競争の導入による公共サービスの改革に関する法律

# 平成十八年法律第五十一号 #
略称 : 市場化テスト法  公共サービス改革法 

第五章 法令の特例

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和六年三月一日 ( 2024年 3月1日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第十七号による改正
最終編集日 : 2024年 04月28日 14時13分


第一節 通則

1項
公共サービス実施民間事業者が実施する公共サービスについては、法令の特例を適用する。
1項

国が対象公共サービスについて債務を負担する場合には、当該債務を負担する行為により支出すべき年限は、当該会計年度以降十箇年度以内とする。

1項

国家公務員退職手当法昭和二十八年法律第百八十二号第二条第一項に規定する職員(以下この項において「職員」という。)のうち、国の行政機関等の長等が第二十条第一項の契約を締結した日の翌日から当該契約に係る対象公共サービスの第九条第二項第二号に規定する実施期間 又は第十四条第二項第二号に規定する実施期間(以下この項において「実施期間」という。)の初日以後一年を経過する日までの期間内に、任命権者 又はその委任を受けた者の要請に応じ、引き続いて当該対象公共サービスを実施する公共サービス実施民間事業者に使用される者(当該対象公共サービスに係る業務に従事するものに限る。以下この項において「対象公共サービス従事者」という。)となるための退職(同法第四条第一項 又は第五条第一項の規定に該当する退職に限る次項において「特定退職」という。)をし、かつ、引き続き対象公共サービス従事者として在職した後引き続いて実施期間の末日の翌日までに再び職員となった者(以下この条において「再任用職員」という。)が退職した場合におけるその者に対する同法第二条の四の規定による退職手当に係る同法第七条第一項の規定による在職期間の計算については、先の職員としての在職期間は、後の職員としての在職期間に引き続いたものとみなす。

2項

再任用職員が退職した場合におけるその者に対する国家公務員退職手当法第二条の四の規定による退職手当の額の計算の基礎となる同法第五条の二第二項に規定する基礎在職期間(以下この項において「基礎在職期間」という。)には、同条第二項の規定にかかわらず、特定退職に係る退職手当(以下この条において「先の退職手当」という。)の額の計算の基礎となった基礎在職期間を含むものとする。

3項

再任用職員が退職した場合におけるその者に対する国家公務員退職手当法第二条の四の規定による退職手当の額は、第一号に規定する法律の規定にかかわらず、政令で定めるところにより、同号に掲げる額から第二号に掲げる額を控除して得た額とする。


ただし、その額が第三号に掲げる額より少ないときは、同号に掲げる額とする。

一 号

国家公務員退職手当法第二条の四から第六条の四まで 並びに附則第六項から第八項まで 及び第十一項国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律昭和四十八年法律第三十号)附則第五項から第七項まで、国家公務員退職手当法等の一部を改正する法律平成十五年法律第六十二号)附則第四項 並びに国家公務員退職手当法の一部を改正する法律平成十七年法律第百十五号)附則第三条、第五条 及び第六条の規定により計算した額

二 号
再任用職員が支給を受けた先の退職手当の額と当該先の退職手当の支給を受けた日の翌日から退職した日の前日までの期間に係る利息に相当する額を合計した額
三 号

前二項の規定を適用しない第一号に規定する法律の規定により計算した額

4項

前三項の規定は、再任用職員の退職前に、先の退職手当に関し、国家公務員退職手当法第十四条第一項の規定による処分(先の退職手当の全部を支給しないこととするものに限る)又は同法第十五条第一項の規定による処分(先の退職手当の全部の返納を命ずるものに限る)が行われたときは、適用しない

5項

再任用職員が退職し、まだ当該退職に係る退職手当(その額を第三項本文の規定により計算するものに限る次項 及び第七項において同じ。)の額が支払われていない場合において、先の退職手当に関し国家公務員退職手当法第十三条第一項から第三項までの規定による処分が行われたときは、当該退職に係る同法第十一条第二号に規定する退職手当管理機関(次項 及び第七項において単に「退職手当管理機関」という。)は、当該処分を受けている者に対し、これらの規定による場合に準じて、第三項本文の規定により計算した額から同項第三号に掲げる額を控除して得た額(以下この条において「特例加算額」という。)の支払を差し止める処分を行うものとする。


