この法律は、理科教育が文化的な国家の建設の基盤として特に重要な使命を有することにかんがみ、教育基本法(平成十八年法律第百二十号) 及び学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)の精神にのつとり、理科教育を通じて、科学的な知識、技能 及び態度を習得させるとともに、工夫創造の能力を養い、もつて日常生活を合理的に営み、且つ、わが国の発展に貢献しうる有為な国民を育成するため、理科教育の振興を図ることを目的とする。
理科教育振興法
第一章 総則
この法律で「理科教育」とは、小学校(義務教育学校の前期課程 及び特別支援学校の小学部を含む。以下同じ。)、中学校(義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程 及び特別支援学校の中学部を含む。以下同じ。)又は高等学校(中等教育学校の後期課程 及び特別支援学校の高等部を含む。以下同じ。)において行われる理科、算数 及び数学に関する教育をいう。
国は、この法律 及び他の法令の定めるところにより、理科教育の振興を図るように努めるとともに、地方公共団体が左の各号に掲げるような方法によつて理科教育の振興を図ることを奨励しなければならない。
理科教育の振興に関する総合計画を樹立すること。
理科教育に関する教育の内容 及び方法の改善を図ること。
理科教育に関する施設 又は設備を整備し、及びその充実を図ること。
理科教育に従事する教員 又は指導者の現職教育 又は養成の計画を樹立し、及びその実施を図ること。
第三章 国の補助
国は、公立の学校(地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第六十八条第一項に規定する公立大学法人が設置するものを含む。次項において同じ。) 又は私立の学校の設置者が、次に掲げる設備であつて、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの議を経て政令で定める基準に達していないものについて、これを当該基準にまで高めようとする場合においては、これに要する経費の二分の一を、当該学校の設置者に対し、予算の範囲内において補助する。
小学校、中学校 又は高等学校における理科教育のための設備(算数 又は数学に関する教育のための設備にあつては、標準的なものとして備えられるべき教材以外のもので、当該教育のため特に必要なものとする。)
理科教育に従事する教員 又は指導者の現職教育 又は養成を行う大学が当該現職教育 又は養成のために使用する設備
前項に規定するもののほか、国は、公立の学校 又は私立の学校に係る理科教育の振興のために特に必要と認められる経費の二分の一を、当該学校の設置者に対し、予算の範囲内において補助する。
前二項の規定により国が私立の学校の設置者に対し補助をする場合においては、私立学校振興助成法(昭和五十年法律第六十一号)第十一条から第十三条まで並びにこれらの規定に係る同法附則第二条第一項 及び第二項の規定の適用があるものとする。
文部科学大臣は、前条の規定により補助金の交付を受けた者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該年度におけるその後の補助金の交付をやめるとともに、既に交付した当該年度の補助金を返還させるものとする。
この法律 又はこの法律に基づく政令の規定に違反したとき。
補助金の交付の条件に違反したとき。
虚偽の方法によつて補助金の交付を受けたことが明らかになつたとき。
前二条に規定するものを除く外、補助金の交付に関し必要な事項は、政令で定める。