民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第一節 債権の目的

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月11日 15時12分


1項

債権は、金銭に見積もることができないものであっても、その目的とすることができる。

1項

債権の目的が特定物の引渡しであるときは、債務者は、その引渡しをするまで、契約 その他の債権の発生原因 及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって、その物を保存しなければならない。

1項

債権の目的物を種類のみで指定した場合において、法律行為の性質 又は当事者の意思によってその品質を定めることができないときは、債務者は、中等の品質を有する物を給付しなければならない。

2項

前項の場合において、債務者が物の給付をするのに必要な行為を完了し、又は債権者の同意を得てその給付すべき物を指定したときは、以後 その物を債権の目的物とする。

1項

債権の目的物が金銭であるときは、債務者は、その選択に従い、各種の通貨で弁済をすることができる。


ただし、特定の種類の通貨の給付を債権の目的としたときは、この限りでない。

2項

債権の目的物である特定の種類の通貨が弁済期に強制通用の効力を失っているときは、債務者は、他の通貨で弁済をしなければならない。

3項

前二項の規定は、外国の通貨の給付を債権の目的とした場合について準用する。

1項

外国の通貨で債権額を指定したときは、債務者は、履行地における為替相場により、日本の通貨で弁済をすることができる。

1項

利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利率は、その利息が生じた最初の時点における法定利率による。

2項

法定利率は、年三パーセントとする。

3項

前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、三年を一期とし、一期ごとに、次項の規定により変動するものとする。

4項

各期における法定利率は、この項の規定により法定利率に変動があった期のうち直近のもの(以下この項において「直近変動期」という。)における基準割合と当期における基準割合との差に相当する割合(その割合に一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)を直近変動期における法定利率に加算し、又は減算した割合とする。

5項

前項に規定する「基準割合」とは、法務省令で定めるところにより、各期の初日の属する年の六年前の年の一月から前々年の十二月までの各月における短期貸付けの平均利率(当該各月において銀行が新たに行った貸付け(貸付期間が一年未満のものに限る)に係る利率の平均をいう。)の合計を六十で除して計算した割合(その割合に〇・一パーセント未満の端数があるときは、これを切り捨てる。)として法務大臣が告示するものをいう。

1項

利息の支払が一年分以上延滞した場合において、債権者が催告をしても、債務者がその利息を支払わないときは、債権者は、これを元本に組み入れることができる。

1項

債権の目的が数個の給付の中から選択によって定まるときは、その選択権は、債務者に属する。

1項

前条の選択権は、相手方に対する意思表示によって行使する。

2項

前項の意思表示は、相手方の承諾を得なければ、撤回することができない

1項

債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転する。

1項

第三者が選択をすべき場合には、その選択は、債権者 又は債務者に対する意思表示によってする。

2項

前項に規定する場合において、第三者が選択をすることができず、又は選択をする意思を有しないときは、選択権は、債務者に移転する。

1項

債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において、その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは、債権は、その残存するものについて存在する。

1項

選択は、債権の発生の時にさかのぼってその効力を生ずる。


ただし、第三者の権利を害することはできない。