民法

# 明治二十九年法律第八十九号 #

第七章 留置権

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年五月二十四日 ( 2024年 5月24日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2024年 10月25日 21時20分


1項

他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。


ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。

2項

前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない

1項

留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。

1項

留置権者は、留置物から生ずる果実を収取し、他の債権者に先立って、これを自己の債権の弁済に充当することができる。

2項

前項の果実は、まず債権の利息に充当し、なお残余があるときは元本に充当しなければならない。

1項

留置権者は、善良な管理者の注意をもって、留置物を占有しなければならない。

2項

留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を使用し、賃貸し、又は担保に供することができない。


ただし、その物の保存に必要な使用をすることは、この限りでない。

3項

留置権者が前二項の規定に違反したときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。

1項

留置権者は、留置物について必要費を支出したときは、所有者にその償還をさせることができる。

2項

留置権者は、留置物について有益費を支出したときは、これによる価格の増加が現存する場合に限り、所有者の選択に従い、その支出した金額 又は増価額を償還させることができる。


ただし、裁判所は、所有者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

1項

留置権の行使は、債権の消滅時効の進行を妨げない。

1項

債務者は、相当の担保を供して、留置権の消滅を請求することができる。

1項

留置権は、留置権者が留置物の占有を失うことによって、消滅する。


ただし第二百九十八条第二項の規定により留置物を賃貸し、又は質権の目的としたときは、この限りでない。