船員法

# 昭和二十二年法律第百号 #

第十一章の二 船員の労働条件等の検査等

分類 法律
カテゴリ   海運
@ 施行日 : 令和六年五月三十一日 ( 2024年 5月31日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第四十二号
最終編集日 : 2024年 11月06日 20時14分


1項

総トン数五百トン以上の日本船舶(漁船 その他国土交通省令で定める特別の用途に供される船舶を除く。以下「特定船舶」という。)の船舶所有者は、当該特定船舶を初めて本邦の港と本邦以外の地域の港との間 又は本邦以外の地域の各港間の航海(以下「国際航海」という。)に従事させようとするときは、当該特定船舶に係る船員の労働条件、安全衛生 その他の労働環境 及び療養補償(以下「労働条件等」という。)について、国土交通大臣 又は第百条の十二の規定により国土交通大臣の登録を受けた者(以下「登録検査機関」という。)の行う定期検査を受けなければならない。


次条第一項の海上労働証書 又は第百条の六第三項の臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶をその有効期間満了後も国際航海に従事させようとするときも、同様とする。

2項

前項の検査は、特定船舶以外の日本船舶(漁船 その他同項の国土交通省令で定める特別の用途に供される船舶を除く)であつて、国際航海に従事させようとするものについても、船舶所有者の申請により実施することができる。

1項

国土交通大臣は、国土交通大臣 又は登録検査機関が前条第一項の検査の結果当該船舶が次に掲げる要件の全てに適合すると認めたときは、当該船舶の船舶所有者に対し、海上労働証書を交付しなければならない。


国土交通大臣 又は登録検査機関が同項の検査の結果当該船舶が次に掲げる要件のいずれかに適合していないと認めた場合において、国土交通大臣が当該要件に適合するために必要な措置が講じられたものと認めたときも、同様とする。

一 号

第三十二条第一項 及び第三項の規定により、船員にこれらの規定に規定する書面が交付されていること。

二 号

第三十二条の二各号に掲げる者が船員として雇い入れられていないこと。

三 号

第三十六条第一項 及び第二項の規定により、船員にこれらの規定に規定する書面が交付されていること。

四 号

第三十六条第三項の規定により、同項に規定する書面の写しが船内に備え置かれていること。

五 号

第四十七条第一項 又は第二項の規定による送還(当該送還に代えてするその費用の支払を含む。)を確実に実施するために必要な金額を担保するための保険契約の締結 その他の措置が講じられていること。

六 号

第五十条第三項の規定により、船員の勤務に関する事項が船員手帳に記載されていること。

七 号

第五十三条第一項 及び第二項 並びに第五十六条の規定により、船員に給料 その他の報酬が支払われていること。

八 号

第五十三条第三項の規定により、船員に同項に規定する書面が交付されていること。

九 号

船員の労働時間 及び休日が、第六十条第一項 及び第二項第六十一条第六十二条第六十四条第一項 及び第二項第六十四条の二第一項第六十五条第六十五条の二第一項第八十八条の二の二第五項において準用する場合を含む。)及び第二項第六十五条の二第三項 及び第四項これらの規定を第八十八条の二の二第五項において準用する場合を含む。)並びに第五項第六十五条の三第一項 及び第二項同条第三項第八十八条の二の二第六項において準用する場合を含む。)、第六十八条第一項第七十一条第七十二条第八十八条の二第八十八条の二の二第一項から第三項まで第八十八条の三第一項から第三項まで 並びに第八十八条の五の規定による基準に適合しているものであること。

