所得税法

# 昭和四十年法律第三十三号 #

第四款 必要経費等の計算

分類 法律
カテゴリ   国税
@ 施行日 : 令和四年十月一日 ( 2022年 10月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七十一号による改正
最終編集日 : 2024年 07月14日 11時48分

第一目 家事関連費、租税公課等

1項

居住者が支出し又は納付する次に掲げるものの額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額 又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。

一 号

家事上の経費 及びこれに関連する経費で政令で定めるもの

二 号

所得税(不動産所得、事業所得 又は山林所得を生ずべき事業を行う居住者が納付する第百三十一条第三項確定申告税額の延納に係る利子税)、第百三十六条延払条件付譲渡に係る所得税額の延納に係る利子税)、第百三十七条の二第十二項国外転出をする場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)又は第百三十七条の三第十四項贈与等により非居住者に資産が移転した場合の譲渡所得等の特例の適用がある場合の納税猶予に係る利子税)の規定による利子税で、その事業についてのこれらの所得に係る所得税の額に対応するものとして政令で定めるものを除く

三 号

所得税以外の国税に係る延滞税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税 及び重加算税 並びに印紙税法(昭和四十二年法律第二十三号)の規定による過怠税

四 号

地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)の規定による道府県民税 及び市町村民税(都民税 及び特別区民税を含む。

五 号

地方税法の規定による延滞金、過少申告加算金、不申告加算金 及び重加算金

六 号

前号に掲げるものに準ずるものとして政令で定めるもの

七 号

罰金 及び科料(通告処分による罰金 又は科料に相当するもの及び外国 又は その地方公共団体が課する罰金 又は科料に相当するものを含む。)並びに過料

八 号

損害賠償金(これに類するものを含む。)で政令で定めるもの

九 号

国民生活安定緊急措置法昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金 及び延滞金

十 号

私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金 及び延滞金(外国 若しくは その地方公共団体 又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。

十一 号

金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金 及び延滞金

十二 号

公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金 及び延滞金

十三 号

不当景品類及び不当表示防止法昭和三十七年法律第百三十四号)の規定による課徴金 及び延滞金

十四 号

医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律昭和三十五年法律第百四十五号)の規定による課徴金 及び延滞金

2項

居住者が供与をする刑法明治四十年法律第四十五号第百九十八条贈賄)に規定する賄賂 又は不正競争防止法平成五年法律第四十七号第十八条第一項外国公務員等に対する不正の利益の供与等の禁止)に規定する金銭 その他の利益に当たるべき金銭の額 及び金銭以外の物 又は権利 その他経済的な利益の価額(その供与に要する費用の額がある場合には、その費用の額を加算した金額)は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額 又は雑所得の金額の計算上、必要経費に算入しない。

3項

第一項第二号から 第八号までに掲げるものの額 又は前項に規定する金銭の額 及び金銭以外の物 若しくは権利 その他経済的な利益の価額は、第一項 又は前項の居住者の一時所得の金額の計算上、支出した金額に算入しない。

1項

居住者が第九十五条第一項外国税額控除)に規定する控除対象外国所得税の額につき同条 又は第百三十八条第一項源泉徴収税額等の還付)の規定の適用を受ける場合には、当該控除対象外国所得税の額は、その者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額 若しくは雑所得の金額 又は一時所得の金額の計算上、必要経費 又は支出した金額に算入しない。

第二目 資産の評価及び償却費

1項

居住者の棚卸資産につき第三十七条第一項必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額の計算上 必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日(その者が年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡 又は出国の時。以下 この条から 第五十条までにおいて同じ。)において有する棚卸資産(以下 この項において「期末棚卸資産」という。)の価額は、棚卸資産の取得価額の平均額をもつてその年十二月三十一日において有する棚卸資産の評価額とする方法 その他の政令で定める評価の方法のうちから その者が当該期末棚卸資産について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合 又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。

