刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律

# 平成十七年法律第五十号 #
略称 : 刑事施設法  刑事収容施設法  刑事被収容者処遇法 

第一款 通則

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 07月23日 17時12分

1項

受刑者には、矯正処遇として、第九十二条 又は第九十三条に規定する作業を行わせ、並びに第百三条 及び第百四条に規定する指導を行う。

2項

矯正処遇は、処遇要領(矯正処遇の目標 並びにその基本的な内容 及び方法を受刑者ごとに定める矯正処遇の実施の要領をいう。以下この条 及び次条第一項において同じ。)に基づいて行うものとする。

3項
処遇要領は、法務省令で定めるところにより、刑事施設の長が受刑者の年齢を考慮し、その資質 及び環境の調査の結果に基づき定めるものとする。
4項

処遇要領は、必要に応じ、受刑者の希望を参酌して定めるものとする。


これを変更しようとするときも、同様とする。

5項

矯正処遇は、必要に応じ、医学、心理学、教育学、社会学 その他の専門的知識 及び技術を活用して行うものとする。

1項

刑事施設の長は、処遇要領を定めるに当たっては、法務省令で定めるところにより、被害者等(受刑者が刑を言い渡される理由となった犯罪により害を被った者(以下この項において「被害者」という。)又はその法定代理人 若しくは被害者が死亡した場合 若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族 若しくは兄弟姉妹をいう。以下この節において同じ。)の被害に関する心情、被害者等の置かれている状況 及び第三項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。


処遇要領を変更しようとするときも、同様とする。

2項

刑事施設の長は、矯正処遇を行うに当たっては、前項の心情 及び状況 並びに次項の規定により聴取した心情等を考慮するものとする。

3項

刑事施設の長は、法務省令で定める受刑者について、被害者等から、被害に関する心情、被害者等の置かれている状況 又は当該受刑者の生活 及び行動に関する意見(以下この節において「心情等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、法務省令で定めるところにより、当該心情等を聴取するものとする。


ただし、当該被害に係る事件の性質、当該被害者等と当該受刑者との関係 その他の被害者等に関する事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

1項

受刑者には、矯正処遇を行うほか、次の各号に掲げる期間において、当該各号に定める指導を行う。

一 号

刑の執行開始後の法務省令で定める期間

受刑の意義 その他矯正処遇の実施の基礎となる事項 並びに刑事施設における生活 及び行動に関する指導

二 号

釈放前における法務省令で定める期間

釈放後の社会生活において直ちに必要となる知識の付与 その他受刑者の帰住 及び釈放後の生活に関する指導

2項

前項第二号に掲げる期間における受刑者の処遇は、できる限り、これにふさわしい設備と環境を備えた場所で行うものとし、必要に応じ、第百六条の二第一項の規定による外出 又は外泊を許し、その他円滑な社会復帰を図るため必要な措置を執るものとする。

3項

刑事施設の長は、法務省令で定める基準に従い、第一項各号に定める指導を行う日 及び時間を定める。

1項

矯正処遇 及び前条第一項の規定による指導(以下「矯正処遇等」という。)は、その効果的な実施を図るため、必要に応じ、受刑者を集団に編成して行うものとする。

2項

前項の場合において特に必要があるときは、第四条第一項の規定にかかわらず、居室外に限り、同項第一号に掲げる別による分離をしないことができる。

1項

矯正処遇等は、その効果的な実施を図るため必要な限度において、刑事施設の外の適当な場所で行うことができる。

1項

受刑者の自発性 及び自律性を涵養するため、刑事施設の規律 及び秩序を維持するための受刑者の生活 及び行動に対する制限は、法務省令で定めるところにより、第三十条の目的を達成する見込みが高まるに従い、順次緩和されるものとする。

2項

前項の場合において、第三十条の目的を達成する見込みが特に高いと認められる受刑者の処遇は、法務省令で定めるところにより、開放的施設(収容を確保するため通常必要とされる設備 又は措置の一部を設けず、又は講じない刑事施設の全部 又は一部で法務大臣が指定するものをいう。以下同じ。)で行うことができる。

1項

刑事施設の長は、受刑者の改善更生の意欲を喚起するため、次に掲げる処遇について、法務省令で定めるところにより、一定の期間ごとの受刑態度の評価に応じた優遇措置を講ずるものとする。

一 号

第四十条第二項の規定により物品を貸与し、又は支給すること。

二 号

第四十一条第一項の規定により自弁の物品の使用 又は摂取を許すこと。

三 号

第百十一条の面会をすることができる時間 又は回数を定めること。

四 号

その他法務省令で定める処遇

1項

刑事施設の長は、受刑者の処遇を行うに当たり必要があると認めるときは、受刑者の親族、民間の篤志家、関係行政機関 その他の者に対し、協力を求めるものとする。

2項

前項の協力をした者は、その協力を行うに当たって知り得た受刑者に関する秘密を漏らしてはならない。

1項

刑事施設の長は、受刑者の資質 及び環境の調査のため必要があるときは、公務所 又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。