この法律は、連合国との間の平和の回復に伴い、連合国 又は連合国人が本邦内に有していた財産について戦争の結果生じた損害に対し、補償を行うことを目的とする。
連合国財産補償法
第一章 総則
この法律において「連合国」とは、左の各号に掲げる国をいう。
日本国との平和条約第二十五条に規定する連合国
日本国との平和条約以外の平和の回復に関する条約を日本国との間に締結した国で政令で定めるもの
この法律において「連合国人」とは、左の各号に掲げるものをいう。
連合国の法令に基いて設立された法人 その他の団体
前号に掲げるものを除く外、 営利を目的とする法人 その他の団体で、前二号 又は本号に掲げるものがその株式 又は持分(当該法人 その他の団体の役員が有する株式 又は持分を除く。)の全部を有するもの
第二号に掲げるものを除く外、前三号 又は本号に掲げるものが支配する宗教法人 その他の営利を目的としない法人 その他の団体
この法律において「本邦」とは、本州、北海道、四国、九州 その他 日本国との平和条約により日本国の主権が回復される地域をいう。
この法律において「戦時特別措置」とは、旧敵産管理法(昭和十六年法律第九十九号)による措置 その他の対敵措置であつて、連合国の国籍を有する者の逮捕、抑留 若しくは拘禁 又は連合国人の財産の処分 若しくは売却 その他の日本政府 又は その代理機関による公権力の行使として執られた措置をいう。
この法律において「財産」とは、動産、不動産、これらのものの上に存する権利、特許権、実用新案権、意匠権、商標権、債権、株式、出資に基く権利 その他 これらに準ずる財産権をいう。
連合国 又は連合国人が昭和十六年十二月八日(以下「開戦時」という。)において本邦内に有していた財産について戦争の結果損害が生じたときは、日本政府は、その損害を補償するものとする。
但し、連合国人が有していた財産については、当該連合国人が旧敵産管理法により敵国として告示された国に所属する場合 又は当該連合国人が戦時特別措置により逮捕され、抑留され、若しくは拘禁され、若しくは その有していた財産を押収され、処分され、若しくは売却された場合に限る。
前項に規定する場合を除く外、戦時中本邦内に居住していなかつた個人 又は本邦内において業務を行つていなかつた法人である連合国人が開戦時において本邦内に有していた財産について第四条第一項第一号 又は第五号に掲げる損害が生じたときは、日本政府は、その損害を補償するものとする。
返還できる状態にある財産について日本国との平和条約 その他の連合国との間の平和の回復に関する条約(以下「平和条約」という。)に規定される期限までに返還の請求がされなかつたときは、その財産について生じた損害は、補償されないものとする。
但し、その期限までに返還の請求がされなかつたことにつき日本政府がやむを得ない事由があると認めたときは、この限りではない。
第一項 又は第二項の規定による損害の補償の請求をすることができる者は、連合国である場合を除く外、開戦時 及び その者の所属する国と日本国との間に効力の発生した平和条約の効力発生時において連合国人であるものでなければならない。
連合国人の財産の承継人がその者の所属する国と日本国との間に効力の発生した平和条約の効力発生時において連合国人であるときは、その承継人は、第一項 又は第二項の規定による損害の補償の請求をすることができる。
但し、承継人が損害の生じていた財産を承継した場合においては、その損害についての補償の請求権を当該財産とともに承継したときに限る。
前五項の規定は、旧外貨債処理法(昭和十八年法律第六十号)の規定の適用を受けた公債 及び社債並びにこれらに係る利子債権については、適用しない。
前条第一項に規定する戦争の結果財産について生じた損害は、左の各号に掲げる損害とする。
日本国 又は日本国と戦争し、若しくは交戦状態にあつた国の戦闘行為に基因する損害
戦時特別措置その他 日本政府 又は その代理機関の措置に基因する損害
当該財産の管理者 又は所持人が相当の注意を怠つたことに基因する損害
連合国人が戦争のため当該財産を本邦内において保険に付することができなかつたことに基因する損害
連合国占領軍が当該財産を使用した期間中に生じた損害で、連合国占領軍が相当の注意を怠つたこと 又は連合国人が当該財産を保険に付することができなかつたことに基因する損害
開戦時公海を航行中の日本船舶に船積されていた運送品 又は手荷物であつて本邦内に陸揚されたものは、開戦時において本邦内にあつたものとみなす。