この場合において、先の退職手当に関し同法第十三条第一項から第三項までの規定による処分が取り消されたときは、当該特例加算額の支払を差し止める処分も取り消すものとする。

6項

再任用職員の退職前に、先の退職手当に関し、国家公務員退職手当法第十四条第一項の規定による処分(先の退職手当の全部を支給しないこととするものを除く)若しくは同法第十五条第一項の規定による処分(先の退職手当の全部の返納を命ずるものを除く)が行われたとき、又は再任用職員が退職し、まだ当該退職に係る退職手当の額が支払われていない場合において、先の退職手当に関し同法第十四条第一項 若しくは第二項第十五条第一項第十六条第一項 若しくは第十七条第一項から第五項までの規定による処分が行われたときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該処分を受けている者に対し、これらの規定による場合に準じて、特例加算額の全部 又は一部を支給しないこととする処分を行うものとする。


この場合において、これらの規定による処分が取り消されたときは、当該特例加算額の全部 又は一部を支給しないこととする処分も取り消すものとする。

7項

再任用職員が退職し、当該退職に係る退職手当の額が支払われた後において、先の退職手当に関し国家公務員退職手当法第十五条第一項第十六条第一項 又は第十七条第一項から第五項までの規定による処分が行われたときは、当該退職に係る退職手当管理機関は、当該処分を受けている者に対し、これらの規定による場合に準じて、特例加算額の全部 又は一部に相当する額の返納 又は納付を命ずる処分を行うものとする。


この場合において、これらの規定による処分が取り消されたときは、当該特例加算額の全部 又は一部に相当する額の返納 又は納付を命ずる処分も取り消すものとする。

8項

国家公務員退職手当法第十二条第二項 及び第三項の規定は第五項 及び第六項の規定による処分について、同条第二項の規定は前項の規定による処分について準用する。

第二節 特定公共サービス

1項

次に掲げる公共職業安定所の業務(以下この条において「特定業務」という。)を実施する公共サービス実施民間事業者であって特定業務を実施する施設において職業紹介事業を行うものは、職業安定法昭和二十二年法律第百四十一号第三十条第一項の許可を受けた者でなければならない。

一 号

事業の経営管理に係る業務 又は技術的 及び専門的な知識を必要とする業務に就く職業に就職を希望する四十歳以上の者を専ら対象とする施設において行う職業紹介、職業指導 及びこれらに付随する業務

二 号

事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査 及び分析の業務に就く職業に就職を希望する四十五歳以上六十歳未満の者 その他厚生労働省令で定める者を専ら対象とし、職業の選択 及び労働市場の状況に関する理解を深めさせることにより就職活動を行う意欲を増進することを目的とする施設において行う職業指導 及びこれに付随する業務

2項

前項の公共サービス実施民間事業者が、特定業務を実施する施設において職業紹介事業を行う場合において当該職業紹介事業に関し国以外の者から手数料 又は報酬を受けないときは、当該職業紹介事業については、職業安定法第三十二条の十一の規定は適用しない

3項

前二項に定めるもののほか、公共サービス実施民間事業者による特定業務の実施に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

1項

国民年金法昭和三十四年法律第百四十一号)第八十七条第一項に規定する保険料(以下この条において「保険料」という。)の収納に関する業務のうち次に掲げるもの(以下この条において「特定業務」という。)を実施する公共サービス実施民間事業者は、併せて被保険者の委託を受けて保険料の納付に関する業務(以下この条において「納付受託業務」という。)を実施するものとする。

一 号

国民年金法第八十八条の規定により保険料を納付する義務を負う者であって、保険料を納期限までに納付しないもの(以下この条において「保険料滞納者」という。)に対し、保険料が納期限までに納付されていない事実の通知 及び納付されていない理由の確認を行う業務

二 号
保険料滞納者に対し、面接 その他の方法により保険料の納付の勧奨 及び請求を行う業務
三 号

第一号の規定により確認した理由 その他の前二号の業務の実施状況を、厚生労働省令で定めるところにより、日本年金機構の理事長に報告する業務

2項

前項の公共サービス実施民間事業者は、納付受託業務を適正かつ確実に実施することができると認められる者として厚生労働省令で定める要件に該当するものでなければならない。

