民事訴訟法

# 平成八年法律第百九号 #
略称 : 民訴法 

第八章 当事者に対する住所、氏名等の秘匿

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年三月一日 ( 2024年 3月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十八号による改正
最終編集日 : 2024年 07月31日 09時08分


1項

申立て等をする者 又はその法定代理人の住所、居所 その他その通常所在する場所(以下 この項 及び次項において「住所等」という。)の全部 又は一部が当事者に知られることによって当該申立て等をする者 又は当該法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることにつき疎明があった場合には、裁判所は、申立てにより、決定で、住所等の全部 又は一部を秘匿する旨の裁判をすることができる。


申立て等をする者 又はその法定代理人の氏名 その他当該者を特定するに足りる事項(次項において「氏名等」という。)についても、同様とする。

2項

前項の申立てをするときは、同項の申立て等をする者 又はその法定代理人(以下この章において「秘匿対象者」という。)の住所等 又は氏名等(次条第二項において「秘匿事項」という。)その他最高裁判所規則で定める事項を書面により届け出なければならない。

3項

第一項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、当該申立てに係る秘匿対象者以外の者は、前項の規定による届出に係る書面(次条において「秘匿事項届出書面」という。)の閲覧 若しくは謄写 又はその謄本 若しくは抄本の交付の請求をすることができない

4項

第一項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

5項

裁判所は、秘匿対象者の住所 又は氏名について第一項の決定(以下この章において「秘匿決定」という。)をする場合には、当該秘匿決定において、当該秘匿対象者の住所 又は氏名に代わる事項を定めなければならない。


この場合において、その事項を当該事件 並びにその事件についての反訴、参加、強制執行、仮差押え 及び仮処分に関する手続において記載したときは、この法律 その他の法令の規定の適用については、当該秘匿対象者の住所 又は氏名を記載したものとみなす。

1項

秘匿決定があった場合には、秘匿事項届出書面の閲覧 若しくは謄写 又はその謄本 若しくは抄本の交付の請求をすることができる者を当該秘匿決定に係る秘匿対象者に限る

2項

前項の場合において、裁判所は、申立てにより、決定で、訴訟記録等(訴訟記録 又は第百三十二条の四第一項の処分の申立てに係る事件の記録をいう。第百三十三条の四第一項 及び第二項において同じ。)中秘匿事項届出書面以外のものであって秘匿事項 又は秘匿事項を推知することができる事項が記載され、又は記録された部分(次項において「秘匿事項記載部分」という。)の閲覧 若しくは謄写、その正本、謄本 若しくは抄本の交付 又はその複製の請求をすることができる者を当該秘匿決定に係る秘匿対象者に限ることができる。

3項

前項の申立てがあったときは、その申立てについての裁判が確定するまで、当該秘匿決定に係る秘匿対象者以外の者は、当該秘匿事項記載部分の閲覧 若しくは謄写、その正本、謄本 若しくは抄本の交付 又はその複製の請求をすることができない

4項

第二項の申立てを却下した裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

裁判所は、当事者 又はその法定代理人に対して送達をするため、その者の住所、居所 その他送達をすべき場所についての調査を嘱託した場合において、当該嘱託に係る調査結果の報告が記載された書面が閲覧されることにより、当事者 又はその法定代理人が社会生活を営むのに著しい支障を生ずるおそれがあることが明らかであると認めるときは、決定で、当該書面 及びこれに基づいてされた送達に関する第百九条の書面 その他これに類する書面の閲覧 若しくは謄写 又はその謄本 若しくは抄本の交付の請求をすることができる者を当該当事者 又は当該法定代理人に限ることができる。


当事者 又はその法定代理人を特定するため、その者の氏名 その他当該者を特定するに足りる事項についての調査を嘱託した場合についても、同様とする。

1項

秘匿決定、第百三十三条の二第二項の決定 又は前条の決定(次項 及び第七項において「秘匿決定等」という。)に係る者以外の者は、訴訟記録等の存する裁判所に対し、その要件を欠くこと 又はこれを欠くに至ったことを理由として、その決定の取消しの申立てをすることができる。

2項

秘匿決定等に係る者以外の当事者は、秘匿決定等がある場合であっても、自己の攻撃 又は防御に実質的な不利益を生ずるおそれがあるときは、訴訟記録等の存する裁判所の許可を得て、第百三十三条の二第一項 若しくは第二項 又は前条の規定により閲覧 若しくは謄写、その正本、謄本 若しくは抄本の交付 又はその複製の請求が制限される部分につきその請求をすることができる。

3項

裁判所は、前項の規定による許可の申立てがあった場合において、その原因となる事実につき疎明があったときは、これを許可しなければならない。

4項

裁判所は、第一項の取消し 又は第二項の許可の裁判をするときは、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める者の意見を聴かなければならない。

一 号

秘匿決定 又は第百三十三条の二第二項の決定に係る裁判をするとき

当該決定に係る秘匿対象者

二 号

前条の決定に係る裁判をするとき

当該決定に係る当事者 又は法定代理人

5項

第一項の取消しの申立てについての裁判 及び第二項の許可の申立てについての裁判に対しては、即時抗告をすることができる。

6項

第一項の取消し及び第二項の許可の裁判は、確定しなければその効力を生じない。

7項

第二項の許可の裁判があったときは、その許可の申立てに係る当事者 又はその法定代理人、訴訟代理人 若しくは補佐人は、正当な理由なく、その許可により得られた情報を、当該手続の追行の目的以外の目的のために利用し、又は秘匿決定等に係る者以外の者に開示してはならない。