十 号

第六十六条の二の規定により、通常配置表が定められ、及びこれが掲示されていること。

十一 号

第六十七条第一項の規定により同項に規定する事項が記録簿に記載されており、かつ、同条第二項の規定によりその写しが船員に交付されていること。

十二 号

第七十条の規定により、必要な員数の海員が乗り組んでいること。

十三 号

第八十条第一項から第三項までの規定により、船員に食料が支給されていること。

十四 号

第八十条第四項の国土交通省令で定める船舶にあつては、同項の国土交通省令で定める基準に該当する者が乗り組んでいること。

十五 号

船内作業による危害の防止 及び船内衛生の保持に関し第八十一条第一項の国土交通省令で定める事項が遵守されていること。

十六 号

第八十一条第二項の国土交通省令で定める危険な船内作業に、同項の国土交通省令で定める経験 又は技能を有しない船員が従事していないこと。

十七 号

第八十一条第三項各号に掲げる船員が作業に従事していないこと。

十八 号

第八十二条第一号 及び第二号に掲げる船舶にあつては、同条の規定により、医師が乗り組んでいること。

十九 号

第八十二条の二第一項第一号に掲げる船舶にあつては、同項 及び同条第二項の規定により、衛生管理者が選任されていること。

二十 号

第八十三条第一項の健康証明書を持たない者が船舶に乗り組んでいないこと。

二十一 号

年齢十六年未満の者が船員として使用されていないこと。

二十二 号

年齢十八年未満の船員が第八十一条第二項の国土交通省令で定める危険な船内作業 又は第八十五条第二項の国土交通省令で定める当該船員の安全 及び衛生上有害な作業に従事していないこと。

二十三 号

年齢十八年未満の船員が第八十六条の規定により作業に従事させてはならない時刻の間において作業に従事していないこと。

二十四 号

第八十九条の規定により、船員が負傷し、又は疾病にかかつたとき(第九十五条に規定する場合を除く)において、船舶所有者がその費用で療養を施し、又は療養に必要な費用を負担していること。

二十五 号

第九十二条の障害手当 及び第九十三条の遺族手当を確実に支払うために必要な金額を担保するための保険契約の締結 その他の措置が講じられていること。

二十六 号

第百十三条第一項の規定により、同項に規定する書類が船内の見やすい場所に掲示され、又は備え置かれていること。

二十七 号

第百十七条の二第一項の国土交通省令で定める船舶にあつては、同項の規定により、同項に規定する航海当直部員が乗り組んでいること。

二十八 号

第百十八条の六第一項の規定により、同項に規定する船内苦情処理手続が定められていること。

二十九 号

第百十八条の六第二項の規定により、船員に同項に規定する書面が交付されていること。

三十 号

第百十八条の六第三項の規定により、同条第一項の苦情が処理されていること。

三十一 号

第百十八条の六第一項の苦情の申出をしたことを理由として、船員に対して不利益な取扱いがされていないこと。

三十二 号

有効な船舶安全法昭和八年法律第十一号)第九条第一項の船舶検査証書 又は同条第二項の臨時航行許可証の交付を受けていること。

三十三 号

船舶職員及び小型船舶操縦者法第二条第一項に規定する船舶(同条第四項に規定する小型船舶を除く)にあつては、同法第十八条、第十九条第一項 及び第二十三条第五項の規定により、同法第二条第二項に規定する船舶職員が乗り組んでいること。

三十四 号
国土交通省令で定めるところにより、当該船舶が前各号に掲げる要件に適合するために船舶所有者が実施すべき事項 並びにその管理の体制 及び方法が定められており、かつ、これらが適確に実施されていること。
2項

前項の海上労働証書(以下「海上労働証書」という。)の有効期間は、五年とする。

3項

前条第一項後段の検査の結果第一項の規定による海上労働証書の交付を受けることができる特定船舶であつて、国土交通省令で定める事由により従前の海上労働証書の有効期間が満了するまでの間において当該検査に係る海上労働証書の交付を受けることができなかつたものについては、従前の海上労働証書の有効期間は、前項の規定にかかわらず、当該検査に係る海上労働証書が交付される日 又は従前の海上労働証書の有効期間が満了する日の翌日から起算して五月を経過する日のいずれか早い日までの期間とする。

4項

前二項の規定にかかわらず、海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者の変更があつたときは、当該船舶に交付された海上労働証書の有効期間は、その変更があつた日に満了したものとみなす。

5項

次に掲げる場合における海上労働証書の有効期間は、第二項の規定にかかわらず、従前の海上労働証書の有効期間(第二号に掲げる場合にあつては、第三項の規定の適用がないものとした場合の有効期間)が満了する日の翌日から起算して五年を経過する日までの期間とする。

一 号

従前の海上労働証書の有効期間が満了する日前三月以内に受けた前条第一項後段の検査に係る海上労働証書の交付を受けたとき。

二 号

従前の海上労働証書の有効期間について第三項の規定の適用があつたとき。

1項

海上労働証書の交付を受けた船舶の船舶所有者は、当該海上労働証書の有効期間中において国土交通省令で定める時期に、当該船舶に係る船員の労働条件等について国土交通大臣 又は登録検査機関の行う中間検査を受けなければならない。

