特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律

平成八年法律第八十五号
略称 : 特定非常災害法  特定非常災害特別措置法 
分類 法律
カテゴリ   災害対策
@ 施行日 : 令和四年五月三十一日 ( 2022年 5月31日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十四号による改正
最終編集日 : 2024年 06月04日 16時00分

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1項

この法律は、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るため、特定非常災害が発生した場合における行政上の権利利益に係る満了日の延長、履行されなかった義務に係る免責、法人の破産手続開始の決定の特例、相続の承認 又は放棄をすべき期間の特例、民事調停法昭和二十六年法律第二百二十二号)による調停の申立ての手数料の特例 並びに建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)及び景観法(平成十六年法律第百十号)による応急仮設住宅の存続期間等の特例について定めるものとする。

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1項

著しく異常かつ激甚な非常災害であって、当該非常災害の被害者の行政上の権利利益の保全等を図り、又は当該非常災害により債務超過となった法人の存立、当該非常災害により相続の承認 若しくは放棄をすべきか否かの判断を的確に行うことが困難となった者の保護、当該非常災害に起因する民事に関する紛争の迅速かつ円滑な解決 若しくは当該非常災害に係る応急仮設住宅の入居者の居住の安定に資するための措置を講ずることが特に必要と認められるものが発生した場合には、当該非常災害を特定非常災害として政令で指定するものとする。


この場合において、当該政令には、当該特定非常災害が発生した日を特定非常災害発生日として定めるものとする。

2項

前項の政令においては、次条以下に定める措置のうち当該特定非常災害に対し適用すべき措置を指定しなければならない。


当該指定の後、新たにその余の措置を適用する必要が生じたときは、当該措置を政令で追加して指定するものとする。

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1項

次に掲げる権利利益(以下「特定権利利益」という。)に係る法律、政令 又は内閣府設置法平成十一年法律第八十九号第七条第三項 若しくは第五十八条第四項宮内庁法昭和二十二年法律第七十号第十八条第一項において準用する場合を含む。)、デジタル庁設置法令和三年法律第三十六号第七条第三項 若しくは国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号第十二条第一項 若しくは第十三条第一項の命令 若しくは内閣府設置法第七条第五項 若しくは第五十八条第六項 若しくは宮内庁法第八条第五項デジタル庁設置法第七条第五項 若しくは国家行政組織法第十四条第一項の告示(以下「法令」という。)の施行に関する事務を所管する国の行政機関(内閣府、宮内庁 並びに内閣府設置法第四十九条第一項 及び第二項に規定する機関、デジタル庁 並びに国家行政組織法第三条第二項に規定する機関をいう。以下同じ。)の長(当該国の行政機関が内閣府設置法第四十九条第一項 若しくは第二項 又は国家行政組織法第三条第二項に規定する委員会である場合にあっては、当該委員会)は、特定非常災害の被害者の特定権利利益であってその存続期間が満了前であるものを保全し、又は当該特定権利利益であってその存続期間が既に満了したものを回復させるため必要があると認めるときは、特定非常災害発生日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日(以下「延長期日」という。)を限度として、これらの特定権利利益に係る満了日を延長する措置をとることができる。

一 号

法令に基づく行政庁の処分(特定非常災害発生日以前に行ったものに限る)により付与された権利 その他の利益であって、その存続期間が特定非常災害発生日以後に満了するもの

二 号

法令に基づき何らかの利益を付与する処分 その他の行為を当該行為に係る権限を有する行政機関(国の行政機関 及びこれらに置かれる機関 並びに地方公共団体の機関に限る)に求めることができる権利であって、その存続期間が特定非常災害発生日以後に満了するもの

2項

前項の規定による延長の措置は、告示により、当該措置の対象となる特定権利利益の根拠となる法令の条項ごとに、地域を単位として、当該措置の対象者 及び当該措置による延長後の満了日を指定して行うものとする。

3項

第一項の規定による延長の措置のほか、同項第一号の行政庁 又は同項第二号の行政機関(次項において「行政庁等」という。)は、特定非常災害の被害者であって、その特定権利利益について保全 又は回復を必要とする理由を記載した書面により満了日の延長の申出を行ったものについて、延長期日までの期日を指定してその満了日を延長することができる。

4項

延長期日が定められた後、第一項 又は前項の規定による満了日の延長の措置を延長期日の翌日以後においても特に継続して実施する必要があると認められるときは、第一項の国の行政機関の長 又は行政庁等は、同項 又は前項の例に準じ、特定権利利益の根拠となる法令の条項ごとに新たに政令で定める日を限度として、当該特定権利利益に係る満了日を更に延長する措置をとることができる。