2項

前項の選定をすることができる評価の方法の特例、評価の方法の選定の手続、棚卸資産の評価額の計算の基礎となる棚卸資産の取得価額 その他棚卸資産の評価に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

居住者の有価証券につき第三十七条第一項必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日において有する有価証券の価額は、その者が有価証券について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合 又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。

2項

前項の選定をすることができる評価の方法の種類、 その選定の手続その他有価証券の評価に関し必要な事項は、政令で定める。

3項

居住者が二回以上にわたつて取得した同一銘柄の有価証券につき第三十七条第一項の規定によりその者の雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額又は第三十八条第一項譲渡所得の金額の計算上控除する取得費)の規定によりその者の譲渡所得の金額の計算上取得費に算入する金額は、政令で定めるところにより、それぞれの取得に要した金額を基礎として第一項の規定に準じて評価した金額とする。

1項

居住者の暗号資産(資金決済に関する法律(平成二十一年法律第五十九号)第二条第五項(定義)に規定する暗号資産をいう。以下この条において同じ。)につき第三十七条第一項必要経費)の規定によりその者の事業所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額を算定する場合におけるその算定の基礎となるその年十二月三十一日において有する暗号資産の価額は、その者が暗号資産について選定した評価の方法により評価した金額(評価の方法を選定しなかつた場合 又は選定した評価の方法により評価しなかつた場合には、評価の方法のうち政令で定める方法により評価した金額)とする。

2項

前項の選定をすることができる評価の方法の種類、 その選定の手続 その他暗号資産の評価に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

居住者のその年十二月三十一日において有する減価償却資産につきその償却費として第三十七条必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額 又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その取得をした日 及び その種類の区分に応じ、償却費が毎年同一となる償却の方法、償却費が毎年一定の割合で逓減する償却の方法 その他の政令で定める償却の方法の中から その者が当該資産について選定した償却の方法(償却の方法を選定しなかつた場合には、償却の方法のうち政令で定める方法)に基づき政令で定めるところにより計算した金額とする。

2項

前項の選定をすることができる償却の方法の特例、償却の方法の選定の手続、償却費の計算の基礎となる減価償却資産の取得価額、減価償却資産について支出する金額のうち使用可能期間を延長させる部分等に対応する金額を減価償却資産の取得価額とする特例 その他減価償却資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

居住者のその年十二月三十一日における繰延資産につきその償却費として第三十七条必要経費)の規定によりその者の不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額 又は雑所得の金額の計算上必要経費に算入する金額は、その繰延資産に係る支出の効果の及ぶ期間を基礎として政令で定めるところにより計算した金額とする。

2項

前項に定めるもののほか、 繰延資産の償却に関し必要な事項は、政令で定める。

第三目 資産損失

1項

居住者の営む不動産所得、事業所得 又は山林所得を生ずべき事業の用に供される固定資産 その他これに準ずる資産で政令で定めるものについて、取りこわし、除却、滅失(当該資産の損壊による価値の減少を含む。)その他の事由により生じた損失の金額(保険金、損害賠償金 その他 これらに類するものにより補てんされる部分の金額 及び資産の譲渡により又はこれに関連して生じたものを除く)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

2項

居住者の営む不動産所得、事業所得 又は山林所得を生ずべき事業について、その事業の遂行上生じた売掛金、貸付金、前渡金 その他 これらに準ずる債権の貸倒れ その他政令で定める事由により生じた損失の金額は、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

3項

災害 又は盗難 若しくは横領により居住者の有する山林について生じた損失の金額(保険金、損害賠償金 その他 これらに類するものにより補てんされる部分の金額を除く)は、その者のその損失の生じた日の属する年分の事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。

