(以下「新株予約権売渡請求」という。)をするときは、併せて、新株予約権付社債についての社債の全部を当該特別支配株主に売り渡すことを請求しなければならない。


ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権について別段の定めがある場合は、この限りでない。

1項

株式売渡請求は、次に掲げる事項を定めてしなければならない。

一 号

特別支配株主完全子法人に対して株式売渡請求をしないこととするときは、その旨 及び当該特別支配株主完全子法人の名称

二 号

株式売渡請求によりその有する対象会社の株式を売り渡す株主(以下「売渡株主」という。)に対して当該株式(以下この章において「売渡株式」という。)の対価として交付する金銭の額 又はその算定方法

三 号

売渡株主に対する前号の金銭の割当てに関する事項

四 号

株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求(その新株予約権売渡請求に係る新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合における前条第三項の規定による請求を含む。以下同じ。)をするときは、その旨 及び次に掲げる事項

特別支配株主完全子法人に対して新株予約権売渡請求をしないこととするときは、その旨 及び当該特別支配株主完全子法人の名称

新株予約権売渡請求によりその有する対象会社の新株予約権を売り渡す新株予約権者(以下「売渡新株予約権者」という。)に対して当該新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合において、前条第三項の規定による請求をするときは、当該新株予約権付社債についての社債を含む。以下 この編において「売渡新株予約権」という。)の対価として交付する金銭の額 又はその算定方法

売渡新株予約権者に対するの金銭の割当てに関する事項

五 号

特別支配株主が売渡株式(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、売渡株式 及び売渡新株予約権。以下「売渡株式等」という。)を取得する日(以下 この節において「取得日」という。

六 号

前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

2項

対象会社が種類株式発行会社である場合には、特別支配株主は、対象会社の発行する種類の株式の内容に応じ、前項第三号に掲げる事項として、同項第二号の金銭の割当てについて売渡株式の種類ごとに異なる取扱いを行う旨 及び当該異なる取扱いの内容を定めることができる。

3項

第一項第三号に掲げる事項についての定めは、売渡株主の有する売渡株式の数(前項に規定する定めがある場合にあっては、各種類の売渡株式の数)に応じて金銭を交付することを内容とするものでなければならない。

1項

特別支配株主は、株式売渡請求(株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、株式売渡請求 及び新株予約権売渡請求。以下「株式等売渡請求」という。)をしようとするときは、対象会社に対し、その旨 及び前条第一項各号に掲げる事項を通知し、その承認を受けなければならない。

2項

対象会社は、特別支配株主が株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をしようとするときは、新株予約権売渡請求のみを承認することはできない

3項

取締役会設置会社が第一項の承認をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければならない。

4項

対象会社は、第一項の承認をするか否かの決定をしたときは、特別支配株主に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。

1項

対象会社は、前条第一項の承認をしたときは、取得日の二十日前までに次の各号に掲げる者に対し、当該各号に定める事項を通知しなければならない。

一 号

売渡株主(特別支配株主が株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、売渡株主 及び売渡新株予約権者。以下 この節において「売渡株主等」という。)当該承認をした旨、特別支配株主の氏名 又は名称 及び住所、第百七十九条の二第一項第一号から第五号までに掲げる事項 その他法務省令で定める事項

二 号

売渡株式の登録株式質権者(特別支配株主が株式売渡請求に併せて新株予約権売渡請求をする場合にあっては、売渡株式の登録株式質権者 及び売渡新株予約権の登録新株予約権質権者(第二百七十条第一項に規定する登録新株予約権質権者をいう。 )当該承認をした旨

2項

前項の規定による通知(売渡株主に対してするものを除く)は、公告をもってこれに代えることができる。

3項

対象会社が第一項の規定による通知 又は前項の公告をしたときは、特別支配株主から売渡株主等に対し、株式等売渡請求がされたものとみなす。

4項

第一項の規定による通知 又は第二項の公告の費用は、特別支配株主の負担とする。

1項

対象会社は、前条第一項第一号の規定による通知の日 又は同条第二項の公告の日のいずれか早い日から取得日後六箇月対象会社が公開会社でない場合にあっては、取得日後一年)を経過する日までの間、次に掲げる事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。

