外国為替及び外国貿易法

# 昭和二十四年法律第二百二十八号 #

第二十一条 # 財務大臣の許可を受ける義務を課する資本取引等

@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十七号による改正

1項

財務大臣は、居住者 又は非居住者による資本取引(第二十条に規定する資本取引をいい、第二十四条第一項に規定する特定資本取引に該当するものを除く次条第一項第五十五条の三 及び第七十条第一項において同じ。)が何らの制限なしに行われた場合には、我が国が締結した条約 その他の国際約束を誠実に履行することを妨げ、若しくは国際平和のための国際的な努力に我が国として寄与することを妨げることとなる事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるとき、又は第十条第一項の閣議決定が行われたときは、政令で定めるところにより、当該資本取引を行おうとする居住者 又は非居住者に対し、当該資本取引を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。

2項

前項に定める場合のほか、財務大臣は、居住者 又は非居住者による同項に規定する資本取引(特別国際金融取引勘定で経理されるものを除く)が何らの制限なしに行われた場合には、次に掲げるいずれかの事態を生じ、この法律の目的を達成することが困難になると認めるときは、政令で定めるところにより、当該資本取引を行おうとする居住者 又は非居住者に対し、当該資本取引を行うことについて、許可を受ける義務を課することができる。

一 号
我が国の国際収支の均衡を維持することが困難になること。
二 号
本邦通貨の外国為替相場に急激な変動をもたらすことになること。
三 号
本邦と外国との間の大量の資金の移動により我が国の金融市場 又は資本市場に悪影響を及ぼすことになること。
3項

前項の「特別国際金融取引勘定」とは、銀行 その他の政令で定める金融機関が、非居住者(外国法令に基づいて設立された法人 その他政令で定める者に限る。以下 この項 及び次項において同じ。)から受け入れた預金 その他の非居住者から調達した資金を非居住者に対する金銭の貸付け、非居住者からの証券の取得 その他の非居住者との間での運用に充てるために行う次に掲げる取引 又は行為(前条の規定により資本取引とみなされるものを除く)に係る資金の運用 又は調達に関する経理をその他の取引 又は行為に係る資金の運用 又は調達に関する経理と区分して整理するため財務大臣の承認を受けて設ける勘定をいう。

一 号

第二十条第一号に掲げる資本取引のうち、非居住者との間の預金契約で政令で定めるものに基づく債権の発生等に係る取引

二 号

第二十条第二号に掲げる資本取引のうち、非居住者との間の金銭の貸借契約に基づく債権の発生等に係る取引

三 号

第二十条第五号に掲げる資本取引のうち、非居住者が発行する証券(政令で定めるものに限る)の非居住者からの取得 又は非居住者に対する譲渡

四 号
その他政令で定める取引 又は行為
4項

前項に規定する特別国際金融取引勘定(以下 この項 及び次条第二項において「特別国際金融取引勘定」という。)と その他の勘定との間における資金の振替 その他の特別国際金融取引勘定の経理に関する事項 及び特別国際金融取引勘定において経理される取引 又は行為に関し当該取引 又は行為の相手方が非居住者であることの確認 その他必要な事項については、政令で定める。

5項

第二項に規定する資本取引について第一項 及び第二項の規定により許可を受ける義務が課された場合には、当該資本取引を行おうとする者は、政令で定めるところにより、これらの規定による許可の申請を併せて行うことができる。


この場合において、財務大臣は、当該申請に係る資本取引について許可を受ける義務を課することとなつた事態のいずれをも生じさせないかを併せ考慮して、許可をするかどうかを判断するものとする。

6項

財務大臣は、第二十三条第一項の規定により届け出なければならないとされる同条第二項に規定する対外直接投資を行うことについて第一項 又は第二項の規定により許可を受ける義務を課したときは、当該許可の申請に係る対外直接投資については、当該許可を受ける義務を課することとなつた第一項に規定する事態 又は第二項各号に掲げる事態のほか、同条第四項各号に掲げる事態のいずれをも生じさせないかを併せ考慮して、許可をするかどうかを判断するものとする。