商法施行規則

平成十四年法務省令第二十二号
分類 府令・省令
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和五年十二月二十七日 ( 2023年 12月27日 )
@ 最終更新 : 令和五年法務省令第四十九号による改正
最終編集日 : 2024年 07月25日 08時43分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 商人

  • 第三章 商業帳簿

  • 第四章 匿名組合

  • 第五章 仲立営業

  • 第六章 運送営業等

制定に関する表明

商法明治三十二年法律第四十八号)、商法中改正法律施行法昭和十三年法律第七十三号)、有限会社法昭和十三年法律第七十四号)及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律昭和四十九年法律第二十二号)並びに商法及び有限会社法の関係規定に基づく電磁的方法による情報の提供等に関する承諾の手続等を定める政令平成十四年政令第二十号)の規定に基づき、商法施行規則を次のように定める。

第一章 総則

1項

この規則は、商法明治三十二年法律第四十八号)の委任に基づく事項を定めることを目的とする。

1項

この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 号

商人

商法第四条第一項に規定する商人(同条第二項により商人とみなされる者を含み、法人 その他の団体を除く)をいう。

二 号

商業帳簿

商法第十九条第二項に規定する商業帳簿をいう。

三 号

貸借対照表

商法第十九条第二項の規定により商人が作成すべき貸借対照表をいう。

四 号

電磁的記録

商法第五百三十九条第一項第二号に規定する電磁的記録をいう。

五 号

電磁的方法

商法第五百七十一条第二項に規定する電磁的方法をいう。

第二章 商人

1項

商法第七条に規定する法務省令で定める財産の価額は、営業の用に供する財産につき最終の営業年度に係る貸借対照表(最終の営業年度がない場合にあっては、開業時における貸借対照表)に計上した額とする。

2項

商法第七条に規定する法務省令で定める金額は、五十万円とする。

第三章 商業帳簿

1項

商法第十九条第二項の規定により作成すべき商業帳簿については、この章の定めるところによる。

2項

この章の用語の解釈 及び規定の適用に関しては、一般に公正妥当と認められる会計の基準 その他の会計の慣行を斟酌しなければならない。

3項
商業帳簿は、書面 又は電磁的記録をもって作成 及び保存をすることができる。
1項

商人の会計帳簿に計上すべき資産については、この省令 又は商法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、その取得価額を付さなければならない。


ただし、取得価額を付すことが適切でない資産については、営業年度の末日(営業年度の末日以外の日において評価すべき場合にあっては、その日。以下この章において同じ。)における時価 又は適正な価格を付すことができる。

2項

償却すべき資産については、営業年度の末日において、相当の償却をしなければならない。

3項

次の各号に掲げる資産については、営業年度の末日において当該各号に定める価格を付すべき場合には、当該各号に定める価格を付さなければならない。

一 号

営業年度の末日における時価がその時の取得原価より著しく低い資産(当該資産の時価がその時の取得原価まで回復すると認められるものを除く

営業年度の末日における時価

二 号

営業年度の末日において予測することができない減損が生じた資産 又は減損損失を認識すべき資産

その時の取得原価から相当の減額をした額

4項

取立不能のおそれのある債権については、営業年度の末日においてその時に取り立てることができないと見込まれる額を控除しなければならない。

5項

商人の会計帳簿に計上すべき負債については、この省令 又は商法以外の法令に別段の定めがある場合を除き、債務額を付さなければならない。


ただし、債務額を付すことが適切でない負債については、時価 又は適正な価格を付すことができる。

6項
のれんは、有償で譲り受けた場合に限り、資産 又は負債として計上することができる。
1項

貸借対照表に係る事項の金額は、一円単位、千円単位 又は百万円単位をもって表示するものとする。

2項

貸借対照表は、日本語をもって表示するものとする。


ただし、その他の言語をもって表示することが不当でない場合は、この限りでない。

1項

商人は、その開業時における貸借対照表を作成しなければならない。


この場合においては、開業時の会計帳簿に基づき作成しなければならない。

2項

商人は、各営業年度に係る貸借対照表を作成しなければならない。


この場合においては、当該営業年度に係る会計帳簿に基づき作成しなければならない。

3項

各営業年度に係る貸借対照表の作成に係る期間は、当該営業年度の前営業年度の末日の翌日(当該営業年度の前営業年度がない場合にあっては、開業の日)から当該営業年度の末日までの期間とする。