4項

居住者の不動産所得 若しくは雑所得を生ずべき業務の用に供され 又は これらの所得の基因となる資産(山林 及び第六十二条第一項生活に通常必要でない資産の災害による損失)に規定する資産を除く)の損失の金額(保険金、損害賠償金 その他 これらに類するものにより補てんされる部分の金額、資産の譲渡により又はこれに関連して生じたもの及び第一項 若しくは第二項 又は第七十二条第一項雑損控除)に規定するものを除く)は、それぞれ、その者のその損失の生じた日の属する年分の不動産所得の金額 又は雑所得の金額(この項の規定を適用しないで計算したこれらの所得の金額とする。)を限度として、当該年分の不動産所得の金額 又は雑所得の金額の計算上、 必要経費に算入する。

5項

第一項 及び前二項に規定する損失の金額の計算に関し必要な事項は、政令で定める。

第四目 引当金

1項

不動産所得、事業所得 又は山林所得を生ずべき事業を営む居住者が、その有する売掛金、貸付金、前渡金 その他 これらに準ずる金銭債権(債券に表示されるべきものを除く次項において同じ。)で当該事業の遂行上生じたもの(以下 この項において「貸金等」という。)のうち、更生計画認可の決定に基づいて弁済を猶予され、又は賦払により弁済されること その他の政令で定める事実が生じていることによりその一部につき貸倒れ その他これに類する事由による損失が見込まれるもの(当該貸金等に係る債務者に対する他の貸金等がある場合には、当該 他の貸金等を含む。以下 この項 及び次項において「個別評価貸金等」という。)のその損失の見込額として、各年(事業の全部を譲渡し、又は廃止した日の属する年を除く次項において同じ。)において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、その年十二月三十一日(その者が年の中途において死亡した場合には、その死亡の時。次項において同じ。)において当該個別評価貸金等の取立て又は弁済の見込みがないと認められる部分の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その者のその年分の不動産所得、事業所得 又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。


ただし、その者が死亡した場合において、その相続人が当該事業を承継しなかつたときは、この限りでない。

2項

青色申告書を提出する居住者で事業所得を生ずべき事業を営むものが、その有する売掛金、貸付金 その他 これらに準ずる金銭債権で当該事業の遂行上生じたもの(個別評価貸金等を除く。以下 この項において「一括評価貸金」という。)の貸倒れによる損失の見込額として、各年において貸倒引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、その年十二月三十一日において有する一括評価貸金の額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その者のその年分の事業所得の金額の計算上、必要経費に算入する。


ただし、その者が死亡した場合において、その相続人が当該事業を承継しなかつたとき、その他政令で定める場合は、この限りでない。

3項

前二項の規定によりその繰入れをした年分の不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入された貸倒引当金勘定の金額は、その繰入れをした年の翌年分の不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。

4項

第一項 及び第二項の規定は、確定申告書に貸倒引当金勘定に繰り入れた金額の必要経費への算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。

5項

税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項 又は第二項の規定を適用することができる。

6項

第一項 又は第二項に規定する居住者が死亡した場合において、これらの規定によりその者の死亡の日の属する年分の不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入された貸倒引当金勘定の金額があるときにおける当該貸倒引当金勘定の金額の処理に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

青色申告書を提出する居住者で事業所得を生ずべき事業を営むもののうち、政令で定める退職給与規程を定めているものが、その事業に係る使用人(その居住者と生計を一にする配偶者 その他の親族を除く。以下この条において同じ。)の退職により支給する退職給与に充てるため、 各年において退職給与引当金勘定に繰り入れた金額については、当該金額のうち、その年十二月三十一日(その居住者が年の中途において死亡した場合には、その死亡の時)において在職するその事業に係る使用人の全員が自己の都合により退職するものと仮定して計算した場合に退職給与として支給されるべき金額の見積額のうちその年において増加したと認められる部分の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額に達するまでの金額は、その居住者のその年分の事業所得の金額の計算上、 必要経費に算入する。

