著作権法

# 昭和四十五年法律第四十八号 #

第百十四条 # 損害の額の推定等

@ 施行日 : 令和六年一月一日 ( 2024年 1月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十三号による改正

1項

著作権者等が故意 又は過失により自己の著作権、出版権 又は著作隣接権を侵害した者(以下 この項において「侵害者」という。)に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、侵害者がその侵害の行為によつて作成された物(第一号において「侵害作成物」という。)を譲渡し、又はその侵害の行為を組成する公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。同号において「侵害組成公衆送信」という。)を行つたときは、次の各号に掲げる額の合計額を、著作権者等が受けた損害の額とすることができる。

一 号

譲渡等数量(侵害者が 譲渡した侵害作成物 及び侵害者が行つた侵害組成公衆送信を公衆が受信して作成した著作物 又は実演等の複製物(以下 この号において「侵害受信複製物」という。)の数量をいう。次号において同じ。)のうち 販売等相応数量(当該著作権者等が当該侵害作成物 又は当該侵害受信複製物を販売するとした場合に その販売のために必要な行為を行う能力に応じた数量をいう。同号において同じ。)を超えない部分(その全部 又は一部に相当する数量を当該著作権者等が販売することができないとする事情があるときは、当該事情に相当する数量(同号において「特定数量」という。)を控除した数量)に、著作権者等が その侵害の行為がなければ販売することができた物の単位数量当たりの利益の額を乗じて得た額

二 号

譲渡等数量のうち販売等相応数量を超える数量 又は特定数量がある場合(著作権者等が、その著作権、出版権 又は著作隣接権の行使をし得たと認められない場合を除く)におけるこれらの数量に応じた当該著作権、出版権 又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額

2項

著作権者出版権者 又は著作隣接権者が故意 又は過失によりその著作権、出版権 又は著作隣接権を侵害した者に対しその侵害により自己が受けた損害の賠償を請求する場合において、その者がその侵害の行為により利益を受けているときは、その利益の額は、当該著作権者出版権者 又は著作隣接権者が受けた損害の額と推定する。

3項

著作権者出版権者 又は著作隣接権者は、故意 又は過失によりその著作権、出版権 又は著作隣接権を侵害した者に対し、その著作権、出版権 又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として、その賠償を請求することができる。

4項

著作権者 又は著作隣接権者は、前項の規定によりその著作権 又は著作隣接権を侵害した者に対し損害の賠償を請求する場合において、その著作権 又は著作隣接権が著作権等管理事業法第二条第一項に規定する管理委託契約に基づき著作権等管理事業者管理するものであるときは、当該著作権等管理事業者が定める同法第十三条第一項に規定する使用料規程のうちその侵害の行為に係る著作物等の利用の態様について適用されるべき規定により算出したその著作権 又は著作隣接権に係る著作物等の使用料の額(当該額の算出方法が複数あるときは、当該複数の算出方法によりそれぞれ算出した額のうち最も高い額)をもつて、前項に規定する金銭の額とすることができる。

5項

裁判所は、第一項第二号 及び第三項に規定する著作権、出版権 又は著作隣接権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額を認定するに当たつては、著作権者等が、自己の著作権、出版権 又は著作隣接権の侵害があつたことを前提として当該著作権、出版権 又は著作隣接権を侵害した者との間でこれらの権利の行使の対価について合意をするとしたならば、当該著作権者等が得ることとなる その対価を考慮することができる。

6項

第三項の規定は、同項に規定する金額を超える損害の賠償の請求を妨げない。


この場合において、著作権、出版権 又は著作隣接権を侵害した者に故意 又は重大な過失がなかつたときは、裁判所は、損害の賠償の額を定めるについて、これを参酌することができる。