3項

前項の公共サービス実施民間事業者については、国民年金法第九十二条の三第一項第二号の規定による指定を受けた者とみなして、同条第三項から第五項まで並びに同法第九十二条の四 及び第九十二条の五の規定を適用する。


この場合において、

同法第九十二条の三第三項中
第一項第二号の規定による指定をしたときは」とあるのは
競争の導入による公共サービスの改革に関する法律平成十八年法律第五十一号第三十三条第一項に規定する特定業務の実施について同法第二十条第一項の契約を締結したときは」と、

同法第九十二条の四第一項中
前条第一項」とあるのは
競争の導入による公共サービスの改革に関する法律第三十三条第一項」と

する。

4項

第二項の公共サービス実施民間事業者が実施する第一項第二号に規定する保険料の納付の請求の業務については、弁護士法昭和二十四年法律第二百五号第七十二条の規定は適用しない

5項

公共サービス実施民間事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、その実施する特定業務に関する帳簿書類を作成し、これを保存しなければならない。

6項

公共サービス実施民間事業者が実施する特定業務に従事する者(以下この条において「特定業務従事者」という。)は、面接の方法により第一項第二号に掲げる業務を行うに当たり、日本年金機構の理事長が発行するその身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

7項
特定業務従事者は、特定業務を実施するに当たり、人を威迫し又はその私生活 若しくは業務の平穏を害するような言動により、その者を困惑させてはならない。
8項
公共サービス実施民間事業者は、特定業務を実施するに当たり、偽りその他不正の手段を用いること その他の保険料滞納者の保護に欠け、又は特定業務の適正を害するおそれがあるものとして厚生労働省令で定める行為をしてはならない。
9項

日本年金機構の理事長は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、第二十条第一項の契約を解除することができる。

一 号

公共サービス実施民間事業者が、第五項の規定に違反して、帳簿書類の作成 若しくは保存をせず、又は虚偽の帳簿書類を作成したとき。

二 号

特定業務従事者が、第六項の規定に違反して、証明書を携帯せず、又はこれを提示しなかったとき。

三 号

特定業務従事者が、第七項の規定に違反したとき。

四 号

公共サービス実施民間事業者が、前項の規定に違反して、同項の厚生労働省令で定める行為を行ったとき。

五 号

公共サービス実施民間事業者が、納付受託業務について、次のいずれかに該当するとき。

第三項の規定により適用される国民年金法第九十二条の四第二項 又は第九十二条の五第二項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

第三項の規定により適用される国民年金法第九十二条の五第一項の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。

第三項の規定により適用される国民年金法第九十二条の五第三項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。

10項

前各項に定めるもののほか、公共サービス実施民間事業者による特定業務 及び納付受託業務の実施に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。

1項

法務大臣は、次に掲げる登記所の業務(以下この条において「特定業務」という。)を、官民競争入札 又は民間競争入札の対象とすることができる。

一 号

不動産登記法平成十六年法律第百二十三号第百十九条第一項の規定に基づく同項に規定する登記事項証明書の交付 及び同条第二項の規定に基づく同項の書面の交付に係る業務

二 号

不動産登記法第百二十条第一項の規定に基づく同項に規定する地図等(以下この号において単に「地図等」という。)の全部 又は一部の写し(地図等が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下この条において同じ。)に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付 及び同法第百二十条第二項の規定に基づく地図等(地図等が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧に係る業務

三 号

不動産登記法第百二十一条第一項の規定に基づく同項の図面の全部 又は一部の写し(当該図面が電磁的記録に記録されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付 及び同条第二項の規定に基づく同項の図面の閲覧に係る業務

四 号

不動産登記法第百二十一条第三項 又は第四項の規定に基づくこれらの規定の登記簿の附属書類の閲覧に係る業務(同条第三項の正当な理由の有無の審査に係るものを除く

五 号

不動産登記法第百四十九条第一項の規定に基づく同項に規定する筆界特定書等(以下この号において単に「筆界特定書等」という。)の写し(筆界特定書等が電磁的記録をもって作成されているときは、当該記録された情報の内容を証明した書面)の交付 及び同条第二項の規定に基づく筆界特定書等(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの。次号において同じ。)の閲覧に係る業務

六 号

不動産登記法第百四十九条第二項の規定に基づく同法第百四十五条に規定する筆界特定手続記録(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧(前号の筆界特定書等の閲覧を除く)に係る業務(同項ただし書の利害関係の有無の審査に係るものを除く

