建物の区分所有等に関する法律

# 昭和三十七年法律第六十九号 #
略称 : 区分所有法  マンション法 

第八節 復旧及び建替え

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第二十四号による改正
最終編集日 : 2024年 04月29日 13時42分


1項

建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失したときは、各区分所有者は、滅失した共用部分 及び自己の専有部分を復旧することができる。


ただし、共用部分については、復旧の工事に着手するまでに第三項次条第一項 又は第七十条第一項の決議があつたときは、この限りでない。

2項

前項の規定により共用部分を復旧した者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した金額を第十四条に定める割合に応じて償還すべきことを請求することができる。

3項

第一項本文に規定する場合には、集会において、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

4項

前三項の規定は、規約で別段の定めをすることを妨げない。

5項

第一項本文に規定する場合を除いて、建物の一部が滅失したときは、集会において、区分所有者 及び議決権の各四分の三以上の多数で、滅失した共用部分を復旧する旨の決議をすることができる。

6項

前項の決議をした集会の議事録には、その決議についての各区分所有者の賛否をも記載し、又は記録しなければならない。

7項

第五項の決議があつた場合において、その決議の日から二週間を経過したときは、次項の場合を除き、その決議に賛成した区分所有者(その承継人を含む。以下この条において「決議賛成者」という。以外の区分所有者は、決議賛成者の全部 又は一部に対し、建物 及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。


この場合において、その請求を受けた決議賛成者は、その請求の日から二月以内に、他の決議賛成者の全部 又は一部に対し、決議賛成者以外の区分所有者を除いて算定した第十四条に定める割合に応じて当該建物 及び その敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

8項

第五項の決議の日から二週間以内に、決議賛成者がその全員の合意により建物 及びその敷地に関する権利を買い取ることができる者を指定し、かつ、その指定された者(以下この条において「買取指定者」という。)がその旨を決議賛成者以外の区分所有者に対して書面で通知したときは、その通知を受けた区分所有者は、買取指定者に対してのみ、前項前段に規定する請求をすることができる。

9項

買取指定者は、前項の規定による書面による通知に代えて、法務省令で定めるところにより、同項の規定による通知を受けるべき区分所有者の承諾を得て、電磁的方法により買取指定者の指定がされた旨を通知することができる。


この場合において、当該買取指定者は、当該書面による通知をしたものとみなす。

10項

買取指定者が第七項前段に規定する請求に基づく売買の代金に係る債務の全部 又は一部の弁済をしないときは、決議賛成者(買取指定者となつたものを除く。以下 この項 及び第十五項において同じ。)は、連帯してその債務の全部 又は一部の弁済の責めに任ずる。


ただし、決議賛成者が買取指定者に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、この限りでない。

11項

第五項の集会を招集した者(買取指定者の指定がされているときは、当該買取指定者。次項において同じ。)は、決議賛成者以外の区分所有者に対し、四月以上の期間を定めて、第七項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を書面で催告することができる。

12項

第五項の集会を招集した者は、前項の規定による書面による催告に代えて、法務省令で定めるところにより、同項に規定する区分所有者の承諾を得て、電磁的方法により第七項前段に規定する請求をするか否かを確答すべき旨を催告することができる。


この場合において、当該第五項の集会を招集した者は、当該書面による催告をしたものとみなす。

13項

第十一項に規定する催告を受けた区分所有者は、同項の規定により定められた期間を経過したときは、第七項前段に規定する請求をすることができない

14項

第五項に規定する場合において、建物の一部が滅失した日から六月以内同項次条第一項 又は第七十条第一項の決議がないときは、各区分所有者は、他の区分所有者に対し、建物 及びその敷地に関する権利を時価で買い取るべきことを請求することができる。

15項

第二項第七項第八項 及び前項の場合には、裁判所は、償還 若しくは買取りの請求を受けた区分所有者、買取りの請求を受けた買取指定者 又は第十項本文に規定する債務について履行の請求を受けた決議賛成者の請求により、償還金 又は代金の支払につき相当の期限を許与することができる。

1項

集会においては、区分所有者 及び議決権の各五分の四以上の多数で、建物を取り壊し、かつ、当該建物の敷地 若しくはその一部の土地 又は当該建物の敷地の全部 若しくは一部を含む土地に新たに建物を建築する旨の決議(以下「建替え決議」という。)をすることができる。