一 号

特別支配株主の氏名 又は名称 及び住所

二 号

第百七十九条の二第一項各号に掲げる事項

三 号

第百七十九条の三第一項の承認をした旨

四 号

前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

2項

売渡株主等は、対象会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。


ただし第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該対象会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 号

前項の書面の閲覧の請求

二 号

前項の書面の謄本 又は抄本の交付の請求

三 号

前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 号

前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって対象会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求

1項

特別支配株主は、第百七十九条の三第一項の承認を受けた後は、取得日の前日までに対象会社の承諾を得た場合に限り、売渡株式等の全部について株式等売渡請求を撤回することができる。

2項

取締役会設置会社が前項の承諾をするか否かの決定をするには、取締役会の決議によらなければならない。

3項

対象会社は、第一項の承諾をするか否かの決定をしたときは、特別支配株主に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。

4項

対象会社は、第一項の承諾をしたときは、遅滞なく、売渡株主等に対し、当該承諾をした旨を通知しなければならない。

5項

前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。

6項

対象会社が第四項の規定による通知 又は前項の公告をしたときは、株式等売渡請求は、売渡株式等の全部について撤回されたものとみなす。

7項

第四項の規定による通知 又は第五項の公告の費用は、特別支配株主の負担とする。

8項

前各項の規定は、新株予約権売渡請求のみを撤回する場合について準用する。


この場合において、

第四項
売渡株主等」とあるのは、
「売渡新株予約権者」と

読み替えるものとする。

1項

次に掲げる場合において、売渡株主が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡株主は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る売渡株式等の全部の取得をやめることを請求することができる。

一 号
株式売渡請求が法令に違反する場合
二 号

対象会社が第百七十九条の四第一項第一号売渡株主に対する通知に係る部分に限る) 又は第百七十九条の五の規定に違反した場合

三 号

第百七十九条の二第一項第二号 又は第三号に掲げる事項が対象会社の財産の状況 その他の事情に照らして著しく不当である場合

2項

次に掲げる場合において、売渡新株予約権者が不利益を受けるおそれがあるときは、売渡新株予約権者は、特別支配株主に対し、株式等売渡請求に係る渡株式等の全部の取得をやめることを請求することができる。

一 号

新株予約権売渡請求が法令に違反する場合

二 号

対象会社が第百七十九条の四第一項第一号売渡新株予約権者に対する通知に係る部分に限る) 又は第百七十九条の五の規定に違反した場合

三 号

第百七十九条の二第一項第四号ロ 又はに掲げる事項が対象会社の財産の状況 その他の事情に照らして著しく不当である場合

1項

株式等売渡請求があった場合には、売渡株主等は、取得日の二十日前の日から取得日の前日までの間に、裁判所に対し、その有する売渡株式等の売買価格の決定の申立てをすることができる。

2項

特別支配株主は、裁判所の決定した売買価格に対する取得日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。

3項

特別支配株主は、売渡株式等の売買価格の決定があるまでは、売渡株主等に対し、当該特別支配株主が公正な売買価格と認める額を支払うことができる。

1項

株式等売渡請求をした特別支配株主は、取得日に、売渡株式等の全部を取得する。

2項

前項の規定により特別支配株主が取得した売渡株式等が譲渡制限株式 又は譲渡制限新株予約権(第二百四十三条第二項第二号に規定する譲渡制限新株予約権をいう。)であるときは、対象会社は、当該特別支配株主が当該売渡株式等を取得したことについて、第百三十七条第一項 又は第二百六十三条第一項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。

1項

対象会社は、取得日後 遅滞なく、株式等売渡請求により特別支配株主が取得した売渡株式等の数 その他の株式等売渡請求に係る売渡株式等の取得に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面 又は電磁的記録を作成しなければならない。

2項

対象会社は、取得日から六箇月間対象会社が公開会社でない場合にあっては、取得日から一年間)、前項の書面 又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。

3項

取得日に売渡株主等であった者は、対象会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。


ただし第二号 又は第四号に掲げる請求をするには、当該対象会社の定めた費用を支払わなければならない。

一 号

前項の書面の閲覧の請求

二 号

前項の書面の謄本 又は抄本の交付の請求

三 号

前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求

四 号

前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって対象会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求