七 号

商業登記法昭和三十八年法律第百二十五号第十条第一項他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同項に規定する登記事項証明書の交付 及び同法第十一条他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同条の書面の交付に係る業務

八 号

商業登記法第十一条の二他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同条の登記簿の附属書類の閲覧に係る業務(同条の利害関係の有無の審査に係るものを除く

九 号

商業登記法第十二条第一項他の法令において準用する場合を含む。)の規定に基づく同項の印鑑の証明書の交付に係る業務

十 号

外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律明治三十一年法律第十四号第八条において準用する不動産登記法第百十九条第一項の規定に基づく同項に規定する登記事項証明書の交付 及び外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律第八条において準用する不動産登記法第百十九条第二項の規定に基づく同項の書面の交付 並びに外国法人の登記及び夫婦財産契約の登記に関する法律第八条において準用する不動産登記法第百二十一条第三項 又は第四項の規定に基づくこれらの規定の登記簿の附属書類の閲覧に係る業務(閲覧については、同条第三項の正当な理由の有無の審査に係るものを除く

十一 号

抵当証券法昭和六年法律第十五号)第四十一条において読み替えて準用する不動産登記法第百十九条第一項の規定に基づく同項の抵当証券の控えの謄本 又は抄本の交付 並びに抵当証券法第四十一条において読み替えて準用する不動産登記法第百二十一条第三項 又は第四項の規定に基づくこれらの規定の抵当証券の控え 及びその附属書類の閲覧に係る業務(閲覧については、同条第三項の正当な理由の有無の審査に係るものを除く

十二 号

動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律平成十年法律第百四号第十三条第一項の規定に基づく同項に規定する概要記録事項証明書の交付に係る業務

十三 号

前各号に掲げるもののほか、登記所において公開される帳簿、書類 若しくは電磁的記録の閲覧 又はこれらに記載され、若しくは記録された事項を記載した書面の交付に係る業務であって法務省令で定めるもの

2項

特定業務を実施する公共サービス実施民間事業者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。

一 号
その人的構成に照らして、特定業務を適正かつ確実に実施することができる知識 及び能力を有していること。
二 号
個人情報の適正な取扱いを確保するための措置 その他特定業務を適正かつ確実に実施するために必要な措置として法務省令で定める措置が講じられていること。
三 号
その他法務省令で定める要件に適合するものであること。
3項

公共サービス実施民間事業者(その者が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員 その他の特定業務に従事する者(以下この条において「特定業務従事者」という。)又は特定業務従事者であった者は、第二十五条第一項に規定する秘密を漏らし、又は盗用することとならない場合であっても、特定業務の実施に関して知り得た情報を、特定業務の用に供する目的以外に利用してはならない。

4項
特定業務従事者は、登記官が管理する帳簿、書類 及び電磁的記録 その他の国が管理する設備 及び物品であって、特定業務の用に供するものについて、使用、保管 その他の取扱いをするときは、これを適正に行わなければならない。
5項

公共サービス実施民間事業者は、特定業務の実施状況を、法務省令で定めるところにより、定期的に、法務大臣に報告しなければならない。

6項

法務大臣は、次の各号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、期間を定めて、公共サービス実施民間事業者の実施する特定業務の全部 又は一部の停止を命ずることができる。

一 号

公共サービス実施民間事業者が、第二項各号に掲げる要件を満たさなくなったとき。

二 号

特定業務従事者が、第三項 又は第四項の規定に違反したとき。

三 号

公共サービス実施民間事業者が、前項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。

四 号

公共サービス実施民間事業者が、第二十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

五 号

公共サービス実施民間事業者が、第二十七条第一項の規定による指示に違反したとき。

7項

法務大臣は、前項の規定により特定業務の全部 又は一部の停止を命じたときは、その旨、その理由、当該公共サービス実施民間事業者の氏名 又は名称 並びに当該停止を命じた特定業務の内容 及びその期間を、官民競争入札等監理委員会に通知するとともに、遅滞なく、公表しなければならない。

