送出移送は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、これをすることができる。
国際受刑者移送法
第三章 送出移送
送出受刑者の同意がないとき。
送出移送犯罪に係る行為が執行国内において行われたとした場合において、その行為が執行国の法令によれば罪に当たるものでないとき。
送出移送犯罪について刑事訴訟法第三百五十条の請求 又は送出移送犯罪に係る事件について上訴権回復 若しくは再審の請求 若しくは非常上告の手続が日本国の裁判所に係属するとき。
送出移送犯罪について特赦の出願 若しくは上申がなされ、又は送出移送犯罪に係る確定裁判において言い渡された懲役 若しくは禁錮について減刑 若しくは刑の執行の免除の出願 若しくは上申がなされ、その手続が終了していないとき。
送出移送犯罪に係る懲役 又は禁錮の確定裁判において罰金、没収 又は追徴が併科されている場合において、その執行を終わらず、又は執行を受けないこととなっていないとき。
送出移送犯罪以外の罪に係る事件が日本国の裁判所に係属するとき、又はその事件について送出受刑者が日本国の裁判所において刑に処せられ、その執行を終わらず、若しくは執行を受けないこととなっていないとき。
刑事施設の長は、当該刑事施設に収容されている締約国の国民等に対して言い渡された懲役 又は禁錮の裁判が確定したときは、速やかに、その者に対し条約に定める事項のうち重要なものを告知しなければならない。
締約国の国民等が懲役 又は禁錮の裁判を言い渡され その確定裁判の執行のため刑事施設に収容されたときも、同様とする。
法務大臣は、送出受刑者が送出移送の申出をした場合において、条約に基づき日本国が当該送出受刑者の執行国となるべき国に対し行うこととされる通知をしたときは、当該送出受刑者に書面でその旨を通知しなければならない。
送出受刑者は、第二十八条第一号の同意をするときは、その収容されている刑事施設の長 又はその指定する職員の立会いの下に、法務省令で定める事項を記載した書面に署名押印しなければならない。
刑事施設の長は、送出受刑者が前項の書面に署名押印したときは、速やかに、当該書面を法務大臣に提出しなければならない。
刑事施設の長は、締約国の大使、公使、領事官 その他領事任務を遂行する者 又は締約国が指定する当該締約国の公務員が、条約に基づき送出受刑者が送出移送に同意しているかどうかを確認するためにその者との接見を求めるときは、これを許さなければならない。
前項の接見は、法令の範囲内で行うものとする。
法務大臣は、第二十八条各号のいずれにも該当せず、かつ、相当であると認めるときは、執行国に対し送出移送の要請をすることができる。
法務大臣は、前項の要請をしようとするときは、あらかじめ外務大臣の意見を聴かなければならない
法務大臣は、執行国から送出移送の要請があった場合において第二十八条各号のいずれにも該当しないとき、又は前条第一項の規定により執行国に対し送出移送の要請をした場合において執行国から要請に応ずる旨の通知があったときは、送出移送の決定をしなければならない。
ただし、送出移送をすることが相当でないと認めるときは、この限りでない。
法務大臣は、前項の決定をしたときは、送出受刑者が収容されている刑事施設の長に対し、当該決定に係る引渡しを命じなければならない。
法務大臣は、第一項ただし書の規定により送出移送をしないこととするときは、あらかじめ外務大臣と協議しなければならない。
法務大臣は、第三十三条第一項の規定により執行国に対し送出移送の要請をしたとき及び前条第二項の規定により引渡しの命令をしたときは、当該送出受刑者に書面でその旨を通知しなければならない。
執行国から要請があった場合 又は第三十一条第一項の規定に基づく送出受刑者の同意があった場合において、送出移送をしないこととしたときも、同様とする。
逃亡犯罪人引渡法(昭和二十八年法律第六十八号)第十六条第一項、第三項 及び第四項、第十九条第一項、第二十条第一項 並びに第二十一条の規定は、第三十四条第二項の命令により送出受刑者を執行国に引き渡す場合について準用する。
この場合において、
同法第十六条第一項中
「第十四条第一項の規定による引渡の命令」とあり、
及び同法第二十条第一項中
「第十七条第一項 又は第五項の規定による逃亡犯罪人の引渡の指揮」とあるのは
「国際受刑者移送法第三十四条第二項の命令」と、
同法第十六条第四項中
「逃亡犯罪人の氏名、引渡犯罪名、請求国の名称、引渡の場所、引渡の期限 及び発付の年月日」とあるのは
「国際受刑者移送法第二条第十号の送出受刑者(以下「送出受刑者」という。)の氏名、年齢、国籍、同法第二条第八号の執行国(以下「執行国」という。)の名称、同法第二条第十二号の送出移送犯罪の名称、刑名、刑期、引渡日 及び引渡しの場所」と、
同法第十九条第一項中
「第十六条第三項」とあるのは
「国際受刑者移送法第三十六条の規定により準用される逃亡犯罪人引渡法第十六条第三項」と、
同法第十九条第一項、第二十条第一項 及び第二十一条中
「請求国」とあるのは
「執行国」と、
同法第二十条第一項中
「示して逃亡犯罪人の」とあるのは
「示して送出受刑者の」と、
「逃亡犯罪人を」とあるのは
「送出受刑者を」と、
同法第二十一条中
「前条第一項」とあるのは
「国際受刑者移送法第三十六条の規定により準用される逃亡犯罪人引渡法第二十条第一項」と、
「逃亡犯罪人」とあるのは
「送出受刑者」と
読み替えるものとする。
送出移送犯罪に係る確定裁判において言い渡された懲役 又は禁錮の執行は、執行国においてその執行の共助が終わった日の午前零時に応当する日本国における時刻の属する日に終了したものとする。
法務大臣は、送出受刑者が第三十四条第二項の命令により執行国に引き渡された後に、その者について次の各号のいずれかの事由が生じた場合には、直ちに、執行国にその旨を通知しなければならない。
刑事訴訟法第三百五十条の請求、上訴権回復、再審、非常上告 又は同法第五百二条の申立ての手続により、送出移送犯罪に係る懲役 若しくは禁錮の確定裁判の執行をすることができなくなったとき、
又は刑の種類 若しくは送出受刑者を拘禁することができる最終日に変更が生じたとき。
送出移送犯罪について大赦、特赦 若しくは政令による減刑 又は送出移送犯罪に係る確定裁判において言い渡された懲役 若しくは禁錮について減刑 若しくは刑の執行の免除があったとき。