2項

建替え決議においては、次の事項を定めなければならない。

一 号

新たに建築する建物(以下 この項において「再建建物」という。)の設計の概要

二 号

建物の取壊し及び再建建物の建築に要する費用の概算額

三 号

前号に規定する費用の分担に関する事項

四 号

再建建物の区分所有権の帰属に関する事項

3項

前項第三号 及び第四号の事項は、各区分所有者の衡平を害しないように定めなければならない。

4項

第一項に規定する決議事項を会議の目的とする集会を招集するときは、第三十五条第一項の通知は、同項の規定にかかわらず、当該集会の会日より少なくとも二月前に発しなければならない。


ただし、この期間は、規約で伸長することができる。

5項

前項に規定する場合において、第三十五条第一項の通知をするときは、同条第五項に規定する議案の要領のほか、次の事項をも通知しなければならない。

一 号
建替えを必要とする理由
二 号

建物の建替えをしないとした場合における当該建物の効用の維持 又は回復(建物が通常有すべき効用の確保を含む。)をするのに要する費用の額 及びその内訳

三 号

建物の修繕に関する計画が定められているときは、当該計画の内容

四 号

建物につき修繕積立金として積み立てられている金額

6項

第四項の集会を招集した者は、当該集会の会日より少なくとも一月前までに、当該招集の際に通知すべき事項について区分所有者に対し説明を行うための説明会を開催しなければならない。

7項

第三十五条第一項から第四項まで 及び第三十六条の規定は、前項の説明会の開催について準用する。


この場合において、

第三十五条第一項ただし書中
伸縮する」とあるのは、
「伸長する」と

読み替えるものとする。

8項

前条第六項の規定は、建替え決議をした集会の議事録について準用する。

1項

建替え決議があつたときは、集会を招集した者は、遅滞なく、建替え決議に賛成しなかつた区分所有者(その承継人を含む。)に対し、建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を書面で催告しなければならない。

2項

集会を招集した者は、前項の規定による書面による催告に代えて、法務省令で定めるところにより、同項に規定する区分所有者の承諾を得て、電磁的方法により建替え決議の内容により建替えに参加するか否かを回答すべき旨を催告することができる。


この場合において、当該集会を招集した者は、当該書面による催告をしたものとみなす。

3項

第一項に規定する区分所有者は、同項の規定による催告を受けた日から二月以内に回答しなければならない。

4項

前項の期間内に回答しなかつた第一項に規定する区分所有者は、建替えに参加しない旨を回答したものとみなす。

5項

第三項の期間が経過したときは、建替え決議に賛成した各区分所有者 若しくは建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者(これらの者の承継人を含む。)又はこれらの者の全員の合意により区分所有権 及び敷地利用権を買い受けることができる者として指定された者(以下「買受指定者」という。)は、同項の期間の満了の日から二月以内に、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者(その承継人を含む。)に対し、区分所有権 及び敷地利用権を時価で売り渡すべきことを請求することができる。


建替え決議があつた後にこの区分所有者から敷地利用権のみを取得した者(その承継人を含む。)の敷地利用権についても、同様とする。

6項

前項の規定による請求があつた場合において、建替えに参加しない旨を回答した区分所有者が建物の明渡しによりその生活上著しい困難を生ずるおそれがあり、かつ、建替え決議の遂行に甚だしい影響を及ぼさないものと認めるべき顕著な事由があるときは、裁判所は、その者の請求により、代金の支払 又は提供の日から一年を超えない範囲内において、建物の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。

7項

建替え決議の日から二年以内に建物の取壊しの工事に着手しない場合には、第五項の規定により区分所有権 又は敷地利用権を売り渡した者は、この期間の満了の日から六月以内に、買主が支払つた代金に相当する金銭をその区分所有権 又は敷地利用権を現在有する者に提供して、これらの権利を売り渡すべきことを請求することができる。


ただし、建物の取壊しの工事に着手しなかつたことにつき正当な理由があるときは、この限りでない。

8項

前項本文の規定は、同項ただし書に規定する場合において、建物の取壊しの工事の着手を妨げる理由がなくなつた日から六月以内にその着手をしないときに準用する。


この場合において、

同項本文中
この期間の満了の日から六月以内に」とあるのは、
「建物の取壊しの工事の着手を妨げる理由がなくなつたことを知つた日から六月 又はその理由がなくなつた日から二年のいずれか早い時期までに」と

読み替えるものとする。

1項

建替え決議に賛成した各区分所有者、建替え決議の内容により建替えに参加する旨を回答した各区分所有者 及び区分所有権 又は敷地利用権を買い受けた各買受指定者(これらの者の承継人を含む。)は、建替え決議の内容により建替えを行う旨の合意をしたものとみなす。