法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律

# 令和四年法律第百五号 #
略称 : 不当寄附勧誘防止法 

第二章 寄附の不当な勧誘の防止

分類 法律
カテゴリ   産業通則
最終編集日 : 2024年 04月30日 18時18分


第一節 配慮義務

1項

法人等は、寄附の勧誘を行うに当たっては、次に掲げる事項に十分に配慮しなければならない。

一 号

寄附の勧誘が個人の自由な意思を抑圧し、その勧誘を受ける個人が寄附をするか否かについて適切な判断をすることが困難な状態に陥ることがないようにすること。

二 号

寄附により、個人 又はその配偶者 若しくは親族当該個人が民法明治二十九年法律第八十九号第八百七十七条から第八百八十条までの規定により扶養の義務を負う者に限る第五条において同じ。)の生活の維持を困難にすることがないようにすること。

三 号

寄附の勧誘を受ける個人に対し、当該寄附の勧誘を行う法人等を特定するに足りる事項を明らかにするとともに、寄附される財産の使途について誤認させるおそれがないようにすること。

第二節 禁止行為

1項

法人等は、寄附の勧誘をするに際し、次に掲げる行為をして寄附の勧誘を受ける個人を困惑させてはならない。

一 号

当該法人等に対し、当該個人が、その住居 又はその業務を行っている場所から退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず、それらの場所から退去しないこと。

二 号

当該法人等が当該寄附の勧誘をしている場所から当該個人が退去する旨の意思を示したにもかかわらず、その場所から当該個人を退去させないこと。

三 号

当該個人に対し、当該寄附について勧誘をすることを告げずに、当該個人が任意に退去することが困難な場所であることを知りながら、当該個人をその場所に同行し、その場所において当該寄附の勧誘をすること。

四 号

当該個人が当該寄附の勧誘を受けている場所において、当該個人が当該寄附をするか否かについて相談を行うために電話 その他の内閣府令で定める方法によって当該法人等以外の者と連絡する旨の意思を示したにもかかわらず、威迫する言動を交えて、当該個人が当該方法によって連絡することを妨げること。

五 号

当該個人が、社会生活上の経験が乏しいことから、当該寄附の勧誘を行う者に対して恋愛感情 その他の好意の感情を抱き、かつ、当該勧誘を行う者も当該個人に対して同様の感情を抱いているものと誤信していることを知りながら、これに乗じ、当該寄附をしなければ当該勧誘を行う者との関係が破綻することになる旨を告げること。

六 号

当該個人に対し、霊感 その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、当該個人 又はその親族の生命、身体、財産 その他の重要な事項について、そのままでは現在生じ、若しくは将来生じ得る重大な不利益を回避することができないとの不安をあおり、又はそのような不安を抱いていることに乗じて、その重大な不利益を回避するためには、当該寄附をすることが必要不可欠である旨を告げること。

1項

法人等は、寄附の勧誘をするに際し、寄附の勧誘を受ける個人に対し、借入れにより、又は次に掲げる財産を処分することにより、寄附をするための資金を調達することを要求してはならない。

一 号

当該個人 又はその配偶者 若しくは親族が現に居住の用に供している建物 又はその敷地

二 号

現に当該個人が営む事業(その継続が当該個人 又はその配偶者 若しくは親族の生活の維持に欠くことのできないものに限る)の用に供している土地 若しくは土地の上に存する権利 又は建物 その他の減価償却資産(所得税法昭和四十年法律第三十三号第二条第一項第十九号に規定する減価償却資産をいう。)であって、当該事業の継続に欠くことのできないもの(前号に掲げるものを除く

第三節 違反に対する措置等

1項

内閣総理大臣は、法人等第三条の規定を遵守していないため、当該法人等から寄附の勧誘を受ける個人の権利の保護に著しい支障が生じていると明らかに認められる場合において、更に同様の支障が生ずるおそれが著しいと認めるときは、当該法人等に対し、遵守すべき事項を示して、これに従うべき旨を勧告することができる。

2項

内閣総理大臣は、前項の規定による勧告をした場合において、その勧告を受けた法人等がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができる。

3項

内閣総理大臣は、第一項の規定による勧告をするために必要な限度において、法人等に対し、第三条各号に掲げる事項に係る配慮の状況に関し、必要な報告を求めることができる。

1項

内閣総理大臣は、第四条 及び第五条の規定の施行に関し特に必要と認めるときは、その必要の限度において、法人等に対し、寄附の勧誘に関する業務の状況に関し、必要な報告を求めることができる。

2項

内閣総理大臣は、法人等不特定 又は多数の個人に対して第四条 又は第五条の規定に違反する行為をしていると認められる場合において、引き続き当該行為をするおそれが著しいと認めるときは、当該法人等に対し、当該行為の停止 その他の必要な措置をとるべき旨の勧告をすることができる。

3項

内閣総理大臣は、前項の規定による勧告を受けた法人等が、正当な理由がなくてその勧告に係る措置をとらなかったときは、当該法人等に対し、その勧告に係る措置をとるべきことを命ずることができる。

4項

内閣総理大臣は、前項の規定による命令をしたときは、その旨を公表しなければならない。