5項

前各項の規定にかかわらず、災害 その他やむを得ない事由がある場合における特定権利利益に係る期間に関する措置について他の法令に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

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1項

特定非常災害発生日以後に法令に規定されている履行期限が到来する義務(以下「特定義務」という。)であって、特定非常災害により当該履行期限が到来するまでに履行されなかったものについて、その不履行に係る行政上 及び刑事上の責任(過料に係るものを含む。以下単に「責任」という。)が問われることを猶予する必要があるときは、政令で、特定非常災害発生日から起算して四月を超えない範囲内において特定義務の不履行についての免責に係る期限(以下「免責期限」という。)を定めることができる。

2項

免責期限が定められた場合において、免責期限が到来する日の前日までに履行期限が到来する特定義務が免責期限が到来する日までに履行されたときは、当該特定義務が特定非常災害により履行されなかったことについて、責任は問われないものとする。

3項

免責期限が定められた後、前二項に定める免責の措置を免責期限が到来する日の翌日以後においても特に継続して実施する必要があると認められるときは、政令で、特定義務の根拠となる法令の条項ごとに、新たに、当該特定義務の不履行についての免責に係る期限を定めることができる。


前項の規定は、この場合について準用する。

4項

前三項の規定にかかわらず、特定義務が災害 その他やむを得ない事由によりその履行期限が到来するまでに履行されなかった場合について他の法令に別段の定めがあるときは、その定めるところによる。

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1項

特定非常災害によりその財産をもって債務を完済することができなくなった法人に対しては、第二条第一項 又は第二項の政令でこの条に定める措置を指定するものの施行の日以後特定非常災害発生日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日までの間、破産手続開始の決定をすることができない


ただし、その法人が、清算中である場合、支払をすることができない場合 又は破産手続開始の申立てをした場合は、この限りでない。

2項

裁判所は、法人に対して破産手続開始の申立てがあった場合において、前項の規定によりその法人に対して破産手続開始の決定をすることができないときは、当該決定を留保する決定をしなければならない。

3項

裁判所は、前項の規定による決定に係る法人が支払をすることができなくなったとき、その他同項の規定による決定をすべき第一項に規定する事情について変更があったときは、申立てにより又は職権で、その決定を取り消すことができる。

4項

前二項の規定による決定に対しては、不服を申し立てることができない

5項

第一項本文の法人の理事 又はこれに準ずる者は、特定非常災害発生日から同項に規定する政令で定める日までの間、他の法律の規定にかかわらず、その法人について破産手続開始の申立てをすることを要しない。

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1項

相続人(次の各号に掲げる場合にあっては、当該各号に定める者)が、特定非常災害発生日において特定非常災害により多数の住民が避難し、又は住所を移転することを余儀なくされた地区として政令で定めるものに住所を有していた場合において、民法明治二十九年法律第八十九号第九百十五条第一項の期間(この期間が同項ただし書の規定によって伸長された場合にあっては、その伸長された期間。以下この条において同じ。)の末日が特定非常災害発生日以後当該特定非常災害発生日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日の前日までに到来するときは、同項の期間は、当該政令で定める日まで伸長する。

一 号

相続人が相続の承認 又は放棄をしないで死亡した場合

その者の相続人

二 号

相続人(前号の場合にあっては、同号に定める者)が未成年者 又は成年被後見人である場合

その法定代理人

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1項

特定非常災害により借地借家関係 その他の民事上の法律関係に著しい混乱を生ずるおそれがある地区として政令で定めるものに特定非常災害発生日において住所、居所、営業所 又は事務所を有していた者が、当該特定非常災害に起因する民事に関する紛争につき、特定非常災害発生日以後当該特定非常災害発生日から起算して三年を超えない範囲内において政令で定める日までの間に、民事調停法による調停の申立てをする場合には、民事訴訟費用等に関する法律昭和四十六年法律第四十号第三条第一項の規定にかかわらず、その申立ての手数料を納めることを要しない。

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1項

市町村長は、景観法第七十七条第一項の非常災害 又は同条第二項の災害が特定非常災害である場合において、被災者の住宅の需要に応ずるに足りる適当な住宅が不足するため同条第四項に規定する期間を超えて当該被災者の居住の用に供されている応急仮設建築物である住宅を存続させる必要があり、かつ、これを存続させても良好な景観の形成に著しい支障がないと認めるときは、同項の規定にかかわらず、更に一年を超えない範囲内において同項の許可の期間を延長することができる。


当該延長に係る期間が満了した場合において、これを更に延長しようとするときも、同様とする。

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