2項

退職給与引当金勘定の金額(前項の規定によりその繰入れをした年分の事業所得の金額の計算上必要経費に算入されたものに限るものとし、既にこの項の規定により取りくずすべきこととなつたものを除く。以下この条において同じ。)を有する居住者は、前項の使用人が退職した場合、青色申告書の提出の承認を取り消された場合 その他政令で定める場合には、政令で定めるところにより、その退職給与引当金勘定の金額を取りくずさなければならない。

3項

前項の規定により取りくずすべきこととなつた退職給与引当金勘定の金額又は同項の規定に該当しないで取りくずした退職給与引当金勘定の金額は、それぞれ その取りくずすべきこととなつた日 又は取りくずした日の属する年分の事業所得の金額の計算上、総収入金額に算入する。

4項

第一項の規定は、確定申告書に退職給与引当金勘定に繰り入れた金額の必要経費への算入に関する明細の記載がある場合に限り、適用する。

5項

税務署長は、前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第一項の規定を適用することができる。

6項

第二項から 前項までに定めるもののほか、退職給与引当金勘定の金額を有する居住者が死亡した場合における当該退職給与引当金勘定の金額の処理その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第五目 親族が事業から受ける対価

1項

居住者と生計を一にする配偶者 その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得 又は山林所得を生ずべき事業に従事したこと その他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。


この場合において、その親族が支払を受けた対価の額 及び その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。

1項

青色申告書を提出することにつき税務署長の承認を受けている居住者と生計を一にする配偶者 その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く)で専ら その居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「青色事業専従者」という。)が当該事業から 次項の書類に記載されている方法に従い その記載されている金額の範囲内において給与の支払を受けた場合には、前条の規定にかかわらず、その給与の金額でその労務に従事した期間、労務の性質 及び その提供の程度、その事業の種類 及び規模、その事業と同種の事業でその規模が類似するものが支給する給与の状況 その他の政令で定める状況に照らしその労務の対価として相当であると認められるものは、その居住者のその給与の支給に係る年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上必要経費に算入し、かつ、当該青色事業専従者の当該年分の給与所得に係る収入金額とする。

2項

その年分以後の各年分の所得税につき前項の規定の適用を受けようとする居住者は、その年三月十五日まで(その年一月十六日以後新たに同項の事業を開始した場合には、その事業を開始した日から二月以内)に、青色事業専従者の氏名、その職務の内容 及び給与の金額 並びにその給与の支給期 その他財務省令で定める事項を記載した書類を納税地の所轄税務署長に提出しなければならない。

3項

居住者(第一項に規定する居住者を除く)と生計を一にする配偶者 その他の親族(年齢十五歳未満である者を除く)で専ら その居住者の営む前条に規定する事業に従事するもの(以下この条において「事業専従者」という。)がある場合には、その居住者のその年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額の計算上、各事業専従者につき、次に掲げる金額のうちいずれか低い金額を必要経費とみなす。

一 号

次に掲げる事業専従者の区分に応じ それぞれ次に定める金額

その居住者の配偶者である事業専従者

八十六万円

に掲げる者以外の事業専従者

五十万円

二 号

その年分の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額 又は山林所得の金額(この項の規定を適用しないで計算した場合の金額とする。)を当該事業に係る事業専従者の数にを加えた数で除して計算した金額

4項

前項の規定の適用があつた場合には、各事業専従者につき同項の規定により必要経費とみなされた金額は、当該各事業専従者の当該年分の各種所得の金額の計算については、当該各事業専従者の給与所得に係る収入金額とみなす。

5項

第三項の規定は、確定申告書に同項の規定の適用を受ける旨 及び同項の規定により必要経費とみなされる金額に関する事項の記載がない場合には、適用しない

6項

税務署長は、確定申告書の提出がなかつた場合 又は前項の記載がない確定申告書の提出があつた場合においても、その提出がなかつたこと 又は その記載がなかつたことについてやむを得ない事情があると認めるときは、第三項の規定を適用することができる。