1項

国土交通大臣は、国土交通大臣 又は登録検査機関が前条の検査の結果当該船舶が第百条の三第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合していないと認めたときは、当該要件に適合するために必要な措置が講じられたものと認めるまでの間、当該船舶に交付された海上労働証書の効力を停止するものとする。

1項

特定船舶の船舶所有者は、当該特定船舶について船舶所有者の変更があつたこと その他の国土交通省令で定める事由により有効な海上労働証書の交付を受けていない当該特定船舶を臨時に国際航海に従事させようとするときは、当該特定船舶に係る船員の労働条件等について、国土交通大臣 又は登録検査機関(当該特定船舶が海上運送法第三十八条第四項の規定による検査を受けた船舶であるときは、正当な理由がある場合を除き、国土交通大臣 又は登録検査機関のうち当該検査を行つたもの)の行う検査を受けなければならない。

2項

前項の検査は、特定船舶以外の日本船舶(漁船 その他第百条の二第一項の国土交通省令で定める特別の用途に供される船舶を除く)であつて、前項の国土交通省令で定める事由により有効な海上労働証書の交付を受けていないものを臨時に国際航海に従事させようとするものについても、船舶所有者の申請により実施することができる。

3項

国土交通大臣は、国土交通大臣 又は登録検査機関が第一項の検査の結果当該船舶が次に掲げる要件の全てに適合すると認めたときは、当該船舶の船舶所有者に対し、臨時海上労働証書を交付しなければならない。

一 号

第百条の三第一項第一号から第五号まで第十号第十二号第十四号第十八号から第二十一号まで第二十五号から第二十九号まで第三十二号 及び第三十三号の要件に適合していること。

二 号

船内作業による危害の防止 及び船内衛生の保持に関し第八十一条第一項の国土交通省令で定める事項のうち、作業用具の整備、船内衛生の保持に必要な設備の設置 及び物品の備付け 並びに船内作業による危害の防止 及び船内衛生の保持に関する措置の船内における実施 及びその管理の体制の整備に関するものとして国土交通省令で定める事項が遵守されていること。

三 号

国土交通省令で定めるところにより、当該船舶が第百条の三第一項第一号から第三十三号までに掲げる要件に適合するために船舶所有者が実施すべき事項 並びにその管理の体制 及び方法が定められていること。

4項

前項の臨時海上労働証書(以下「臨時海上労働証書」という。)の有効期間は、六月とする。


ただし、その有効期間は、当該船舶の船舶所有者が当該船舶について海上労働証書の交付を受けたときは、満了したものとみなす。

5項

第百条の三第四項の規定は、臨時海上労働証書について準用する。

1項

特定船舶は、有効な海上労働証書 又は臨時海上労働証書の交付を受けているものでなければ、国際航海に従事させてはならない。

1項

海上労働証書 又は臨時海上労働証書の交付を受けた特定船舶の船舶所有者は、当該特定船舶内に、国土交通省令で定めるところにより、これらの証書を備え置かなければならない。

1項

第百条の二第一項第百条の四 又は第百条の六第一項の検査(以下「法定検査」という。)の結果に不服がある者は、その結果に関する通知を受けた日の翌日から起算して三十日以内に、その理由を記載した文書を添えて国土交通大臣に再検査を申請することができる。

2項

法定検査 又は前項の再検査の結果に不服がある者は、その取消しの訴えを提起することができる。

3項

再検査を申請した者は、国土交通大臣の許可を受けた後でなければ関係する帳簿書類 その他の物件の現状を変更してはならない。

4項

法定検査の結果に不服がある者は、第一項 及び第二項の規定によることによつてのみこれを争うことができる。

1項

国土交通大臣は、海上労働証書の交付を受けた船舶が、第百条の三第一項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、当該船舶の船舶所有者に対し、海上労働証書の返納を命ずることができる。

2項

国土交通大臣は、臨時海上労働証書の交付を受けた船舶が、第百条の六第三項各号に掲げる要件のいずれかに適合しなくなつたと認めるときは、当該船舶の船舶所有者に対し、臨時海上労働証書の返納を命ずることができる。

1項

法定検査の申請書の様式、法定検査の実施方法 その他法定検査に関し必要な事項 並びに海上労働証書 及び臨時海上労働証書の様式、これらの証書の交付、再交付 及び書換え その他これらの証書に関し必要な事項は、国土交通省令で定める。