この法律は、暴力団員の行う暴力的要求行為等について必要な規制を行い、及び暴力団の対立抗争等による市民生活に対する危険を防止するために必要な措置を講ずるとともに、暴力団員の活動による被害の予防等に資するための民間の公益的団体の活動を促進する措置等を講ずることにより、市民生活の安全と平穏の確保を図り、もって国民の自由と権利を保護することを目的とする。
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
第一章 総則
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
暴力的不法行為等
別表に掲げる罪のうち国家公安委員会規則で定めるものに当たる違法な行為をいう。
暴力団
その団体の構成員(その団体の構成団体の構成員を含む。)が集団的に 又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれがある団体をいう。
指定暴力団
次条の規定により指定された暴力団をいう。
指定暴力団連合
第四条の規定により指定された暴力団をいう。
指定暴力団等
指定暴力団 又は指定暴力団連合をいう。
暴力団員
暴力団の構成員をいう。
暴力的要求行為
第九条の規定に違反する行為をいう。
準暴力的要求行為
一の指定暴力団等の暴力団員以外の者が当該指定暴力団等 又は その第九条に規定する系列上位指定暴力団等の威力を示して同条各号に掲げる行為をすることをいう。
都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)は、暴力団が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該暴力団を、その暴力団員が集団的に 又は常習的に暴力的不法行為等を行うことを助長するおそれが大きい暴力団として指定するものとする。
名目上の目的のいかんを問わず、当該暴力団の暴力団員が当該暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成 又は事業の遂行のための資金を得ることができるようにするため、当該暴力団の威力を その暴力団員に利用させ、又は当該暴力団の威力を その暴力団員が利用することを容認することを実質上の目的とするものと認められること。
国家公安委員会規則で定めるところにより算定した当該暴力団の幹部(主要な暴力団員として国家公安委員会規則で定める要件に該当する者をいう。)である暴力団員の人数のうちに占める犯罪経歴保有者(次のいずれかに該当する者をいう。以下 この条において同じ。)の人数の比率 又は当該暴力団の全暴力団員の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率が、暴力団以外の集団一般における その集団の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率を超えることが 確実であるものとして政令で定める集団の人数の区分ごとに政令で定める比率(当該区分ごとに国民の中から任意に抽出したそれぞれの人数の集団において、その集団の人数のうちに占める犯罪経歴保有者の人数の比率が当該政令で定める比率以上となる確率が十万分の一以下となるものに限る。)を超えるものであること。
暴力的不法行為等 又は第八章(第五十条(第二号 に係る部分に限る。)及び第五十二条を除く。以下 この条 及び第十二条の五第二項第二号において同じ。)に規定する罪に当たる違法な行為を行い禁錮以上の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して十年を経過しないもの
暴力的不法行為等 又は第八章に規定する罪に当たる違法な行為を行い罰金以下の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して五年を経過しないもの
暴力的不法行為等 又は第八章に規定する罪に当たる違法な行為を行い禁錮以上の刑の言渡し 及び その刑の全部の執行猶予の言渡しを受け、当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過した者であって、当該刑に係る裁判が確定した日から起算して十年を経過しないもの
暴力的不法行為等 又は第八章に規定する罪に当たる違法な行為を行い罰金の刑の言渡し 及び その刑の執行猶予の言渡しを受け、当該執行猶予の言渡しを取り消されることなく当該執行猶予の期間を経過した者であって、当該刑に係る裁判が確定した日から起算して五年を経過しないもの
暴力的不法行為等 又は第八章に規定する罪に当たる違法な行為を行い禁錮以上の刑に係る有罪の言渡しを受け、当該言渡しに係る罪について恩赦法(昭和二十二年法律第二十号)第二条の大赦 又は同法第四条の特赦を受けた者であって、当該大赦 又は特赦のあった日(当該日において当該言渡しに係る刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなっている場合にあっては、当該執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日)から起算して十年を経過しないもの
暴力的不法行為等 又は第八章に規定する罪に当たる違法な行為を行い罰金以下の刑に係る有罪の言渡しを受け、当該言渡しに係る罪について恩赦法第二条の大赦 又は同法第四条の特赦を受けた者であって、当該大赦 又は特赦のあった日(当該日において当該言渡しに係る刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなっている場合にあっては、当該執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日)から起算して五年を経過しないもの
当該暴力団を代表する者 又は その運営を支配する地位にある者(以下「代表者等」という。)の統制の下に階層的に構成されている団体であること。
