次に掲げる少額訴訟に係る債務名義による金銭債権に対する強制執行は、前目の定めるところにより裁判所が行うほか、第二条の規定にかかわらず、申立てにより、この目の定めるところにより裁判所書記官が行う。
民事執行法
第二目 少額訴訟債権執行
少額訴訟における確定判決
仮執行の宣言を付した少額訴訟の判決
少額訴訟における訴訟費用 又は和解の費用の負担の額を定める裁判所書記官の処分
少額訴訟における和解 又は認諾の調書
少額訴訟における民事訴訟法第二百七十五条の二第一項の規定による和解に代わる決定
前項の規定により裁判所書記官が行う同項の強制執行(以下この目において「少額訴訟債権執行」という。)は、裁判所書記官の差押処分により開始する。
少額訴訟債権執行の申立ては、次の各号に掲げる債務名義の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める簡易裁判所の裁判所書記官に対してする。
第一項第一号に掲げる債務名義
同号の判決をした簡易裁判所
第一項第二号に掲げる債務名義
同号の判決をした簡易裁判所
第一項第三号に掲げる債務名義
同号の処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所
第一項第四号に掲げる債務名義
同号の和解が成立し、又は同号の認諾がされた簡易裁判所
第一項第五号に掲げる債務名義
同号の和解に代わる決定をした簡易裁判所
第百四十四条第三項 及び第四項の規定は、差押えに係る金銭債権(差押処分により差し押さえられた金銭債権に限る。以下この目において同じ。)について更に差押処分がされた場合について準用する。
この場合において、
同条第三項中
「差押命令を発した執行裁判所」とあるのは
「差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所」と、
「執行裁判所は」とあるのは
「裁判所書記官は」と、
「他の執行裁判所」とあるのは
「他の簡易裁判所の裁判所書記官」と、
同条第四項中
「決定」とあるのは
「裁判所書記官の処分」と
読み替えるものとする。
少額訴訟債権執行の手続において裁判所書記官が行う執行処分に関しては、その裁判所書記官の所属する簡易裁判所をもつて執行裁判所とする。
少額訴訟債権執行の手続において裁判所書記官が行う執行処分は、特別の定めがある場合を除き、相当と認める方法で告知することによつて、その効力を生ずる。
前項に規定する裁判所書記官が行う執行処分に対しては、執行裁判所に執行異議を申し立てることができる。
第十条第六項前段 及び第九項の規定は、前項の規定による執行異議の申立てがあつた場合について準用する。
裁判所書記官は、差押処分において、債務者に対し金銭債権の取立てその他の処分を禁止し、かつ、第三債務者に対し債務者への弁済を禁止しなければならない。
第百四十五条第二項、第三項、第五項、第七項 及び第八項の規定は差押処分について、同条第四項の規定は差押処分を送達する場合について、それぞれ準用する。
この場合において、
同項中
「第百五十三条第一項 又は第二項」とあるのは
「第百六十七条の八第一項 又は第二項」と、
同条第七項 及び第八項中
「執行裁判所」とあるのは
「裁判所書記官」と
読み替えるものとする。
差押処分の申立てについての裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
前項の執行異議の申立てについての裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
民事訴訟法第七十四条第一項の規定は、差押処分の申立てについての裁判所書記官の処分について準用する。
この場合においては、前二項 及び同条第三項の規定を準用する。
第二項において読み替えて準用する第百四十五条第八項の規定による裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
第二項において読み替えて準用する第百四十五条第八項の規定による裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
少額訴訟債権執行についての第十四条第一項 及び第四項の規定の適用については、
これらの規定中
「執行裁判所」とあるのは、
「裁判所書記官」と
する。
第十四条第二項 及び第三項の規定は、前項の規定により読み替えて適用する同条第一項の規定による裁判所書記官の処分については、適用しない。
第一項の規定により読み替えて適用する第十四条第四項の規定による裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
第一項の規定により読み替えて適用する第十四条第四項の規定により少額訴訟債権執行の手続を取り消す旨の裁判所書記官の処分は、確定しなければその効力を生じない。
少額訴訟債権執行の不許を求める第三者異議の訴えは、第三十八条第三項の規定にかかわらず、執行裁判所の所在地を管轄する地方裁判所が管轄する。
執行裁判所は、申立てにより、債務者 及び債権者の生活の状況 その他の事情を考慮して、差押処分の全部 若しくは一部を取り消し、又は第百六十七条の十四第一項において準用する第百五十二条の規定により差し押さえてはならない金銭債権の部分について差押処分をすべき旨を命ずることができる。
事情の変更があつたときは、執行裁判所は、申立てにより、前項の規定により差押処分が取り消された金銭債権について差押処分をすべき旨を命じ、又は同項の規定によりされた差押処分の全部 若しくは一部を取り消すことができる。
第百五十三条第三項から第五項までの規定は、前二項の申立てがあつた場合について準用する。
この場合において、
同条第四項中
「差押命令」とあるのは、
「差押処分」と
読み替えるものとする。
執行力のある債務名義の正本を有する債権者 及び文書により先取特権を有することを証明した債権者は、裁判所書記官に対し、配当要求をすることができる。
第百五十四条第二項の規定は、前項の配当要求があつた場合について準用する。
第一項の配当要求を却下する旨の裁判所書記官の処分に対する執行異議の申立ては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内にしなければならない。
前項の執行異議の申立てを却下する裁判に対しては、執行抗告をすることができる。
差押えに係る金銭債権について転付命令、譲渡命令等 又は供託命令(以下この条において「転付命令等」という。)のいずれかの命令を求めようとするときは、差押債権者は、執行裁判所に対し、転付命令等のうちいずれの命令を求めるかを明らかにして、債権執行の手続に事件を移行させることを求める旨の申立てをしなければならない。
