この法律は、低開発地域における工業の開発を促進することにより、雇用の増大に寄与し、地域間における経済的格差の縮小を図り、もつて国民経済の均衡ある発展に資することを目的とする。
低開発地域工業開発促進法
国土交通大臣は、関係都道府県知事の申請に基づき、国土審議会の議を経て、産業の開発の程度が低く、かつ、経済の発展の停滞的な地域(以下「低開発地域」という。)のうち、その地区内の工業の開発を促進することにより低開発地域における工業の開発を促進すると認められる地区で政令で定める要件を備えているものを低開発地域工業開発地区(以下「開発地区」という。)として指定することができる。
前項の場合において、国土交通大臣は、同項の申請に係る地区について、すでに工場立地法(昭和三十四年法律第二十四号)第二条の規定による工場適地の調査等工業の開発に関する国の調査がされているときは、その調査の成果をしんしやくしなければならない。
国土交通大臣は、開発地区を指定しようとするときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議しなければならない。
都道府県知事は、第一項の申請をしようとするときは、あらかじめ関係市町村長の意見を聴くとともに、申請書に政令で定める事項を記載した書類を添付し、これを国土交通大臣に提出しなければならない。
国土交通大臣は、開発地区を指定するときは、当該開発地区の名称 及び区域を官報で公示しなければならない。
国土交通大臣は、関係都道府県知事の申請に基づき、開発地区の指定を解除し、又はその区域を変更することができる。
この場合においては、前五項の規定を準用する。
前項に定める場合のほか、国土交通大臣は、開発地区の区域の全部 又は一部が第一項の政令で定める要件を欠くに至つたと認めるときは、関係都道府県知事の意見を聴き、かつ、国土審議会の議を経て、当該開発地区の指定を解除し、又はその区域を変更することができる。
第二項、第三項 及び第五項の規定は、前項の規定により国土交通大臣が開発地区の指定を解除し、又はその区域を変更するときに準用する。
国土審議会は、国土交通大臣の諮問に応じ、低開発地域における工業の開発の促進に関する重要事項について調査審議する。
国土審議会は、低開発地域における工業の開発の促進に関する重要事項について、必要があると認めるときは、国土交通大臣 又は関係行政機関の長に対し、意見を申し出ることができる。
地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第六条の規定により、地方公共団体が、開発地区内において製造の事業の用に供する設備を新設し、又は増設した者について、その事業に対する事業税、その事業に係る工場用の建物 若しくはその敷地である土地の取得に対する不動産取得税 若しくはその事業に係る機械 及び装置 若しくはその事業に係る工場用の建物 若しくはその敷地である土地に対する固定資産税を課さなかつた場合 又はこれらの地方税に係る不均一の課税をした場合において、これらの措置が政令で定める場合に該当するものと認められるときは、地方交付税法(昭和二十五年法律第二百十一号)第十四条の規定による当該地方公共団体の各年度における基準財政収入額は、同条の規定にかかわらず、総務省令で定める方法によつて算定した当該地方公共団体の当該各年度分の減収額(事業税 又は固定資産税に関するこれらの措置による減収額にあつては、これらの措置がされた最初の年度以降三箇年度におけるものに限る。)について同条の規定により当該地方公共団体の当該各年度における基準財政収入額に算入される額に相当する額を同条の規定による当該地方公共団体の当該各年度(これらの措置が総務省令で定める日以後において行なわれたときは、当該減収額について当該各年度の翌年度)における基準財政収入額となるべき額から控除した額とする。
国 及び地方公共団体は、開発地区内の工業の開発に寄与すると認められる製造の事業の用に供する施設の整備につき、必要な資金の確保 その他の援助に努めなければならない。
国 及び地方公共団体は、開発地区内の工業の開発を促進するために必要な工場用地、道路、港湾施設、工業用水道、通信運輸施設 及び開発地区内の工場に使用される者に対してその就業上必要な教育 又は職業訓練を行なうための施設の整備の促進に努めなければならない。
国の行政機関の長 又は都道府県知事は、開発地区内の土地を前条に規定する施設の用に供するため農地法(昭和二十七年法律第二百二十九号)その他の法律の規定による許可 その他の処分を求められたときは、当該開発地区内の工業の開発が促進されるよう配慮するものとする。
国は、開発地区内の工業の開発に資するため必要な財政上の措置 その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
地方公共団体が開発地区内の工業の開発を促進するために行なう事業に要する経費に充てるために起こす地方債については、法令の範囲内において、資金事情 及び当該地方公共団体の財政状況が許す限り、特別の配慮をするものとする。