公安委員会は、暴力団(指定暴力団を除く。)が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該暴力団を指定暴力団の連合体として指定するものとする。
次のいずれかに該当する暴力団であること。
当該暴力団を構成する暴力団の全部 又は大部分が指定暴力団であること。
当該暴力団の暴力団員の全部 又は大部分が指定暴力団の代表者等であること。
当該暴力団を構成する暴力団の全部 若しくは大部分が指定暴力団 若しくはイ 若しくはロのいずれかに該当する暴力団であり、又は当該暴力団の暴力団員の全部 若しくは大部分が指定暴力団 若しくはイ 若しくはロのいずれかに該当する暴力団の代表者等であること。
名目上の目的のいかんを問わず、当該暴力団を構成する暴力団 若しくは当該暴力団の暴力団員が代表者等となっている暴力団の相互扶助を図り、又は これらの暴力団の暴力団員の活動を支援することを実質上の目的とするものと認められること。
公安委員会は、前二条の規定による指定(以下 この章において「指定」という。)をしようとするときは、公開による意見聴取を行わなければならない。
ただし、個人の秘密の保護のためやむを得ないと認めるときは、これを公開しないことができる。
前項の意見聴取を行う場合において、公安委員会は、指定に係る暴力団を代表する者 又はこれに代わるべき者に対し、指定をしようとする理由 並びに意見聴取の期日 及び場所を相当の期間をおいて通知し、かつ、意見聴取の期日 及び場所を公示しなければならない。
意見聴取に際しては、当該指定に係る暴力団を代表する者 若しくはこれに代わるべき者 又は これらの代理人は、当該指定について 意見を述べ、かつ、有利な証拠を提出することができる。
公安委員会は、当該指定に係る暴力団を代表する者 若しくはこれに代わるべき者 若しくは これらの代理人が正当な理由がなくて出頭しないとき、又は当該指定に係る暴力団を代表する者 若しくはこれに代わるべき者の所在が不明であるため第二項の規定による通知をすることができず、かつ、同項の規定による公示をした日から起算して三十日を経過しても これらの者の所在が判明しないときは、第一項の規定にかかわらず、意見聴取を行わないで指定をすることができる。
前各項に定めるもののほか、第一項の意見聴取の実施について必要な事項は、国家公安委員会規則で定める。
公安委員会は、指定をしようとするときは、あらかじめ、当該暴力団が指定の要件に該当すると認める旨を証する書類 及び指定に係る前条第一項の意見聴取に係る意見聴取調書 又は その写しを添えて、当該暴力団が第三条 又は第四条の要件に該当するかどうかについての国家公安委員会の確認を求めなければならない。
国家公安委員会は、当該暴力団が第三条 又は第四条の要件に該当する旨の確認をしようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、当該暴力団が第三条第一号 又は第四条第二号の要件に該当することについて、審査専門委員の意見を聴かなければならない。
国家公安委員会のする当該暴力団が第三条 又は第四条の要件に該当する旨の確認は、前項の規定による審査専門委員の意見に基づいたものでなければならない。
国家公安委員会は、第一項の規定による確認をしたときは、確認の結果を速やかに当該公安委員会に通知するものとする。
当該公安委員会は、前項の規定により、当該暴力団が第三条 又は第四条の要件に該当しない旨の確認の通知を受けたときは、当該暴力団について指定をすることができない。
公安委員会は、指定をするときは、指定に係る暴力団の名称 その他の国家公安委員会規則で定める事項を官報により公示しなければならない。
指定は、前項の規定による公示によって その効力を生ずる。
公安委員会は、指定をしたときは、当該指定に係る指定暴力団等を代表する者 又はこれに代わるべき者に対し、国家公安委員会規則で定めるところにより、指定をした旨 その他の国家公安委員会規則で定める事項を通知しなければならない。
第一項の規定により公示された事項に変更があったときは、公安委員会は、その旨を官報により公示しなければならない。
指定は、三年間 その効力を有する。
公安委員会は、前項の規定にかかわらず、指定暴力団等が次の各号のいずれかに該当することとなったときは、当該指定暴力団等に係る指定を取り消さなければならない。
解散 その他の事由により消滅したとき。
第三条各号 又は第四条各号のいずれかに該当しなくなったと明らかに認められるとき。
公安委員会は、第一項の規定にかかわらず、指定暴力団連合が第三条の規定により指定暴力団として指定されたときは、当該指定暴力団連合に係る第四条の規定による指定を取り消さなければならない。
公安委員会は、指定暴力団等が第二項各号のいずれかに該当することとなったことを理由として同項の規定による指定の取消しをしようとするときは、あらかじめ、当該指定暴力団等が同項第一号 又は第二号に掲げる場合に該当すると認める旨を証する書類を添えて、当該指定暴力団等が同項第一号 又は第二号に掲げる場合に該当するかどうかについての国家公安委員会の確認を求めなければならない。
国家公安委員会は、前項の規定による確認をしたときは、確認の結果を速やかに当該公安委員会に通知するものとする。
当該公安委員会は、前項の規定により、当該指定暴力団等が第二項各号に掲げる場合に該当しない旨の確認の通知を受けたときは、当該指定暴力団等に係る指定を取り消すことができない。
前条第一項から 第三項までの規定は、第二項 又は第三項の規定による指定の取消しについて準用する。
この場合において、
同条第三項中
「代表する者 又はこれに代わるべき者」とあるのは、
「代表する者 又はこれに代わるべき者(次条第二項第一号に該当することとなったときの取消しの場合にあっては、当該消滅した指定暴力団等を代表する者 又はこれに代わるべき者であった者)」と
読み替えるものとする。