農林水産大臣は、海洋環境に関する情報、水産資源の生息 又は生育の状況に関する情報、採捕 及び漁ろうの実績に関する情報 その他の資源評価(水産資源の資源量の水準 及びその動向に関する評価をいう。以下この章において同じ。)を行うために必要となる情報を収集するための調査(以下この条 及び次条第三項において「資源調査」という。)を行うものとする。
漁業法
第二節 資源管理基本方針等
農林水産大臣は、資源調査を行うに当たつては、人工衛星に搭載される観測用機器、船舶に搭載される魚群探知機 その他の機器を用いて、情報を効率的に収集するよう努めるものとする。
農林水産大臣は、資源調査の結果に基づき、最新の科学的知見を踏まえて資源評価を実施するものとする。
農林水産大臣は、資源評価を行うに当たつては、全ての種類の水産資源について評価を行うよう努めるものとする。
農林水産大臣は、国立研究開発法人水産研究・教育機構に、資源調査 又は資源評価に関する業務を行わせることができる。
都道府県知事は、農林水産大臣に対し、資源評価が行われていない水産資源について資源評価を行うよう要請をすることができる。
都道府県知事は、前項の規定により要請をするときは、当該要請に係る資源評価に必要な情報を農林水産大臣に提供しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定による場合のほか、農林水産大臣の求めに応じて、資源調査に協力するものとする。
農林水産大臣は、資源評価を踏まえて、資源管理に関する基本方針(以下この章 及び第百二十五条第一項第一号において「資源管理基本方針」という。)を定めるものとする。
資源管理基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
特定水産資源(漁獲可能量による管理を行う水産資源をいう。以下同じ。) 及びその管理年度(特定水産資源の保存 及び管理を行う年度をいう。以下この章において同じ。)
特定水産資源ごとの大臣管理区分(農林水産大臣が設定する管理区分をいう。以下この章において同じ。)
特定水産資源ごとの漁獲可能量の都道府県 及び大臣管理区分への配分の基準
大臣管理区分ごとの漁獲量(第十七条第一項に規定する漁獲割当管理区分以外の管理区分にあつては、漁獲量 又は漁獲努力量。第十四条第二項第四号において同じ。)の管理の手法
漁獲可能量による管理以外の手法による資源管理に関する事項
その他資源管理に関する重要事項
農林水産大臣は、資源管理基本方針を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
農林水産大臣は、資源管理基本方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
農林水産大臣は、直近の資源評価、最新の科学的知見、漁業の動向 その他の事情を勘案して、資源管理基本方針について検討を行い、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
第三項 及び第四項の規定は、前項の規定による資源管理基本方針の変更について準用する。
前条第二項第二号の資源管理の目標は、資源評価が行われた水産資源について、水産資源ごとに次に掲げる資源量の水準(以下この条 及び第十五条第二項において「資源水準」という。)の値を定めるものとする。
最大持続生産量(現在 及び合理的に予測される将来の自然的条件の下で持続的に採捕することが可能な水産資源の数量の最大値をいう。次号において同じ。)を実現するために維持し、又は回復させるべき目標となる値(同号 及び第十五条第二項において「目標管理基準値」という。)
資源水準の低下によつて最大持続生産量の実現が著しく困難になることを未然に防止するため、その値を下回つた場合には資源水準の値を目標管理基準値にまで回復させるための計画を定めることとする値(第十五条第二項第二号において「限界管理基準値」という。)
水産資源を構成する水産動植物の特性 又は資源評価の精度に照らし前項各号に掲げる値を定めることができないときは、当該水産資源の漁獲量 又は漁獲努力量の動向 その他の情報を踏まえて資源水準を推定した上で、その維持し、又は回復させるべき目標となる値を定めるものとする。
前条第二項第三号の管理年度は、特定水産資源の特性 及びその採捕の実態を勘案して定めるものとする。
前条第二項第五号の配分の基準は、水域の特性、漁獲の実績 その他の事項を勘案して定めるものとする。
農林水産大臣は、資源管理基本方針を定めるに当たつては、水産資源の持続的な利用に関する国際機関 その他の国際的な枠組み(我が国が締結した条約 その他の国際約束により設けられたものに限る。以下この条 及び第五十二条第二項において「国際的な枠組み」という。)において行われた資源評価を考慮しなければならない。
農林水産大臣は、資源管理基本方針を定めようとするときは、国際的な枠組みにおいて決定されている資源管理の目標 その他の資源管理に関する事項を考慮しなければならない。
農林水産大臣は、国際的な枠組みにおいて資源管理の目標 その他の資源管理に関する事項が新たに決定され、又は変更されたときは、資源管理基本方針に検討を加え、必要があると認めるときは、第十一条第五項の規定により資源管理基本方針を変更しなければならない。
都道府県知事は、資源管理基本方針に即して、当該都道府県において資源管理を行うための方針(以下この章 及び第百二十五条第一項第一号において「都道府県資源管理方針」という。)を定めるものとする。
ただし、特定水産資源の採捕が行われていない都道府県の知事については、この限りでない。
都道府県資源管理方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
特定水産資源ごとの知事管理区分(都道府県知事が設定する管理区分をいう。以下この章において同じ。)
特定水産資源ごとの漁獲可能量(当該都道府県に配分される部分に限る。)の知事管理区分への配分の基準
知事管理区分ごとの漁獲量の管理の手法
漁獲可能量による管理以外の手法による資源管理に関する事項
その他資源管理に関する重要事項
前項第三号の配分の基準は、水域の特性、漁獲の実績 その他の事項を勘案して定めるものとする。
都道府県知事は、都道府県資源管理方針を定めようとするときは、関係海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、都道府県資源管理方針を定めようとするときは、農林水産大臣の承認を受けなければならない。
都道府県知事は、都道府県資源管理方針を定めたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
農林水産大臣は、資源管理基本方針の変更により都道府県資源管理方針が資源管理基本方針に適合しなくなつたと認めるときは、当該都道府県資源管理方針を定めた都道府県知事に対し、当該都道府県資源管理方針を変更すべき旨を通知しなければならない。
都道府県知事は、前項の規定により通知を受けたときは、都道府県資源管理方針を変更しなければならない。
都道府県知事は、前項の場合を除くほか、直近の資源評価、最新の科学的知見、漁業の動向 その他の事情を勘案して、都道府県資源管理方針について検討を行い、必要があると認めるときは、これを変更するものとする。
第四項から第六項までの規定は、前二項の規定による都道府県資源管理方針の変更について準用する。