良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律

# 令和五年法律第五十七号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   厚生
最終編集日 : 2024年 04月29日 14時35分


1項

この法律は、ゲノム医療が個人の身体的な特性 及び病状に応じた最適な医療の提供を可能とすることにより国民の健康の保持に大きく寄与するものである一方で、その普及に当たって個人の権利利益の擁護のみならず人の尊厳の保持に関する課題に対応する必要があることに鑑み、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策(以下「ゲノム医療施策」という。)に関し、基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、基本計画の策定 その他ゲノム医療施策の基本となる事項を定めることにより、ゲノム医療施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

1項

この法律において「ゲノム医療」とは、個人の細胞の核酸を構成する塩基の配列の特性 又は当該核酸の機能の発揮の特性に応じて当該個人に対して行う医療をいう。

2項

この法律において「ゲノム情報」とは、人の細胞の核酸を構成する塩基の配列 若しくはその特性 又は当該核酸の機能の発揮の特性に関する情報をいう。

1項
ゲノム医療施策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
一 号

ゲノム医療の研究開発 及び提供に係る施策を相互の有機的な連携を図りつつ推進することにより、幅広い医療分野における世界最高水準のゲノム医療を実現し、その恵沢を広く国民が享受できるようにすること。

二 号

ゲノム医療の研究開発 及び提供には、子孫に受け継がれ得る遺伝子の操作を伴うもの その他の人の尊厳の保持に重大な影響を与える可能性があるものが含まれることに鑑み、その研究開発 及び提供の各段階において生命倫理への適切な配慮がなされるようにすること。

三 号

生まれながらに固有で子孫に受け継がれ得る個人のゲノム情報には、それによって当該個人はもとよりその家族についても将来の健康状態を予測し得る等の特性があることに鑑み、ゲノム医療の研究開発 及び提供において得られた当該ゲノム情報の保護が十分に図られるようにするとともに、当該ゲノム情報による不当な差別が行われることのないようにすること。

1項

は、前条の基本理念にのっとり、ゲノム医療施策を総合的かつ計画的に策定し、及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、第三条の基本理念にのっとり、ゲノム医療施策に関し、との連携を図りつつ、その地域の状況に応じて、施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

医師医療機関 その他の医療関係者以下「医師等」という。)並びに研究者 及び研究機関以下「研究者等」という。)は、 及び地方公共団体が実施するゲノム医療施策 及びこれに関連する施策に協力するよう努めなければならない。

1項

政府は、ゲノム医療施策を実施するため必要な財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。