この法律は、自衛隊員が国民全体の奉仕者であってその職務は国民から負託された公務であることにかんがみ、自衛隊員の職務に係る倫理の保持に資するため必要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為の防止を図り、もって公務に対する国民の信頼を確保することを目的とする。
自衛隊員倫理法
第一章 総則
この法律において、「自衛隊員」とは、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第二条第五項に規定する隊員(常勤を要しない者(同法第四十一条の二第一項に規定する短時間勤務の官職を占めるものを除く。)を除く。)をいう。
この法律において、「部員級以上の自衛隊員」とは、次に掲げる自衛隊員(第一号 及び第三号に掲げる自衛隊員については、防衛省の職員の給与等に関する法律(昭和二十七年法律第二百六十六号。以下「給与法」という。)第十一条の三第一項に規定する俸給の特別調整額の支給を受ける者に限る。)をいう。
給与法別表第一自衛隊教官俸給表の適用を受ける自衛隊員であって、同表の職務の級二級のもの
給与法第四条第一項の規定により一般職の職員の給与に関する法律(昭和二十五年法律第九十五号。以下「一般職給与法」という。)別表第一イ行政職俸給表(一)の適用を受ける自衛隊員であって、同表の職務の級五級以上のもの
給与法第四条第一項の規定により一般職給与法別表第六イ教育職俸給表(一)の適用を受ける自衛隊員であって、同表の職務の級三級以上のもの
給与法第四条第一項の規定により一般職給与法別表第七研究職俸給表の適用を受ける自衛隊員であって、同表の職務の級四級以上のもの
給与法第四条第一項の規定により一般職給与法別表第八イ医療職俸給表(一)の適用を受ける自衛隊員であって、同表の職務の級三級以上のもの
給与法第四条第一項の規定により一般職給与法別表第八ロ医療職俸給表(二)の適用を受ける自衛隊員であって、同表の職務の級六級以上のもの
給与法第四条第一項の規定により一般職給与法別表第八ハ医療職俸給表(三)の適用を受ける自衛隊員であって、同表の職務の級六級以上のもの
給与法第四条第一項の規定により一般職給与法別表第十専門スタッフ職俸給表の適用を受ける自衛隊員
給与法第四条第一項の規定により一般職給与法別表第十一指定職俸給表の適用を受ける自衛隊員
給与法第四条第二項の規定により一般職の任期付職員の採用及び給与の特例に関する法律(平成十二年法律第百二十五号。次項において「一般職任期付職員法」という。)第七条第一項の俸給表に定める額の俸給を受ける自衛隊員
給与法第四条第三項の規定により一般職の任期付研究員の採用、給与及び勤務時間の特例に関する法律(平成九年法律第六十五号)第六条第一項の俸給表に定める額の俸給を受ける自衛隊員
この法律において、「本省審議官級以上の自衛隊員」とは、次に掲げる自衛隊員をいう。
給与法第四条第一項の規定により一般職給与法別表第十一指定職俸給表の適用を受ける自衛隊員
給与法第四条第二項の規定により一般職任期付職員法第七条第一項の俸給表に定める額の俸給(同表六号俸の俸給月額以上のものに限る。)を受ける自衛隊員
給与法別表第二自衛官俸給表の適用を受ける自衛隊員であって、同表の陸将、海将 及び空将の欄に定める額の俸給を受けるもの並びに陸将補、海将補 及び空将補の(一)欄に定める額の俸給を受けるもの
この法律において、「事業者等」とは、法人(法人でない社団 又は財団で代表者 又は管理人の定めがあるものを含む。)その他の団体 及び事業を行う個人(当該事業の利益のためにする行為を行う場合における個人に限る。)をいう。
この法律の規定の適用については、事業者等の利益のためにする行為を行う場合における役員、従業員、代理人 その他の者は、前項の事業者等とみなす。
自衛隊員は、国民全体の奉仕者であり、国民の一部に対してのみの奉仕者ではないことを自覚し、職務上知り得た情報について国民の一部に対してのみ有利な取扱いをする等国民に対し不当な差別的取扱いをしてはならず、常に公正な職務の執行に当たらなければならない。
自衛隊員は、常に公私の別を明らかにし、いやしくも その職務や地位を自らや自らの属する組織のための私的利益のために用いてはならない。
自衛隊員は、法律により与えられた権限の行使に当たっては、当該権限の行使の対象となる者からの贈与等を受けること等の国民の疑惑や不信を招くような行為をしてはならない。
内閣は、毎年、国会に、自衛隊員の職務に係る倫理の保持に関する状況 及び自衛隊員の職務に係る倫理の保持に関して講じた施策に関する報告書を提出しなければならない。