刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律

# 平成十七年法律第五十号 #
略称 : 刑事施設法  刑事収容施設法  刑事被収容者処遇法 

第六節 保健衛生及び医療

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 07月23日 17時12分


1項

刑事施設においては、被収容者の心身の状況を把握することに努め、被収容者の健康 及び刑事施設内の衛生を保持するため、社会一般の保健衛生 及び医療の水準に照らし適切な保健衛生上 及び医療上の措置を講ずるものとする。

1項

被収容者には、日曜日 その他法務省令で定める日を除き、できる限り戸外で、その健康を保持するため適切な運動を行う機会を与えなければならない。


ただし、公判期日への出頭 その他の事情により刑事施設の執務時間内にその機会を与えることができないときは、この限りでない。

1項

被収容者は、身体、着衣 及び所持品 並びに居室 その他日常使用する場所を清潔にしなければならない。

1項

被収容者には、法務省令で定めるところにより、刑事施設における保健衛生上適切な入浴を行わせる。

1項

受刑者には、法務省令で定めるところにより、調髪 及びひげそりを行わせる。

2項

刑事施設の長は、受刑者が自弁により調髪を行いたい旨の申出をした場合において、その者の処遇上適当と認めるときは、これを許すことができる。

3項

刑事施設の長は、受刑者以外の被収容者が調髪 又はひげそりを行いたい旨の申出をした場合には、法務省令で定めるところにより、これを許すものとする。

1項

刑事施設の長は、被収容者に対し、その刑事施設における収容の開始後 速やかに、及び毎年一回以上定期的に、法務省令で定めるところにより、健康診断を行わなければならない。


刑事施設における保健衛生上必要があるときも、同様とする。

2項

被収容者は、前項の規定による健康診断を受けなければならない。


この場合においては、その健康診断の実施のため必要な限度内における採血、エックス線撮影 その他の医学的処置を拒むことはできない

1項

刑事施設の長は、被収容者が次の各号いずれかに該当する場合には、速やかに、刑事施設の職員である医師等(医師 又は歯科医師をいう。以下同じ。)による診療(栄養補給の処置を含む。以下同じ。)を行い、その他必要な医療上の措置を執るものとする。


ただし第一号に該当する場合において、その者の生命に危険が及び、又は他人にその疾病を感染させるおそれがないときは、その者の意思に反しない場合に限る。

一 号

負傷し、若しくは疾病にかかっているとき、又はこれらの疑いがあるとき。

二 号
飲食物を摂取しない場合において、その生命に危険が及ぶおそれがあるとき。
2項

刑事施設の長は、前項に規定する場合において、傷病の種類 又は程度等に応じ必要と認めるときは、刑事施設の職員でない医師等による診療を行うことができる。

3項

刑事施設の長は、前二項の規定により診療を行う場合において、必要に応じ被収容者を刑事施設の外の病院 又は診療所に通院させ、やむを得ないときは被収容者を刑事施設の外の病院 又は診療所に入院させることができる。

1項

刑事施設の長は、負傷し、又は疾病にかかっている被収容者が、刑事施設の職員でない医師等を指名して、その診療を受けることを申請した場合において、傷病の種類 及び程度、刑事施設に収容される前にその医師等による診療を受けていたこと その他の事情に照らして、その被収容者の医療上適当であると認めるときは、刑事施設内において、自弁によりその診療を受けることを許すことができる。

2項

刑事施設の長は、前項の規定による診療を受けることを許す場合において、同項の診療を行う医師等(以下この条において「指名医」という。)の診療方法を確認するため、又はその後にその被収容者に対して刑事施設において診療を行うため必要があるときは、刑事施設の職員をしてその診療に立ち会わせ、若しくはその診療に関して指名医に質問させ、又は診療録の写し その他のその診療に関する資料の提出を求めることができる。

3項

指名医は、その診療に際し、刑事施設の長が法務省令で定めるところにより指示する事項を遵守しなければならない。

4項

刑事施設の長は、第一項の規定による診療を受けることを許した場合において、その指名医が、第二項の規定により刑事施設の長が行う措置に従わないとき、前項の規定により刑事施設の長が指示する事項を遵守しないとき、その他その診療を継続することが不適当であるときは、これを中止し、以後、その指名医の診療を受けることを許さないことができる。

1項

刑事施設の長は、刑事施設内における感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要がある場合には、被収容者に対し、第六十一条の規定による健康診断 又は第六十二条の規定による診療 その他必要な医療上の措置を執るほか、予防接種、当該疾病を感染させるおそれがなくなるまでの間の隔離 その他法務省令で定める措置を執るものとする。

1項

刑事施設の長は、老人、妊産婦、身体虚弱者 その他の養護を必要とする被収容者について、その養護を必要とする事情に応じ、傷病者のための措置に準じた措置を執るものとする。

2項

刑事施設の長は、被収容者が出産するときは、やむを得ない場合を除き、刑事施設の外の病院、診療所 又は助産所に入院させるものとする。

1項

刑事施設の長は、女子の被収容者がその子を刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、相当と認めるときは、その子が一歳に達するまで、これを許すことができる。

2項

刑事施設の長は、被収容者が、前項の規定により養育され一歳に達した子について、引き続いて刑事施設内で養育したい旨の申出をした場合において、その被収容者の心身の状況に照らして、又はその子を養育する上で、特に必要があるときは、引き続き六月間に限り、これを許すことができる。

3項

被収容者が前二項の規定により子を養育している場合には、その子の養育に必要な物品を貸与し、又は支給する。

4項

前項に規定する場合において、被収容者が、その子の養育に必要な物品について、自弁のものを使用し、若しくは摂取し、又はその子に使用させ、若しくは摂取させたい旨の申出をした場合には、刑事施設の規律 及び秩序の維持 その他管理運営上支障がない限り、これを許すものとする。

5項

被収容者が第一項 又は第二項の規定により養育している子については、被収容者の例により、健康診断、診療 その他の必要な措置を執るものとする。