国民投票に関し異議がある投票人は、中央選挙管理会を被告として、第九十八条第二項の規定による告示の日から三十日以内に、東京高等裁判所に訴訟を提起することができる。
日本国憲法の改正手続に関する法律 抄
第一節 国民投票無効の訴訟
前条の規定による訴訟の提起があった場合において、次に掲げる事項があり、そのために憲法改正案に係る国民投票の結果(憲法改正案に対する賛成の投票の数が第九十八条第二項に規定する投票総数の二分の一を超えること 又は超えないことをいう。第百三十五条において同じ。)に異動を及ぼすおそれがあるときは、裁判所は、その国民投票の全部 又は一部の無効を判決しなければならない。
国民投票の管理執行に当たる機関が国民投票の管理執行につき遵守すべき手続に関する規定に違反したこと。
第百一条、第百二条、第百九条 及び第百十一条から第百十三条までの規定について、多数の投票人が一般にその自由な判断による投票を妨げられたといえる重大な違反があったこと。
憲法改正案に対する賛成の投票の数 又は反対の投票の数の確定に関する判断に誤りがあったこと。
前項第一号の国民投票の管理執行に当たる機関には、国民投票広報協議会を含まないものとする。
第百二十七条の規定による訴訟については、裁判所は、他の訴訟の順序にかかわらず速やかにその裁判をしなければならない。
当事者、代理人 その他の第百二十七条の規定による訴訟に関与する者は、前項の趣旨を踏まえ、充実した審理を特に迅速に行うことができるよう、裁判所に協力しなければならない。
第百二十七条の規定による訴訟の提起があっても、憲法改正案に係る国民投票の効力は、停止しない。
第百二十七条の規定による訴訟については、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第四十三条の規定にかかわらず、同法第十三条、第十九条から第二十一条まで、第二十五条から第二十九条まで、第三十一条 及び第三十四条の規定は、準用せず、また、同法第十六条から第十八条までの規定は、第百二十七条の規定により憲法改正案に係る国民投票の無効を求める数個の請求に関してのみ準用する。
第百二十七条の規定による訴訟が提起されたときは、裁判所の長は、その旨を、総務大臣 及び中央選挙管理会に通知しなければならない。
その訴訟が係属しなくなったときも、また同様とする。
第百二十七条の規定による訴訟につき判決が確定したときは、裁判所の長は、その判決書の謄本を、総務大臣 及び中央選挙管理会 並びに衆議院議長 及び参議院議長に送付しなければならない。
憲法改正が無効とされることにより生ずる重大な支障を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもって、憲法改正の効果の発生の全部 又は一部の停止をするものとする。
ただし、本案について理由がないとみえるときは、この限りでない。
前項の規定による憲法改正の効果の発生を停止する決定が確定したときは、憲法改正の効果の発生は、本案に係る判決が確定するまでの間、停止する。
第一項の決定は、第三者に対しても効力を有する。
第一項の決定の管轄裁判所は、本案の係属する裁判所とする。
第一項の決定は、疎明に基づいてする。
第一項の決定は、口頭弁論を経ないですることができる。
ただし、あらかじめ、当事者の意見を聴かなければならない。
第百二十七条の規定による訴訟の結果憲法改正案に係る国民投票を無効とする判決が確定したとき 又は前条第一項の規定による憲法改正の効果の発生を停止する決定が確定したとき 若しくはその決定が効力を失ったときは、中央選挙管理会は、直ちにその旨を官報で告示するとともに、総務大臣を通じ内閣総理大臣に通知しなければならない。
内閣総理大臣は、前項の通知を受けたときは、直ちにこれを衆議院議長 及び参議院議長に通知しなければならない。