7項

第一項 又は第三項の場合において、これらの規定に規定する親族の年齢が十五歳未満であるかどうかの判定は、その年十二月三十一日(これらの規定に規定する居住者がその年の中途において死亡し又は出国をした場合には、その死亡 又は出国の時)の現況による。


ただし、当該親族がその当時既に死亡している場合は、当該死亡の時の現況による。

8項

青色事業専従者 又は事業専従者の要件の細目、第二項の書類に記載した事項を変更する場合の手続 その他第一項 又は第三項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。

第六目 給与所得者の特定支出

1項

居住者が、各年において特定支出をした場合において、その年中の特定支出の額の合計額が第二十八条第二項給与所得)に規定する給与所得控除額の二分の一に相当する金額を超えるときは、その年分の同項に規定する給与所得の金額は、同項 及び同条第四項の規定にかかわらず同条第二項の残額から その超える部分の金額を控除した金額とする。

2項

前項に規定する特定支出とは、居住者の次に掲げる支出(その支出につきその者に係る第二十八条第一項に規定する給与等の支払をする者(以下 この項において「給与等の支払者」という。)により補塡される部分があり、かつ、その補塡される部分につき所得税が課されない場合における当該補塡される部分 及び その支出につき雇用保険法昭和四十九年法律第百十六号第十条第五項失業等給付)に規定する教育訓練給付金、母子 及び父子 並びに寡婦福祉法(昭和三十九年法律第百二十九号)第三十一条第一号(母子家庭自立支援給付金)に規定する母子家庭自立支援教育訓練給付金 又は同法第三十一条の十(父子家庭自立支援給付金)において準用する同号に規定する父子家庭自立支援教育訓練給付金が支給される部分がある場合における当該支給される部分を除く)をいう。

一 号

その者の通勤のために必要な交通機関の利用 又は交通用具の使用のための支出で、その通勤の経路 及び方法がその者の通勤に係る運賃、時間、距離 その他の事情に照らして最も経済的かつ合理的であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもののうち、一般の通勤者につき通常必要であると認められる部分として政令で定める支出

二 号

勤務する場所を離れて職務を遂行するために直接必要な旅行であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたものに通常要する支出で政令で定めるもの

三 号

転任に伴うものであることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた転居のために通常必要であると認められる支出として政令で定めるもの

四 号

職務の遂行に直接必要な技術 又は知識を習得することを目的として受講する研修(人の資格を取得するためのものを除く)であることにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもののための支出

五 号

人の資格を取得するための支出で、 その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもの

六 号

転任に伴い生計を一にする配偶者との別居を常況とすることとなつた場合 その他これに類する場合として政令で定める場合に該当することにつき財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされた場合におけるその者の勤務する場所 又は居所と その配偶者 その他の親族が居住する場所との間のその者の旅行に通常要する支出で政令で定めるもの

七 号

次に掲げる支出(当該支出の額の合計額が六十五万円を超える場合には、六十五万円までの支出に限る)で、 その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして財務省令で定めるところにより給与等の支払者により証明がされたもの

書籍、定期刊行物 その他の図書で職務に関連するものとして政令で定めるもの及び制服、事務服 その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服で政令で定めるものを購入するための支出

交際費、接待費 その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先 その他 職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答 その他 これらに類する行為のための支出

3項

第一項の規定は、確定申告書、修正申告書 又は更正請求書(次項において「申告書等」という。)に第一項の規定の適用を受ける旨 及び同項に規定する特定支出の額の合計額の記載があり、かつ、前項各号に掲げるそれぞれの特定支出に関する明細書 及び これらの各号に規定する証明の書類の添付がある場合に限り、適用する。

4項

第一項の規定の適用を受ける旨の記載がある申告書等を提出する場合には、同項に規定する特定支出の支出の事実 及び支出した金額を証する書類として政令で定める書類を当該申告書等に添付し、又は当該申告書等の提出の際提示しなければならない。

5項

前三項に定めるもののほか第二項に規定する特定支出の範囲の細目 その他第一項の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。