この法律は、公立学校の学校医、学校歯科医 及び学校薬剤師の公務上の災害に対する補償を行うことを目的とする。
公立学校の学校医、学校歯科医及び学校薬剤師の公務災害補償に関する法律
地方公共団体は、その設置する学校(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校 及び就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園(第五条第二項 及び第十一条において「幼保連携型認定こども園」という。)をいう。)の非常勤の学校医、学校歯科医 及び学校薬剤師(以下「学校医等」という。)の公務上の災害(負傷、疾病、障害 又は死亡をいう。以下同じ。)に対し、この法律の定めるところにより、補償を行わなければならない。
この法律により地方公共団体が行う学校医等の公務上の災害に対する補償(以下「補償」という。)の種類は、次に掲げるものとする。
療養補償(学校医等が公務上負傷し、又は疾病にかかつた場合における必要な療養の実施 又は必要な療養の費用の支給)
休業補償(次号に掲げる傷病補償を行う場合を除き、学校医等が公務上負傷し、又は疾病にかかり、療養のため勤務 その他の業務に従事することができない場合において、給与 その他の業務上の収入を得ることができないときに行う補償)
傷病補償(学校医等が公務上負傷し、又は疾病にかかり、治つていない場合において存する障害に対する補償)
障害補償(学校医等が公務上負傷し、又は疾病にかかり、治つた場合においてなお存する障害に対する補償)
介護補償(学校医等が傷病補償 又は障害補償の補償の事由となつた障害により必要な介護を受けている場合における補償)
遺族補償(学校医等が公務上死亡した場合におけるその遺族に対する補償)
葬祭補償(学校医等が公務上死亡した場合における葬祭を行う者に対する補償)
前条各号の補償の範囲、金額 及び支給方法 その他補償に関し必要な事項は、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で定める。
前項の規定により政令で基準を定める場合には、政府は、国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)の規定を参しやくするとともに、前条各号の補償が、同一の学歴 及び医師、歯科医師 又は薬剤師としての経験年数を有する常勤の国家公務員で職務上医師、歯科医師 又は薬剤師としての業務に従事する者の公務上の災害に対し同法により行われる同種の補償と、おおむね同程度のものとなるようにこれを定めなければならない。
この法律による公務上の災害の認定、療養の方法、補償金額の決定 その他 補償の実施に関して異議のある者は、当該地方公共団体の人事委員会 又は公平委員会に対し、人事委員会規則 又は公平委員会規則で定めるところにより、審査の請求をすることができる。
前項の請求があつたときは、当該地方公共団体の人事委員会 又は公平委員会は、直ちにこれを審査して裁定を行い、これを本人 及び当該地方公共団体の教育委員会(幼保連携型認定こども園の学校医等に係る裁定にあつては、当該地方公共団体の長)に通知しなければならない。
第一項の規定による審査の請求は、時効の完成猶予 及び更新に関しては、裁判上の請求とみなす。
地方公共団体は、この法律による補償を行つた場合においては、同一の事由については、その価額の限度において、国家賠償法(昭和二十二年法律第百二十五号) 又は民法(明治二十九年法律第八十九号)による損害賠償の責を免かれる。
地方公共団体は、補償の原因である災害が第三者の行為によつて生じた場合においてこの法律による補償を行つたときは、その価額の限度において、この法律による補償を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
前項の場合において、この法律による補償を受けるべき者が当該第三者から 同一の事由につき損害賠償を受けたときは、地方公共団体は、その価額の限度において、この法律による補償の責を免かれる。
学校医等が離職した場合においても、この法律による補償を受ける権利は、影響を受けない。
この法律による補償を受ける権利は、これを行使することができる時から二年間(障害補償 及び遺族補償については、五年間) 行使しないときは、時効により消滅する。
この法律により支給を受けた金品を標準として、租税 その他の公課を課してはならない。
教育委員会(幼保連携型認定こども園の学校医等に係る補償にあつては、地方公共団体の長)又はこの法律による補償を受けようとする者は、学校医等の戸籍に関して、戸籍事務をつかさどる者 又は その代理者に対して無料で証明を請求することができる。