この場合において、当該期間は、一年営業年度の末日を変更する場合における変更後の最初の営業年度については、一年六箇月)を超えることができない

1項

貸借対照表は、次に掲げる部に区分して表示しなければならない。

一 号
資産
二 号
負債
三 号
純資産
2項

前項各号に掲げる部は、適当な項目に細分することができる。


この場合において、当該各項目については、資産、負債 又は純資産を示す適当な名称を付さなければならない。

第四章 匿名組合

1項

商法第五百三十九条第一項第二号に規定する法務省令で定めるものは、電子計算機に備えられたファイル 又は電磁的記録媒体(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって電子計算機による情報処理の用に供されるものに係る記録媒体をいう。以下同じ。)をもって調製するファイルに情報を記録したものとする。

2項

商法第五百三十九条第一項第二号に規定する法務省令で定める方法は、同号の電磁的記録に記録された事項を紙面 又は映像面に表示する方法とする。

第五章 仲立営業

1項

民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律平成十六年法律第百四十九号。以下「電子文書法」という。第四条第一項の主務省令で定める作成(電子文書法第二条第六号に規定する作成をいう。以下この章において同じ。)は、商法第五百四十六条第一項に規定する結約書の作成 及び同法第五百四十七条第一項の帳簿の作成とする。

2項

民間事業者等(電子文書法第二条第一号に規定する民間事業者等をいう。以下この章において同じ。)が前項の作成を行う場合は、その使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法 又は電磁的記録媒体をもって調製する方法により作成を行わなければならない。

3項

第一項の場合における電子文書法第四条第三項に規定する氏名 又は名称を明らかにする措置であって法務省令で定めるものは、当該署名等をすべき者による電子署名(電子署名及び認証業務に関する法律平成十二年法律第百二号第二条第一項に規定する電子署名をいう。)とする。

1項

電子文書法第六条第一項の主務省令で定める交付等(電子文書法第二条第九号に規定する交付等をいう。以下この章において同じ。)は、商法第五百四十六条第一項 及び第二項 並びに第五百四十七条第二項の交付とする。

2項

民間事業者等が、電子文書法第六条第一項の規定に基づき、前項の交付に代えて当該書面に係る電磁的記録の交付等を行う場合は、次に掲げる方法により行わなければならない。

一 号

電子情報処理組織を使用する方法のうち 又はに掲げるもの

民間事業者等の使用に係る電子計算機と交付等の相手方の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法

民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された当該交付等に係る事項を電気通信回線を通じて交付等の相手方の閲覧に供し、当該相手方の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該事項を記録する方法(電子文書法第六条第一項に規定する方法による交付等を受ける旨の承諾 又は受けない旨の申出をする場合にあっては、民間事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法

二 号
電磁的記録媒体をもって調製するファイルに当該交付等に係る事項を記録したものを交付する方法
3項

前項に掲げる方法は、交付等の相手方がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものでなければならない。

4項

第二項の場合における民間事業者等が行う書面の保存等における情報通信の技術の利用に関する法律施行令平成十七年政令第八号第二条第一項の規定により示すべき方法の種類 及び内容は、次に掲げる事項とする。

一 号

第二項に掲げる方法のうち民間事業者等が使用するもの

二 号
ファイルへの記録の方式

第六章 運送営業等

1項

次に掲げる規定に規定する事項を電磁的方法により提供しようとする者(次項において「提供者」という。)は、あらかじめ、当該事項の提供の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類 及び内容を示し、書面 又は電磁的方法による承諾を得なければならない。

一 号

商法第五百七十一条第二項

二 号

商法第七百七十条第三項

2項

前項の規定による承諾を得た提供者は、同項の相手方から書面 又は電磁的方法により電磁的方法による事項の提供を受けない旨の申出があったときは、当該相手方に対し、当該事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。


ただし、当該相手方が再び同項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。

3項

第一項の規定により示すべき電磁的方法の種類 及び内容は、次に掲げるものとする。

一 号
次に掲げる方法のうち、送信者が使用するもの
電子情報処理組織を使用する方法のうち次に掲げるもの
(1)
送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
(2)
送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法
送信者が使用するファクシミリ装置と受信者が使用するファクシミリ装置とを接続する電気通信回線を通じて送信する方法
二 号

前号イ 又はに掲げる方法を使用する場合にあっては、ファイルへの記録の方式

1項

商法第五百七十一条第二項に規定する電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものは、次に掲げる方法とする。

一 号

電子情報処理組織を使用する方法のうち 又はに掲げるもの

送信者の使用に係る電子計算機と受信者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
送信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された情報の内容を電気通信回線を通じて情報の提供を受ける者の閲覧に供し、当該情報の提供を受ける者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該情報を記録する方法
二 号
電磁的記録媒体をもって調製するファイルに情報を記録したものを交付する方法
三 号
送信者が使用するファクシミリ装置と受信者が使用するファクシミリ装置とを接続する電気通信回線を通じて送信する方法
2項

前項第一号 又は第二号に掲げる方法は、受信者がファイルへの記録を出力することにより書面を作成することができるものでなければならない。