特定外来生物による生態系等に係る被害が生じ、又は生じるおそれがある場合において、当該被害の発生を防止するため必要があるときは、主務大臣 及び国の関係行政機関の長(以下「主務大臣等」という。)は、この章の規定により、防除を行うものとする。
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
第三章 特定外来生物の防除
主務大臣等は、前項の規定による防除をするには、主務省令で定めるところにより、関係都道府県の意見を聴いて、次に掲げる事項を定め、これを公示しなければならない。
当該特定外来生物の捕獲、採取 若しくは殺処分(以下「捕獲等」という。)又は その防除を目的とする生殖を不能にされた特定外来生物の放出等 その他の防除の内容
前三号に掲げるもののほか、主務省令で定める事項
主務大臣等が行う前条第一項の規定による防除に係る特定外来生物の捕獲等については、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)の規定は、適用しない。
主務大臣等は、特定外来生物の生息 若しくは生育の状況 又は特定外来生物による生態系等に係る被害の状況に関する情報 その他特定外来生物の防除の必要性の判断 又は当該防除の実施に必要となる情報を収集するための調査に必要な限度において、その職員 又は その委任した者に、他人の土地 又は水面に立ち入り、調査を行わせることができる。
主務大臣等は、第十一条第一項の規定による防除に必要な限度において、その職員に、他人の土地 若しくは水面に立ち入り、特定外来生物の捕獲等 若しくは放出等をさせ、又は当該特定外来生物の捕獲等の支障となる立木竹を伐採させることができる。
主務大臣等は、その職員に前二項の規定による調査 若しくは行為をさせる場合 又は その委任した者に第一項の規定による調査をさせる場合には、あらかじめ、その土地 若しくは水面の占有者 又は立木竹の所有者にその旨を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。
第一項 又は第二項の規定により他人の土地 又は水面に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。
主務大臣等は、第三項の規定による通知をする場合において、相手方が知れないとき、又は その所在が不分明なときは、その通知に係る土地、水面 又は立木竹の所在地の属する市町村の事務所の掲示場にその通知の内容を掲示するとともに、その要旨 及び掲示した旨を官報に掲載しなければならない。
この場合においては、その掲示を始めた日 又は官報に掲載した日のいずれか遅い日から十四日を経過した日に、その通知は、相手方に到達したものとみなす。
国は、前条第一項の規定による調査 又は同条第二項の規定による行為によって損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償する。
前項の規定による補償を受けようとする者は、主務大臣等にこれを請求しなければならない。
主務大臣等は、前項の規定による請求を受けたときは、補償すべき金額を決定し、当該請求者にこれを通知しなければならない。
前条第三項の規定による決定に不服がある者は、その通知を受けた日から六月以内に訴えをもって補償すべき金額の増額を請求することができる。
前項の訴えにおいては、国を被告とする。
国は、第十一条第一項の規定による防除の実施が必要となった場合において、その原因となった行為をした者があるときは、その防除の実施が必要となった限度において、その費用の全部 又は一部を負担させることができる。
主務大臣等は、前条の規定により費用を負担させようとするときは、主務省令で定めるところにより、その負担させようとする費用(以下この条において「負担金」という。)の額 及び その納付期限を定めて、その納付を命じなければならない。
主務大臣等は、前項の納付期限までに負担金を納付しない者があるときは、主務省令で定めるところにより、督促状で期限を指定して督促しなければならない。
主務大臣等は、前項の規定による督促をしたときは、主務省令で定めるところにより、負担金の額に、年十四・五パーセントを超えない割合を乗じて、第一項の納付期限の翌日から その負担金の完納の日 又は その負担金に係る財産差押えの日の前日までの日数により計算した額の延滞金を徴収することができる。
主務大臣等は、第二項の規定による督促を受けた者が、同項の督促状で指定した期限までにその納付すべき負担金 及び その負担金に係る前項の延滞金(以下この条において「延滞金」という。)を納付しないときは、国税の滞納処分の例により、その負担金 及び延滞金を徴収することができる。
この場合における負担金 及び延滞金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。
地方公共団体は、その行う特定外来生物の防除であって第十一条第二項の規定により公示された事項に適合するものについて、主務省令で定めるところにより、主務大臣のその旨の確認を受けることができる。
国 及び地方公共団体以外の者は、その行う特定外来生物の防除について、主務省令で定めるところにより、その者が適正かつ確実に実施することができ、及び第十一条第二項の規定により公示された事項に適合している旨の主務大臣の認定を受けることができる。
主務大臣は、第一項の確認をしたとき又は前項の認定をしたときは、主務省令で定めるところにより、その旨を公示しなければならない。
第二十条第二項 又は第四項の規定によりこれらを取り消したときも、同様とする。
第十二条の規定は地方公共団体が行う第一項の確認を受けた防除 又は国 及び地方公共団体以外の者が行う第二項の認定を受けた防除について、第十三条から 前条までの規定は第一項の確認を受けた防除に関する事務を所掌する地方公共団体について準用する。
この場合において、
第十三条第一項中
「特定外来生物の防除の必要性の判断 又は当該」とあるのは
「第十八条第一項の確認を受けた」と、
同条第五項中
「官報」とあるのは
「地方公共団体の公報」と
読み替えるものとする。
主務大臣は、前条第二項の認定を受けて防除を行う者に対し、その防除の実施状況 その他必要な事項について報告を求めることができる。
第十八条第一項の確認 又は同条第二項の認定を受けて防除を行う者は、その防除を中止したとき、又は その防除を第十一条第二項の規定により公示された事項に即して行うことができなくなったときは、その旨を主務大臣に通知しなければならない。
主務大臣は、前項の規定による通知があったときは、その通知に係る第十八条第一項の確認 又は同条第二項の認定を取り消すものとする。
主務大臣は、第十八条第二項の認定を受けた防除におけるその防除を目的とする生殖を不能にされた特定外来生物の放出等が第十一条第二項の規定により公示された事項に即して行われていないと認めるときは、その防除を行う者に対し、放出等をした当該特定外来生物の回収 その他の必要な措置を執るべきことを命ずることができる。
主務大臣は、第十八条第二項の認定を受けた防除が第十一条第二項の規定により公示された事項に即して行われていないと認めるとき、又は その防除を行う者がその防除を適正かつ確実に実施することができなくなったと認めるとき若しくは前条に規定する報告をせず、若しくは虚偽の報告をしたときは、その認定を取り消すことができる。