自衛隊法

# 昭和二十九年法律第百六十五号 #

第百三条 # 防衛出動時における物資の収用等

@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十四号による改正

1項

第七十六条第一項第一号に係る部分に限る。以下この条において同じ。)の規定により自衛隊が出動を命ぜられ、当該自衛隊の行動に係る地域において自衛隊の任務遂行上必要があると認められる場合には、都道府県知事は、防衛大臣 又は政令で定める者の要請に基づき、病院、診療所 その他政令で定める施設(以下この条において「施設」という。)を管理し、土地、家屋 若しくは物資(以下この条において「土地等」という。)を使用し、物資の生産、集荷、販売、配給、保管 若しくは輸送を業とする者に対してその取り扱う物資の保管を命じ、又はこれらの物資を収用することができる。


ただし、事態に照らし緊急を要すると認めるときは、防衛大臣 又は政令で定める者は、都道府県知事に通知した上で、自らこれらの権限を行うことができる。

2項

第七十六条第一項の規定により自衛隊が出動を命ぜられた場合においては、当該自衛隊の行動に係る地域以外の地域においても、都道府県知事は、防衛大臣 又は政令で定める者の要請に基づき、自衛隊の任務遂行上特に必要があると認めるときは、防衛大臣が告示して定めた地域内に限り、施設の管理、土地等の使用 若しくは物資の収用を行い、又は取扱物資の保管命令を発し、また、当該地域内にある医療、土木建築工事 又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事 又は輸送の業務と同種の業務で防衛大臣 又は政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる。

3項

前二項の規定により土地を使用する場合において、当該土地の上にある立木 その他土地に定着する物件家屋を除く。以下「立木等」という。)が自衛隊の任務遂行の妨げとなると認められるときは、都道府県知事(第一項ただし書の場合にあつては、同項ただし書の防衛大臣 又は政令で定める者。次項第七項第十三項 及び第十四項において同じ。)は、第一項の規定の例により、当該立木等を移転することができる


この場合において、事態に照らし移転が著しく困難であると認めるときは、同項の規定の例により、当該立木等を処分することができる

4項

第一項の規定により家屋を使用する場合において、自衛隊の任務遂行上 やむを得ない必要があると 認められるときは、都道府県知事は、同項の規定の例により、その必要な限度において、当該家屋の形状を変更することができる

5項

第二項に規定する医療、土木建築工事 又は輸送に従事する者の範囲は、政令で定める。

6項

第一項本文 又は第二項の規定による処分の対象となる施設、土地等 又は物資を第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊の用に供するため必要な事項は、都道府県知事と当該処分を要請した者とが協議して定める。

7項

第一項から第四項までの規定による処分を行う場合には、都道府県知事は、政令で定めるところにより公用令書を交付して行わなければならない。


ただし、土地の使用に際して公用令書を交付すべき相手方の所在が知れない場合 その他の政令で定める場合にあつては、政令で定めるところにより事後に交付すれば足りる。

8項

前項の公用令書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号

公用令書の交付を受ける者の氏名(法人にあつては、名称)及び住所

二 号

当該処分の根拠となつたこの法律の規定

三 号

次に掲げる処分の区分に応じ、それぞれ次に定める事項

施設の管理

管理する施設の所在する場所 及び管理する期間

土地 又は家屋の使用

使用する土地 又は家屋の所在する場所 及び使用する期間

物資の使用

使用する物資の種類、数量、所在する場所 及び使用する期間

取扱物資の保管命令

保管すべき物資の種類、数量、保管すべき場所 及び期間

物資の収用

収用する物資の種類、数量、所在する場所 及び収用する期日

業務従事命令

従事すべき業務、場所 及び期間

立木等の移転 又は処分

移転し、又は処分する立木等の種類、数量 及び所在する場所

家屋の形状の変更

家屋の所在する場所 及び変更の内容

四 号
当該処分を行う理由
9項

前二項に定めるもののほか、公用令書の様式その他公用令書について必要な事項は、政令で定める。

10項

都道府県第一項ただし書の場合にあつては、)は、第一項から第四項までの規定による処分(第二項の規定による業務従事命令を除く)が行われたときは、当該処分により通常生ずべき損失を補償しなければならない。

11項

都道府県は、第二項の規定による業務従事命令により業務に従事した者に対して、政令で定める基準に従い、その実費を弁償しなければならない。

12項

都道府県は、第二項の規定による業務従事命令により業務に従事した者がそのため死亡し、負傷し、若しくは疾病にかかり、又は障害の状態となつたときは、政令で定めるところにより、その者 又はその者の遺族 若しくは被扶養者がこれらの原因によつて受ける損害を補償しなければならない。

13項

都道府県知事は、第一項 又は第二項の規定により施設を管理し、土地等を使用し、取扱物資の保管を命じ、又は物資を収用するため必要があるときは、その職員に施設、土地、家屋 若しくは物資の所在する場所 又は取扱物資を保管させる場所に立ち入り、当該施設、土地、家屋 又は物資の状況を検査させることができる。

14項

都道府県知事は、第一項 又は第二項の規定により取扱物資を保管させたときは、保管を命じた者に対し必要な報告を求め、又はその職員に当該物資を保管させてある場所に立ち入り、当該物資の保管の状況を検査させることができる。

15項

前二項の規定により立入検査をする場合には、あらかじめその旨をその場所の管理者に通知しなければならない。

16項

第十三項 又は第十四項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

17項

前各項に定めるもののほか第一項から第四項までの規定による処分について必要な手続は、政令で定める。

18項

第一項から第四項までの規定による処分については、審査請求をすることができない

19項

第一項から第四項まで、第六項第七項 及び第十項から第十五項までの規定の実施に要する費用は、国庫の負担とする。