地球温暖化対策の推進に関する法律

# 平成十年法律第百十七号 #
略称 : 温対法  地球温暖化対策推進法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   環境保全
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十六号による改正
最終編集日 : 2023年 08月16日 08時52分


1項
この法律は、地球温暖化が地球全体の環境に深刻な影響を及ぼすものであり、気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させ地球温暖化を防止することが人類共通の課題であり、全ての者が自主的かつ積極的にこの課題に取り組むことが重要であることに鑑み、地球温暖化対策に関し、地球温暖化対策計画を策定するとともに、社会経済活動 その他の活動による温室効果ガスの排出の量の削減等を促進するための措置を講ずること等により、地球温暖化対策の推進を図り、もって現在 及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することを目的とする。
1項

この法律において「地球温暖化」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスが大気中の温室効果ガスの濃度を増加させることにより、地球全体として、地表、大気 及び海水の温度が追加的に上昇する現象をいう。

2項

この法律において「地球温暖化対策」とは、温室効果ガスの排出の量の削減 並びに吸収作用の保全 及び強化(以下「温室効果ガスの排出の量の削減等」という。)その他の国際的に協力して地球温暖化の防止を図るための施策をいう。

3項

この法律において「温室効果ガス」とは、次に掲げる物質をいう。

一 号
二酸化炭素
二 号
メタン
三 号
一酸化二窒素
四 号
ハイドロフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
五 号
パーフルオロカーボンのうち政令で定めるもの
六 号
六ふっ化硫黄
七 号
三ふっ化窒素
4項

この法律において「温室効果ガスの排出」とは、人の活動に伴って発生する温室効果ガスを大気中に排出し、放出し 若しくは漏出させ、又は他人から供給された電気 若しくは熱(燃料 又は電気を熱源とするものに限る)を使用することをいう。

5項

この法律において「温室効果ガス総排出量」とは、温室効果ガスである物質ごとに政令で定める方法により算定される当該物質の排出量に当該物質の地球温暖化係数(温室効果ガスである物質ごとに地球の温暖化をもたらす程度の二酸化炭素に係る当該程度に対する比を示す数値として国際的に認められた知見に基づき政令で定める係数をいう。以下同じ。)を乗じて得た量の合計量をいう。

6項

この法律において「地域脱炭素化促進事業」とは、太陽光、風力 その他の再生可能エネルギーであって、地域の自然的社会的条件に適したものの利用による地域の脱炭素化(次条に規定する脱炭素社会の実現に寄与することを旨として、地域の自然的社会的条件に応じて当該地域における社会経済活動 その他の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出の量の削減等を行うことをいう。以下同じ。)のための施設として環境省令・農林水産省令・経済産業省令・国土交通省令で定めるもの(以下「地域脱炭素化促進施設」という。)の整備 及びその他の地域の脱炭素化のための取組を一体的に行う事業であって、地域の環境の保全のための取組 並びに地域の経済 及び社会の持続的発展に資する取組を併せて行うものをいう。

7項

この法律において「算定割当量」とは、次に掲げる数量で、二酸化炭素一トンを表す単位により表記されるものをいう。

一 号

気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書以下「京都議定書」という。第三条7に規定する割当量

二 号

京都議定書第六条1に規定する排出削減単位

三 号

京都議定書第十二条3(b)に規定する認証された排出削減量

1項

地球温暖化対策の推進は、パリ協定第二条1(a)において世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏二度高い水準を十分に下回るものに抑えること 及び世界全体の平均気温の上昇を工業化以前よりも摂氏一・五度高い水準までのものに制限するための努力を継続することとされていることを踏まえ、環境の保全と経済 及び社会の発展を統合的に推進しつつ、我が国における二千五十年までの脱炭素社会(人の活動に伴って発生する温室効果ガスの排出量と吸収作用の保全 及び強化により吸収される温室効果ガスの吸収量との間の均衡が保たれた社会をいう。第三十六条の二において同じ。)の実現を旨として、国民 並びに国、地方公共団体、事業者 及び民間の団体等の密接な連携の下に行われなければならない。

1項
国は、大気中における温室効果ガスの濃度変化の状況 並びにこれに関連する気候の変動 及び生態系の状況を把握するための観測 及び監視を行うとともに、総合的かつ計画的な地球温暖化対策を策定し、及び実施するものとする。
2項
国は、温室効果ガスの排出の量の削減等のための施策を推進するとともに、温室効果ガスの排出の量の削減等に関係のある施策について、当該施策の目的の達成との調和を図りつつ温室効果ガスの排出の量の削減等が行われるよう配意するものとする。
3項

国は、自らの事務 及び事業に関し温室効果ガスの排出の量の削減等のための措置を講ずるとともに、温室効果ガスの排出の量の削減等のための地方公共団体の施策を支援し、及び事業者、国民 又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体等」という。)が温室効果ガスの排出の量の削減等に関して行う活動の促進を図るため、そのための施策 及び活動に関する普及啓発を行うとともに、必要な資金の確保、技術的な助言 その他の措置を講ずるように努めるものとする。

4項
国は、地球温暖化 及びその影響の予測に関する調査、温室効果ガスの排出の量の削減等のための技術に関する調査 その他の地球温暖化対策の策定に必要な調査を実施するとともに、温室効果ガスの排出の量の削減等のための技術に関する研究開発の推進 及びその成果の普及に努めるものとする。
5項

国は、我が国の経済社会が国際的な密接な相互依存関係の中で営まれていることに鑑み、我が国に蓄積された知識、技術、経験等を生かして、第一項に規定する観測 及び監視の効果的な推進を図るための国際的な連携の確保、前項に規定する調査 及び研究開発の推進を図るための国際協力 その他の地球温暖化に関する国際協力を推進するために必要な措置を講ずるように努めるとともに、地方公共団体 又は民間団体等による温室効果ガスの排出の量の削減等に関する国際協力のための活動の促進を図るため、情報の提供 その他の必要な措置を講ずるように努めるものとする。

1項
地方公共団体は、その区域の自然的社会的条件に応じた温室効果ガスの排出の量の削減等のための施策を推進するものとする。
2項

地方公共団体は、自らの事務 及び事業に関し温室効果ガスの排出の量の削減等のための措置を講ずるとともに、その区域の事業者 又は住民が温室効果ガスの排出の量の削減等に関して行う活動の促進を図るため、前項に規定する施策に関する情報の提供 その他の措置を講ずるように努めるものとする。

1項

事業者は、その事業活動に関し、温室効果ガスの排出の量の削減等のための措置(他の者の温室効果ガスの排出の量の削減等に寄与するための措置を含む。)を講ずるように努めるとともに、国 及び地方公共団体が実施する温室効果ガスの排出の量の削減等のための施策に協力しなければならない。

1項

国民は、その日常生活に関し、温室効果ガスの排出の量の削減等のための措置を講ずるように努めるとともに、国 及び地方公共団体が実施する温室効果ガスの排出の量の削減等のための施策に協力しなければならない。

1項

政府は、温室効果ガスの排出 及び吸収に関し、気候変動に関する国際連合枠組条約第四条1(a)に規定する目録 及び京都議定書第七条1に規定する年次目録を作成するため、毎年、我が国における温室効果ガスの排出量 及び吸収量を算定し、環境省令で定めるところにより、これを公表するものとする。