8項

法務大臣は、第六項第二号 又は第三号に掲げる場合のいずれかに該当するときは、第二十条第一項の契約を解除することができる。

9項

前各項に定めるもののほか、公共サービス実施民間事業者による特定業務の実施に関し必要な事項は、法務省令で定める。

1項

法務大臣は、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律平成十七年法律第五十号。以下この項において「刑事収容施設法」という。第三条に規定する刑事施設 並びに刑事収容施設法第二百八十七条第一項の規定によりこれに附置された労役場 及び監置場(以下この項において「刑事施設等」という。)の運営に関する業務のうち次に掲げるものであって、当該刑事施設等の被収容者等(刑事収容施設法第二条第一号第百七十四条第二項第二百八十八条 及び第二百八十九条第一項に規定する被収容者、刑事施設にとどまる者、労役場留置者 及び監置場留置者をいう。以下この項において同じ。)の犯罪的傾向 その他の事情を勘案し、当該業務を民間事業者に実施させることとしても当該刑事施設等における被収容者等の収容 及び処遇に関する事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがないと認められるもの(以下この条において「特定業務」という。)を、官民競争入札 又は民間競争入札の対象とすることができる。

一 号

刑事収容施設法第三十四条第一項刑事収容施設法第百七十四条第二項第二百八十八条 及び第二百八十九条第一項以下この項において「滞留者等関係規定」と総称する。)において準用する場合を含む。)の規定による検査(写真の撮影 及び指紋の採取 並びにこれらに準ずるものとして政令で定める検査に限る)の実施に係る業務

二 号

刑事収容施設法第四十四条滞留者等関係規定において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定による検査(刑事収容施設法第三十三条第一項第五号に規定する書籍等(以下この号において単に「書籍等」という。)の内容に係るものを除く)の実施 及び刑事収容施設法第七十条第一項滞留者等関係規定において準用する場合を含む。)の規定により書籍等の閲覧を禁止すべき事由の有無を確認するための刑事収容施設法第四十四条の規定による書籍等の内容に係る検査の補助に係る業務

三 号

刑事収容施設法第四十七条第一項第四十八条第五項 及び第五十二条これらの規定を滞留者等関係規定において準用する場合を含む。)並びに第百三十二条第三項 及び第四項 並びに第百三十三条これらの規定を刑事収容施設法第百三十六条刑事収容施設法第百四十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)、第百三十八条刑事収容施設法第二百八十九条第四項同条第五項において準用する場合を含む。)において準用する場合を含む。第十二号において同じ。)、第百四十一条第百四十二条第百四十四条刑事収容施設法第百七十四条第二項において準用する場合を含む。同号において同じ。)、第二百八十八条 及び第二百八十九条第三項同条第五項において準用する場合を含む。同号において同じ。)(以下この項において「未決拘禁者等関係規定」と総称する。)において準用する場合を含む。)の規定による物品 その他の物の引渡しの実施に係る業務

四 号

刑事収容施設法第四十七条第二項 及び第四十八条第四項これらの規定を滞留者等関係規定において準用する場合を含む。)の規定により領置することとされた物品の保管に係る業務

五 号

刑事収容施設法第六十一条第一項 及び第六十六条第五項これらの規定を滞留者等関係規定において準用する場合を含む。)の規定による健康診断(感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律平成十年法律第百十四号第五十三条の二第一項の規定によるものを含む。)の実施に係る業務

六 号

刑事収容施設法第七十三条第一項滞留者等関係規定において準用する場合を含む。)の目的を達成するための被収容者等の行動の監視 及び刑事施設等の警備(いずれも被収容者等の行動の制止 その他の被収容者等に対する有形力の行使を伴うものを除く)に係る業務

七 号

刑事収容施設法第七十五条第一項 及び第百五十四条第二項これらの規定を滞留者等関係規定において準用する場合を含む。)の規定による検査(身体に係るものを除く)の実施 並びにこれらの規定により取り上げられた所持品の一時保管に係る業務

八 号

刑事収容施設法第八十四条第一項刑事収容施設法第二百八十八条において準用する場合を含む。)に規定する作業に関する技術上の指導監督の実施に係る業務(第十一号に掲げる業務を除く

