家庭裁判所は、特定少年(十八歳以上の少年をいう。以下同じ。)に係る事件については、第二十条の規定にかかわらず、調査の結果、その罪質 及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
少年法
第一節 保護事件の特例
前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、特定少年に係る次に掲げる事件については、同項の決定をしなければならない。
ただし、調査の結果、犯行の動機、態様 及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状 及び環境 その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。
故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るもの
死刑 又は無期 若しくは短期一年以上の懲役 若しくは禁錮に当たる罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るもの(前号に該当するものを除く。)
家庭裁判所は、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。他の法律において準用する場合を含む。)及び政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)に規定する罪の事件(次項に規定する場合に係る同項に規定する罪の事件を除く。)であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るものについて、前条第一項の規定により検察官に送致するかどうかを決定するに当たつては、選挙の公正の確保等を考慮して行わなければならない。
家庭裁判所は、公職選挙法第二百四十七条の罪 又は同法第二百五十一条の二第一項各号に掲げる者が犯した同項に規定する罪、同法第二百五十一条の三第一項の組織的選挙運動管理者等が犯した同項に規定する罪 若しくは同法第二百五十一条の四第一項各号に掲げる者が犯した同項に規定する罪の事件であつて、その罪を犯すとき特定少年に係るものについて、その罪質が選挙の公正の確保に重大な支障を及ぼすと認める場合には、前条第一項の規定にかかわらず、同項の決定をしなければならない。
この場合においては、同条第二項ただし書の規定を準用する。
第二十四条第一項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、第二十三条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、少年が特定少年である場合には、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内において、決定をもつて、次の各号に掲げる保護処分のいずれかをしなければならない。
ただし、罰金以下の刑に当たる罪の事件については、第一号の保護処分に限り、これをすることができる。
六月の保護観察所の保護観察に付すること。
二年の保護観察所の保護観察に付すること。
前項第二号の保護観察においては、第六十六条第一項に規定する場合に、同項の決定により少年院に収容することができるものとし、家庭裁判所は、同号の保護処分をするときは、その決定と同時に、一年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して同項の決定により少年院に収容することができる期間を定めなければならない。
家庭裁判所は、第一項第三号の保護処分をするときは、その決定と同時に、三年以下の範囲内において犯情の軽重を考慮して少年院に収容する期間を定めなければならない。
勾留され又は第十七条第一項第二号の措置がとられた特定少年については、未決勾留の日数は、その全部 又は一部を、前二項の規定により定める期間に算入することができる。
第一項の保護処分においては、保護観察所の長をして、家庭 その他の環境調整に関する措置を行わせることができる。
第三条第一項(第三号に係る部分に限る。)の規定は、特定少年については、適用しない。
第十二条、第二十六条第四項 及び第二十六条の二の規定は、特定少年である少年の保護事件(第二十六条の四第一項の規定による保護処分に係る事件を除く。)については、適用しない。
第二十七条の二第五項の規定は、少年院に収容中の者について、前条第一項第二号 又は第三号の保護処分を取り消した場合には、適用しない。
特定少年である少年の保護事件に関する次の表の上欄に掲げるこの法律の規定の適用については、これらの規定中同表の中欄に掲げる字句は、同表の下欄に掲げる字句とする。
第四条 | 第二十条第一項 | 第六十二条第一項 |
第十七条の二第一項ただし書、第三十二条ただし書 及び第三十五条第一項ただし書(第十七条の三第一項において 読み替えて準用する場合を含む。) | 選任者である保護者 | 第六十二条第一項の特定少年 |
第二十三条第一項 | 又は第二十条 | 、第六十二条 又は第六十三条第二項 |
第二十四条の二第一項 | 前条第一項 | 第六十四条第一項 |
第二十五条第一項 及び第二十七条の二第六項 | 第二十四条第一項 | 第六十四条第一項 |
第二十六条第一項 及び第二項 | 並びに第二十四条第一項第二号 及び第三号 | 及び第六十四条第一項第三号 |
第二十六条の三 | 第二十四条第一項第三号 | 第六十四条第一項第三号 |
第二十八条 | 第二十四条 又は第二十五条 | 第二十五条 又は第六十四条 |
更生保護法第六十八条の二の申請があつた場合において、家庭裁判所は、審判の結果、第六十四条第一項第二号の保護処分を受けた者がその遵守すべき事項を遵守しなかつたと認められる事由があり、その程度が重く、かつ、少年院において処遇を行わなければ本人の改善 及び更生を図ることができないと認めるときは、これを少年院に収容する旨の決定をしなければならない。
ただし、この項の決定により既に少年院に収容した期間が通算して同条第二項の規定により定められた期間に達しているときは、この限りでない。
次項に定めるもののほか、前項の決定に係る事件の手続は、その性質に反しない限り、この法律(この項を除く。)の規定による特定少年である少年の保護事件の手続の例による。
第一項の決定をする場合においては、前項の規定によりその例によることとされる第十七条第一項第二号の措置における収容 及び更生保護法第六十八条の三第一項の規定による留置の日数は、その全部 又は一部を、第六十四条第二項の規定により定められた期間に算入することができる。