前項に規定する命令の種別を明らかにしてされた同項の申立てがあつたときは、執行裁判所は、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
前項の規定による決定が効力を生ずる前に、既にされた執行処分について執行異議の申立て又は執行抗告があつたときは、当該決定は、当該執行異議の申立て又は執行抗告についての裁判が確定するまでは、その効力を生じない。
第二項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第一項の申立てを却下する決定に対しては、執行抗告をすることができる。
第二項の規定による決定が効力を生じたときは、差押処分の申立て 又は第一項の申立てがあつた時に第二項に規定する地方裁判所にそれぞれ差押命令の申立て 又は転付命令等の申立てがあつたものとみなし、既にされた執行処分 その他の行為は債権執行の手続においてされた執行処分 その他の行為とみなす。
第百六十七条の十四第一項において準用する第百五十六条第一項 若しくは第二項 又は第百五十七条第五項の規定により供託がされた場合において、債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権 及び執行費用の全部を弁済することができないため配当を実施すべきときは、執行裁判所は、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令 又は差押処分が発せられたときは、執行裁判所は、同項に規定する地方裁判所における債権執行の手続のほか、当該差押命令を発した執行裁判所 又は当該差押処分をした裁判所書記官の所属する簡易裁判所の所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続にも事件を移行させることができる。
第一項に規定する供託がされた場合において、債権者が一人であるとき、又は債権者が二人以上であつて供託金で各債権者の債権 及び執行費用の全部を弁済することができるときは、裁判所書記官は、供託金の交付計算書を作成して、債権者に弁済金を交付し、剰余金を債務者に交付する。
前項に規定する場合において、差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられたときは、執行裁判所は、同項の規定にかかわらず、その所在地を管轄する地方裁判所 又は当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させることができる。
差押えに係る金銭債権について更に差押命令が発せられた場合において、当該差押命令を発した執行裁判所が第百六十一条第七項において準用する第百九条の規定 又は第百六十六条第一項第二号の規定により配当等を実施するときは、執行裁判所は、当該差押命令を発した執行裁判所における債権執行の手続に事件を移行させなければならない。
第一項、第二項、第四項 又は前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第八十四条第三項 及び第四項、第八十八条、第九十一条(第一項第六号 及び第七号を除く。)、第九十二条第一項 並びに第百六十六条第三項の規定は第三項の規定により裁判所書記官が実施する弁済金の交付の手続について、前条第三項の規定は第一項、第二項、第四項 又は第五項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項、第二項、第四項 又は第五項の規定による決定が効力を生じた場合について、それぞれ準用する。
この場合において、
第百六十六条第三項中
「差押命令」とあるのは、
「差押処分」と
読み替えるものとする。
執行裁判所は、差し押さえるべき金銭債権の内容 その他の事情を考慮して相当と認めるときは、その所在地を管轄する地方裁判所における債権執行の手続に事件を移行させることができる。
前項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない。
第百六十七条の十第三項の規定は第一項の規定による決定について、同条第六項の規定は第一項の規定による決定が効力を生じた場合について準用する。
この場合において、
同条第六項中
「差押処分の申立て又は第一項の申立て」とあるのは
「差押処分の申立て」と、
「それぞれ差押命令の申立て又は転付命令等の申立て」とあるのは
「差押命令の申立て」と
読み替えるものとする。
少額訴訟債権執行についての第一章 及び第二章第一節の規定の適用については、
第十三条第一項中
「執行裁判所でする手続」とあるのは
「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行の手続」と、
第十六条第一項中
「執行裁判所」とあるのは
「裁判所書記官」と、
第十七条中
「執行裁判所の行う民事執行」とあるのは
「第百六十七条の二第二項に規定する少額訴訟債権執行」と、
第四十条第一項中
「執行裁判所 又は執行官」とあるのは
「裁判所書記官」と、
第四十二条第四項中
「執行裁判所の裁判所書記官」とあるのは
「裁判所書記官」と
する。
第百四十六条から第百五十二条まで、第百五十五条、第百五十六条(第三項を除く。)、第百五十七条、第百五十八条、第百六十四条第五項 及び第六項 並びに第百六十五条(第三号 及び第四号を除く。)の規定は、少額訴訟債権執行について準用する。
この場合において、
第百四十六条、第百五十五条第四項から第六項まで 及び第八項 並びに第百五十六条第四項中
「執行裁判所」とあるのは
「裁判所書記官」と、
第百四十六条第一項中
「差押命令を発する」とあるのは
「差押処分をする」と、
第百四十七条第一項、第百四十八条第二項、第百五十条、第百五十五条第一項、第六項 及び第七項 並びに第百五十六条第一項中
「差押命令」とあるのは
「差押処分」と、
第百四十七条第一項 及び第百四十八条第一項中
「差押えに係る債権」とあるのは
「差押えに係る金銭債権」と、
第百四十九条中
「差押命令が発せられたとき」とあるのは
「差押処分がされたとき」と、
第百五十五条第七項中
「決定」とあるのは
「裁判所書記官の処分」と、
第百六十四条第五項中
「差押命令の取消決定」とあるのは
「差押処分の取消決定 若しくは差押処分を取り消す旨の裁判所書記官の処分」と、
第百六十五条(見出しを含む。)中
「配当等」とあるのは
「弁済金の交付」と読み替えるものとする。
第百六十七条の五第六項から第八項までの規定は、前項において読み替えて準用する第百五十五条第六項の規定による裁判所書記官の処分がされた場合について準用する。