九 号

刑事収容施設法第八十四条第三項に規定する調査の実施に係る業務

十 号

刑事収容施設法第八十五条第一項第百三条第一項 及び第百四条の規定による指導(講習、面接 その他これらに類する方法によるものに限る)の実施に係る業務

十一 号

刑事収容施設法第九十四条第二項に規定する訓練の実施に係る業務

十二 号

刑事収容施設法第百二十七条第一項刑事収容施設法第百四十四条第二百八十八条 及び第二百八十九条第三項において準用する場合を含む。)、第百三十三条未決拘禁者等関係規定において準用する場合を含む。)、第百三十五条第一項刑事収容施設法第百三十八条 及び第百四十二条において準用する場合 並びに刑事収容施設法第百四十五条の規定によりその例によることとされる場合を含む。)及び第百四十条第一項の規定による検査の補助(当該検査の補助として信書の内容を確認する者がその信書を発受する個人を識別することができないようにすること その他の個人情報の適正な取扱いを確保するための方法として法務大臣が定める方法によるものに限る)に係る業務

十三 号

刑事収容施設法第百三十二条第一項 及び第二項 並びに第百三十三条これらの規定を未決拘禁者等関係規定において準用する場合を含む。)の規定による保管 及び複製の作成に係る業務

2項

特定業務を実施する公共サービス実施民間事業者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。

一 号
その人的構成に照らして、特定業務を適正かつ確実に実施することができる知識 及び能力を有していること。
二 号
個人情報の適正な取扱いを確保するための措置 その他特定業務を適正かつ確実に実施するために必要な措置として法務省令で定める措置が講じられていること。
三 号
その他法務省令で定める要件に適合するものであること。
3項

公共サービス実施民間事業者は、第十条第一号から第四号までいずれかに該当する者を特定業務に従事させてはならない。

4項

法務大臣は、公共サービス実施民間事業者が次の各号いずれかに該当するときは、期間を定めて、その実施する特定業務の全部 又は一部の停止を命ずることができる。

一 号

第二項各号に掲げる要件を満たさなくなったとき。

二 号

前項の規定に違反したとき。

三 号

第二十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

四 号

第二十七条第一項の規定による指示に違反したとき。

5項

法務大臣は、前項の規定により特定業務の全部 又は一部の停止を命じたときは、その旨、その理由、当該公共サービス実施民間事業者の氏名 又は名称 並びに当該停止を命じた特定業務の内容 及びその期間を、官民競争入札等監理委員会に通知するとともに、遅滞なく、公表しなければならない。

6項

法務大臣は、公共サービス実施民間事業者が第四項第二号に該当するときは、第二十条第一項の契約を解除することができる。

7項

前各項に定めるもののほか、公共サービス実施民間事業者による特定業務の実施に関し必要な事項は、法務省令で定める。

1項
地方公共団体は、実施方針を作成し、かつ、官民競争入札実施要項 又は民間競争入札実施要項を定めた場合には、次に掲げる当該地方公共団体の業務を、官民競争入札 又は民間競争入札の対象とすることができる。
一 号

戸籍法昭和二十二年法律第二百二十四号第十条第一項同法第四条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の規定に基づく戸籍謄本等(同項の戸籍謄本等 又は同法第百二十条第一項同法第四条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の戸籍証明書をいう。以下この号において同じ。)の交付 若しくは同法第百二十条の三第一項同法第四条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の戸籍電子証明書の提供(いずれも戸籍に記載され、又は記録されている者に対するものに限る)又は同法第十二条の二同法第四条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)において準用する同法第十条第一項の規定に基づく除籍謄本等(同法第十二条の二の除籍謄本等 又は同法第百二十条第一項の除籍証明書をいう。以下この号において同じ。)の交付 若しくは同法第百二十条の三第一項の除籍電子証明書の提供(いずれも除かれた戸籍に記載され、又は記録されている者に対するものに限る)の請求の受付 及び当該請求に係る戸籍謄本等の引渡し 若しくは同法第百二十条の三第二項同法第四条において準用する場合を含む。以下この号において同じ。)の戸籍電子証明書提供用識別符号の提供 又は除籍謄本等の引渡し 若しくは同法第百二十条の三第二項の除籍電子証明書提供用識別符号の提供

二 号

地方税法昭和二十五年法律第二百二十六号)第二十条の十の規定に基づく同条の証明書(以下この号において「納税証明書」という。)の交付の請求の受付 及び当該請求に係る納税証明書の引渡し

