商法

# 明治三十二年法律第四十八号 #

第六章 共同海損

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和二年四月一日 ( 2020年 4月1日 )
@ 最終更新 : 平成二十九年法律第四十五号による改正
最終編集日 : 2024年 05月30日 09時33分


1項

船舶 及び積荷等に対する共同の危険を避けるために船舶 又は積荷等について処分がされたときは、当該処分(以下この章において「共同危険回避処分」という。)によって生じた損害 及び費用は、共同海損とする。

2項

前項の規定は、同項の危険が過失によって生じた場合における利害関係人から当該過失のある者に対する求償権の行使を妨げない。

1項

共同海損となる損害の額は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める額によって算定する。


ただし第二号 及び第四号に定める額については、積荷の滅失 又は損傷のために支払うことを要しなくなった一切の費用の額を控除するものとする。

一 号

船舶

到達の地 及び時における当該船舶の価格

二 号

積荷

陸揚げの地 及び時における当該積荷の価格

三 号

積荷以外の船舶内にある物

到達の地 及び時における当該物の価格

四 号

運送賃

陸揚げの地 及び時において請求することができる運送賃の額

2項

船荷証券 その他積荷の価格を評定するに足りる書類(以下この章において「価格評定書類」という。)に積荷の実価より低い価額を記載したときは、その積荷に加えた損害の額は、当該価格評定書類に記載された価額によって定める。


積荷の価格に影響を及ぼす事項につき価格評定書類に虚偽の記載をした場合において、当該記載によることとすれば積荷の実価より低い価格が評定されることとなるときも、同様とする。

3項

次に掲げる損害 又は費用は、利害関係人が分担することを要しない。

一 号

次に掲げる物に加えた損害。


ただし、次のに掲げる物にあっては第五百七十七条第二項第一号に掲げる場合を、次のに掲げる物にあっては甲板積みをする商慣習がある場合を除く

船舶所有者に無断で船積みがされた積荷

船積みに際して故意に虚偽の申告がされた積荷

高価品である積荷であって、荷送人 又は傭船者が運送を委託するに当たりその種類 及び価額を通知していないもの

甲板上の積荷
属具目録に記載がない属具
二 号
特別補償料
1項

共同海損は、次の各号に掲げる者(船員 及び旅客を除く)が当該各号に定める額の割合に応じて分担する。

一 号

船舶の利害関係人

到達の地 及び時における当該船舶の価格

二 号

積荷の利害関係人

次のに掲げる額から次のに掲げる額を控除した額

陸揚げの地 及び時における当該積荷の価格

共同危険回避処分の時においてに規定する積荷の全部が滅失したとした場合に当該積荷の利害関係人が支払うことを要しないこととなる運送賃 その他の費用の額

三 号

積荷以外の船舶内にある物(船舶に備え付けた武器を除く)の利害関係人

到達の地 及び時における当該物の価格

四 号

運送人

次のに掲げる額から次のに掲げる額を控除した額

第二号ロに規定する運送賃のうち、陸揚げの地 及び時において現に存する債権の額

船員の給料 その他の航海に必要な費用(共同海損となる費用を除く)のうち、共同危険回避処分の時に船舶 及び第二号イに規定する積荷の全部が滅失したとした場合に運送人が支払うことを要しないこととなる額

2項

共同危険回避処分の後、到達 又は陸揚げ前に船舶 又は積荷等について必要費 又は有益費を支出したときは、当該船舶 又は積荷等については、前項第一号から第三号までに定める額は、その費用(共同海損となる費用を除く)の額を控除した額とする。

3項

第一項に規定する者が共同危険回避処分によりその財産につき損害を受けたときは、その者については、同項各号に定める額は、その損害の額(当該財産について前項に規定する必要費 又は有益費を支出した場合にあっては、その費用(共同海損となる費用に限る)の額を超える部分の額に限る)を加算した額とする。

4項

価格評定書類に積荷の実価を超える価額を記載したときは、その積荷の利害関係人は、当該価格評定書類に記載された価額に応じて共同海損を分担する。


積荷の価格に影響を及ぼす事項につき価格評定書類に虚偽の記載をした場合において、当該記載によることとすれば積荷の実価を超える価格が評定されることとなるときも、同様とする。

1項

前条の規定により共同海損を分担すべき者は、船舶の到達(同条第一項第二号 又は第四号に掲げる者にあっては、積荷の陸揚げ)の時に現存する価額の限度においてのみ、その責任を負う。

1項

共同海損の分担に基づく債権は、その計算が終了した時から一年間行使しないときは、時効によって消滅する。