船舶の所有者等の責任の制限に関する法律

# 昭和五十年法律第九十四号 #
略称 : 船主責任制限法 

第二章 船舶の所有者等の責任の制限

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和二年十月一日 ( 2020年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和元年法律第十八号による改正
最終編集日 : 2023年 05月10日 14時07分


1項

船舶所有者等 又はその被用者等は、次に掲げる債権について、この法律で定めるところにより、その責任を制限することができる。

一 号

船舶上で又は船舶の運航に直接関連して生ずる人の生命 若しくは身体が害されることによる損害又は当該船舶以外の物の滅失 若しくは損傷による損害に基づく債権

二 号

運送品、旅客 又は手荷物の運送の遅延による損害に基づく債権

三 号

前二号に掲げる債権のほか、船舶の運航に直接関連して生ずる権利侵害による損害に基づく債権(当該船舶の滅失 又は損傷による損害に基づく債権 及び契約による債務の不履行による損害に基づく債権を除く

四 号

前条第二項第三号に掲げる措置により生ずる損害に基づく債権(当該船舶所有者等 及び その被用者等が有する債権を除く

五 号

前条第二項第三号に掲げる措置に関する債権(当該船舶所有者等 及び その被用者等が有する債権 並びにこれらの者との契約に基づく報酬 及び費用に関する債権を除く

2項

救助者 又はその被用者等は、次に掲げる債権について、この法律で定めるところにより、その責任を制限することができる。

一 号

救助活動に直接関連して生ずる人の生命 若しくは身体が害されることによる損害又は当該救助者に係る救助船舶以外の物の滅失 若しくは損傷による損害に基づく債権

二 号

前号に掲げる債権のほか、救助活動に直接関連して生ずる権利侵害による損害に基づく債権(当該救助者に係る救助船舶の滅失 又は損傷による損害に基づく債権 及び契約による債務の不履行による損害に基づく債権を除く

三 号

前条第二項第三号に掲げる措置により生ずる損害に基づく債権(当該救助者 及び その被用者等が有する債権を除く

四 号

前条第二項第三号に掲げる措置に関する債権(当該救助者 及び その被用者等が有する債権 並びにこれらの者との契約に基づく報酬 及び費用に関する債権を除く

3項

船舶所有者等 若しくは救助者 又は被用者等は、前二項の債権が、自己の故意により、又は損害の発生のおそれがあることを認識しながらした自己の無謀な行為によつて生じた損害に関するものであるときは、前二項の規定にかかわらず、その責任を制限することができない

4項

船舶所有者等 又はその被用者等は、旅客の損害に関する債権については、第一項の規定にかかわらず、その責任を制限することができない

1項

次に掲げる債権については、船舶所有者等 及び救助者は、その責任を制限することができない

一 号

海難の救助 又は共同海損の分担に基づく債権

二 号

船舶所有者等の被用者でその職務が船舶の業務に関するもの 又は救助者の被用者でその職務が救助活動に関するものの使用者に対して有する債権 及び これらの者の生命 又は身体が害されることによつて生じた第三者の有する債権

1項

船舶所有者等 若しくは救助者 又は被用者等が制限債権者に対して同一の事故から生じた債権を有する場合においては、この法律の規定は、その債権額を差し引いた残余の制限債権について、適用する。

1項

船舶所有者等 又はその被用者等がする責任の制限は、船舶ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての人の損害に関する債権 及び物の損害に関する債権に及ぶ。

2項

救助船舶に係る救助者 若しくは当該救助船舶の船舶所有者等 又はこれらの被用者等がする責任の制限は、救助船舶ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての人の損害に関する債権 及び物の損害に関する債権に及ぶ。

3項

前項の救助者以外の救助者 又はその被用者等がする責任の制限は、救助者ごとに、同一の事故から生じたこれらの者に対するすべての人の損害に関する債権 及び物の損害に関する債権に及ぶ。

4項

前三項の責任の制限が物の損害に関する債権のみについてするものであるときは、その責任の制限は、前三項の規定にかかわらず、人の損害に関する債権に及ばない。

1項

前条第一項 又は第二項に規定する責任の制限の場合における責任の限度額は、次のとおりとする。

一 号

責任を制限しようとする債権が物の損害に関する債権のみである場合においては、船舶のトン数に応じて、次に定めるところにより算出した金額。


ただし百トンに満たない木船については、一単位の五十万七千三百六十倍の金額とする。

二千トン以下の船舶にあつては、一単位の百五十一万倍の金額

二千トンを超える船舶にあつては、の金額に、二千トンを超え三万トンまでの部分については一トンにつき一単位の六百四倍を、三万トンを超え七万トンまでの部分については一トンにつき一単位の四百五十三倍を、七万トンを超える部分については一トンにつき一単位の三百二倍を乗じて得た金額を加えた金額

二 号

その他の場合においては、船舶のトン数に応じて、次に定めるところにより算出した金額

二千トン以下の船舶にあつては、一単位の四百五十三万倍の金額

二千トンを超える船舶にあつては、の金額に、二千トンを超え三万トンまでの部分については一トンにつき一単位の千八百十二倍を、三万トンを超え七万トンまでの部分については一トンにつき一単位の千三百五十九倍を、七万トンを超える部分については一トンにつき一単位の九百六倍を乗じて得た金額を加えた金額

2項

前項第二号に規定する場合においては、制限債権の弁済に充てられる金額のうち、その金額に同項第一号に掲げる金額(百トンに満たない木船については、同号イの金額)の同項第二号に掲げる金額に対する割合を乗じて得た金額に相当する部分は物の損害に関する債権の弁済に、その余の部分は人の損害に関する債権の弁済に、それぞれ充てられるものとする。


ただし、後者の部分が人の損害に関する債権を弁済するに足りないときは、前者の部分は、その弁済されない残額と物の損害に関する債権の額との割合に応じてこれらの債権の弁済に充てられるものとする。

3項

前条第三項に規定する責任の制限の場合における責任の限度額は、次のとおりとする。

一 号

責任を制限しようとする債権が物の損害に関する債権のみである場合においては、一単位の百五十一万倍の金額

二 号

その他の場合においては、一単位の四百五十三万倍の金額

4項

第二項の規定は、前項第二号に規定する場合について準用する。

5項

制限債権者は、その制限債権の額の割合に応じて弁済を受ける。

1項

前条第一項 及び第二項の船舶のトン数は、船舶のトン数の測度に関する法律昭和五十五年法律第四十号第四条第二項の規定の例により算定した数値にトンを付して表したものとする。