中央省庁等改革基本法

# 平成十年法律第百三号 #

第二章 内閣機能の強化

分類 法律
カテゴリ   行政組織
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項

内閣総理大臣が、内閣の首長として、国政に関する基本方針(対外政策 及び安全保障政策の基本、行政 及び財政運営の基本、経済全般の運営 及び予算編成の基本方針 並びに行政機関の組織 及び人事の基本方針のほか、個別の政策課題であって国政上重要なものを含む。以下同じ。)について、閣議にかけることができることを法制上明らかにするものとする。

1項

内閣総理大臣以外の国務大臣について、複数省に関係する案件に関する総合調整等を担当する国務大臣が果たすべき役割にかんがみ、その総数を十五人から十七人程度とするよう必要な法制上の措置を講ずるものとする。

1項
内閣官房は、内閣の補助機関であるとともに、内閣の首長としての内閣総理大臣の職務を直接に補佐する機能を担うものとする。
2項
内閣官房は、内閣 及び内閣総理大臣を補佐する機関として、閣議に係る事務等を処理するほか、国政に関する基本方針の企画立案、国政上の重要事項についての総合調整、情報の収集 及び分析、危機管理 並びに広報に関する機能を担うものとし、これらの機能を強化するため必要な措置を講ずるものとする。
3項
内閣官房の任務に、国政に関する基本方針の企画立案を行うことが含まれることを法制上明らかにするものとする。
1項
内閣官房は、基本的に内閣総理大臣により直接選任された者によって運営されるべきものとし、このため、行政組織の内外から人材を機動的に登用することができるよう、必要な措置を講ずるものとする。
2項
内閣官房の組織については、その時々の政策課題に応じ、柔軟かつ弾力的な運営が可能な仕組みとするものとする。
3項
内閣総理大臣の職務を直接に補佐する体制を整備するため、内閣総理大臣補佐官 及び内閣総理大臣秘書官の定数の在り方を弾力的なものとするほか、内閣官房の定数管理を柔軟なものとすることができるよう、必要な措置を講ずるものとする。
1項
内閣府は、内閣に、内閣総理大臣を長とする行政機関として置かれるものとし、内閣官房を助けて国政上重要な具体的事項に関する企画立案 及び総合調整を行い、内閣総理大臣が担当することがふさわしい行政事務を処理し、並びに内閣総理大臣を主任の大臣とする外局を置く機関とするものとする。
2項

内閣府の任務 及び機能(外局に係るものを除く)は、おおむね次に掲げるものとする。

一 号
経済財政政策、総合科学技術政策、防災、男女共同参画 その他の各省の事務に広範に関係する事項に関する企画立案 及び総合調整
二 号
皇室、栄典 及び公式制度に関する事務 その他の内閣総理大臣が担当することがふさわしい事務の処理
三 号

沖縄対策(企画立案 及び総合調整のほか、沖縄振興開発計画に関する事務 及び その関係予算の一括計上に係る事務を含む。以下同じ。

四 号
北方対策
五 号
消費者行政、物価行政 及び市民活動を行う団体一般に関する行政
六 号
青少年健全育成行政に関する総合調整
3項
各省庁が所掌している消費者行政に関する事務については、できる限り内閣府に統合するものとする。
4項
宮内庁は、内閣府に置くものとする。
5項
防衛庁 及び国家公安委員会は、内閣府に、その外局として置くものとし、国務大臣をこれらの長とするものとする。
6項
金融庁は、内閣府に、その外局として置くものとし、次に掲げる機能 及び政策の在り方を踏まえ、金融監督庁を改組して編成するものとする。
一 号
国内金融に関する企画立案を担うこと。
二 号
金融については、基本的に市場の自主性 及び自律性にゆだね、行政の関与は必要最小限のものに限ること。
三 号
金融監督庁が各省と共同で所管している金融に関する検査 及び監督の業務については、金融庁に一元化すること。
四 号
関係法律に基づく命令の立案に関する事務で金融監督庁と大蔵省等とが共同で所管しているものについては、できる限り単独で所管すること。
五 号
金融庁の地方組織の在り方について検討すること。
7項
防衛施設庁は、防衛庁に、その外局として置くものとする。
8項

内閣官房長官は、内閣府(防衛庁 及び国家公安委員会を除く)の事務を統轄し、その職員の服務を統督するものとする。

1項

内閣府の任務のうち国政上重要な特定の事項に関する企画立案 及び総合調整について、国務大臣に、これを担当させることができるものとする。


この場合において、当該国務大臣に強力な調整のための権限を付与するとともに、併せて、当該国務大臣がその任務を円滑に遂行することができるようにするため、関係する国の行政機関の間における協議 及び調整の仕組みを整備するものとする。

2項

沖縄対策 及び北方対策については、前項の国務大臣に担当させるものとする。

3項

金融庁が所管する事項については、第一項の国務大臣に担当させるものとする。

1項

内閣府の内部部局は、第十条第二項に規定する任務 及び機能に係る事務を的確に処理できるよう組織するものとする。


この場合において、沖縄対策については、その担当部局を設け、かつ、その任務 及び機能を果たすため必要かつ十分な体制を整備するものとする。

2項
内閣府の内部部局には、国政上重要な具体的事項に関する企画立案 及び総合調整を行うため、必要に応じ、広く行政組織の内外から人材を登用するものとする。
3項

内閣府に、経済財政政策、総合科学技術政策、防災 及び男女共同参画に関し、国務大臣、学識経験を有する者等の合議により審議し、必要な意見を述べるための合議制の機関として、経済財政諮問会議、総合科学技術会議、中央防災会議 及び男女共同参画会議を置くものとし、その任務 及び構成員は、別表第一のとおりとする。

4項

金融機関等の大規模かつ連鎖的な破綻等の金融危機への対応に関する重要事項を審議するため、内閣府に、内閣総理大臣、財務大臣、前条第三項の担当大臣、金融庁長官、日本銀行総裁等によって構成される合議制の機関を置くものとする。

5項
原子力委員会 及び原子力安全委員会は、内閣府に置き、その機能を継続するものとする。
6項
経済企画庁に置かれている試験研究機関は、内閣府に移管し、内閣府の内部部局と連携して機能するようにするものとする。
7項
沖縄総合事務局は、内閣府に置き、その機能を継続するものとする。
1項
国の行政機関の事務次官、局長 その他の幹部職員については、任命権者がその任免を行うに際し内閣の承認を要することとするための措置を講ずるものとする。
1項

政府は、第六条から前条までに規定するもののほか第四条第一号の基本方針の趣旨にのっとり、内閣機能を強化するため、内閣 及び内閣官房の運営の改善を図るものとする。