三 号

住民基本台帳法昭和四十二年法律第八十一号)第十二条第一項の規定に基づく同項の住民票の写し若しくは住民票記載事項証明書(以下この号において「住民票の写し等」という。)の交付 又は同法第十五条の四第一項の規定に基づく同項の除票の写し若しくは除票記載事項証明書(以下この号において「除票の写し等」という。)の交付の請求の受付 及び当該請求に係る住民票の写し等 又は除票の写し等の引渡し

四 号

住民基本台帳法第二十条第一項の規定に基づく同項の戸籍の附票の写し(以下この号において「戸籍の附票の写し」という。)の交付(当該戸籍の附票に記録されている者に対するものに限る)又は同法第二十一条の三第一項の規定に基づく同項の戸籍の附票の除票の写し(以下この号において「戸籍の附票の除票の写し」という。)の交付(当該戸籍の附票の除票に記載されている者に対するものに限る)の請求の受付 及び当該請求に係る戸籍の附票の写し 又は戸籍の附票の除票の写しの引渡し

五 号

市町村長(特別区の区長を含むものとし、地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、市長 又は区長 若しくは総合区長とする。)が作成する印鑑に関する証明書(以下この号において「印鑑登録証明書」という。)の交付(当該印鑑登録証明書に記載されている者に対するものに限る)の請求の受付 及び当該請求に係る印鑑登録証明書の引渡し

2項

前項各号に掲げる業務(以下この条において「特定業務」という。)を実施する公共サービス実施民間事業者は、次に掲げる要件のいずれにも該当する者でなければならない。

一 号
その人的構成に照らして、特定業務を適正かつ確実に実施することができる知識 及び能力を有していること。
二 号
特定業務を適正かつ確実に実施するために必要な施設 及び設備として総務省令・法務省令で定める施設 及び設備を備えていること。
三 号
個人情報の適正な取扱いを確保するための措置 その他特定業務を適正かつ確実に実施するために必要な措置として総務省令・法務省令で定める措置が講じられていること。
四 号
その他総務省令・法務省令で定める要件に適合するものであること。
3項

地方公共団体は、第二十三条において準用する第二十条第一項の契約(以下この条において単に「契約」という。)を締結しようとするときは、あらかじめ、当該地方公共団体の議会の議決を経なければならない。

4項

地方公共団体は、第二十三条において準用する第二十条第二項の規定にかかわらず、契約を締結したときは、その旨、当該契約の相手方となる公共サービス実施民間事業者の氏名 又は名称、当該公共サービス実施民間事業者が実施する特定業務の内容 及びその期間を、遅滞なく、告示しなければならない。

5項

地方公共団体が、第二十三条において準用する第二十一条第一項の規定により契約を変更する場合 又は協議により契約を解除する場合には、前二項の規定を準用する。

6項

地方公共団体の長は、公共サービス実施民間事業者が次の各号いずれかに該当するときは、期間を定めて、その実施する特定業務の全部 又は一部の停止を命ずることができる。

一 号

第二項各号に掲げる要件を満たさなくなったとき。

二 号

第二十八条において準用する第二十七条第一項の規定による指示に違反したとき。

7項

地方公共団体の長は、第二十三条において準用する第二十二条第一項の規定により契約を解除したときは、同条第四項の規定にかかわらず、その旨、その理由 及び当該公共サービス実施民間事業者の氏名 又は名称を、遅滞なく、告示し、前項の規定により特定業務の全部 又は一部の停止を命じたときは、その旨、その理由、当該公共サービス実施民間事業者の氏名 又は名称 並びに当該停止を命じた特定業務の内容 及びその期間を、第四十七条第一項に規定する合議制の機関に通知するとともに、遅滞なく、告示しなければならない。

8項

公共サービス実施民間事業者は、特定業務取扱事業所(公共サービス実施民間事業者が特定業務を取り扱う事業所をいう。)に勤務する者が特定業務に関して知り得た情報を当該特定業務の取扱い以外の目的のために利用することを防止するために、必要な措置を講じなければならない。

9項

前各項に定めるもののほか、公共サービス実施民間事業者による特定業務の実施に関し必要な事項のうち、第一項第二号第三号 又は第五号に掲げる業務に係るものについては総務省令で、同項第一号に掲げる業務に係るものについては法務省令で、同項第四号に掲げる業務に係るものについては総務省令・法務省令で定める。