次に掲げる債権(財団債権であるものを除く。)は、破産債権に含まれるものとする。
破産法
第一節 破産債権者の権利
破産手続開始後の延滞税、利子税 若しくは延滞金の請求権 又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権
国税徴収法(昭和三十四年法律第百四十七号)又は国税徴収の例によって徴収することのできる請求権(以下「租税等の請求権」という。)であって、破産財団に関して破産手続開始後の原因に基づいて生ずるもの
加算税(国税通則法(昭和三十七年法律第六十六号)第二条第四号に規定する過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税 及び重加算税をいう。)若しくは加算金(地方税法(昭和二十五年法律第二百二十六号)第一条第一項第十四号に規定する過少申告加算金、不申告加算金 及び重加算金をいう。)の請求権 又はこれらに類する共助対象外国租税の請求権
罰金、科料、刑事訴訟費用、追徴金 又は過料の請求権(以下「罰金等の請求権」という。)
第五十四条第一項(第五十八条第三項において準用する場合を含む。)に規定する相手方の損害賠償の請求権
第五十七条に規定する債権
第五十九条第一項の規定による請求権であって、相手方の有するもの
第六十条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)に規定する債権
第百六十八条第二項第二号 又は第三号に定める権利
破産財団に属する財産につき一般の先取特権 その他一般の優先権がある破産債権(次条第一項に規定する劣後的破産債権 及び同条第二項に規定する約定劣後破産債権を除く。以下「優先的破産債権」という。)は、他の破産債権に優先する。
前項の場合において、優先的破産債権間の優先順位は、民法、商法 その他の法律の定めるところによる。
優先権が一定の期間内の債権額につき存在する場合には、その期間は、破産手続開始の時からさかのぼって計算する。
次に掲げる債権(以下「劣後的破産債権」という。)は、他の破産債権(次項に規定する約定劣後破産債権を除く。)に後れる。
第九十七条第一号から第七号までに掲げる請求権
破産手続開始後に期限が到来すべき確定期限付債権で無利息のもののうち、破産手続開始の時から期限に至るまでの期間の年数(その期間に一年に満たない端数があるときは、これを切り捨てるものとする。)に応じた債権に対する破産手続開始の時における法定利率による利息の額に相当する部分
破産手続開始後に期限が到来すべき不確定期限付債権で無利息のもののうち、その債権額と破産手続開始の時における評価額との差額に相当する部分
金額 及び存続期間が確定している定期金債権のうち、各定期金につき第二号の規定に準じて算定される額の合計額(その額を各定期金の合計額から控除した額が破産手続開始の時における法定利率によりその定期金に相当する利息を生ずべき元本額を超えるときは、その超過額を加算した額)に相当する部分
破産債権者と破産者との間において、破産手続開始前に、当該債務者について破産手続が開始されたとすれば当該破産手続におけるその配当の順位が劣後的破産債権に後れる旨の合意がされた債権(以下「約定劣後破産債権」という。)は、劣後的破産債権に後れる。
破産債権は、この法律に特別の定めがある場合を除き、破産手続によらなければ、行使することができない。
前項の規定は、次に掲げる行為によって破産債権である租税等の請求権(共助対象外国租税の請求権を除く。)を行使する場合については、適用しない。
優先的破産債権である給料の請求権 又は退職手当の請求権について届出をした破産債権者が、これらの破産債権の弁済を受けなければその生活の維持を図るのに困難を生ずるおそれがあるときは、裁判所は、最初に第百九十五条第一項に規定する最後配当、第二百四条第一項に規定する簡易配当、第二百八条第一項に規定する同意配当 又は第二百九条第一項に規定する中間配当の許可があるまでの間、破産管財人の申立てにより又は職権で、その全部 又は一部の弁済をすることを許可することができる。
ただし、その弁済により財団債権 又は他の先順位 若しくは同順位の優先的破産債権を有する者の利益を害するおそれがないときに限る。
破産管財人は、前項の破産債権者から同項の申立てをすべきことを求められたときは、直ちにその旨を裁判所に報告しなければならない。
この場合において、その申立てをしないこととしたときは、遅滞なく、その事情を裁判所に報告しなければならない。
破産管財人は、破産財団に属する債権をもって破産債権と相殺することが破産債権者の一般の利益に適合するときは、裁判所の許可を得て、その相殺をすることができる。
前項の場合において、破産債権の額は、次に掲げる債権の区分に従い、それぞれ当該各号に定める額とする。
次に掲げる債権
破産手続開始の時における評価額
前号に掲げる債権以外の債権
債権額
破産債権が期限付債権でその期限が破産手続開始後に到来すべきものであるときは、その破産債権は、破産手続開始の時において弁済期が到来したものとみなす。
破産債権が破産手続開始の時において条件付債権 又は将来の請求権であるときでも、当該破産債権者は、その破産債権をもって破産手続に参加することができる。
第一項の規定にかかわらず、共助対象外国租税の請求権をもって破産手続に参加するには、共助実施決定(租税条約等実施特例法第十一条第一項に規定する共助実施決定をいう。第百三十四条第二項において同じ。)を得なければならない。
数人が各自全部の履行をする義務を負う場合において、その全員 又はそのうちの数人 若しくは一人について破産手続開始の決定があったときは、債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額についてそれぞれの破産手続に参加することができる。
前項の場合において、他の全部の履行をする義務を負う者が破産手続開始後に債権者に対して弁済 その他の債務を消滅させる行為(以下この条において「弁済等」という。)をしたときであっても、その債権の全額が消滅した場合を除き、その債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額についてその権利を行使することができる。
第一項に規定する場合において、破産者に対して将来行うことがある求償権を有する者は、その全額について破産手続に参加することができる。
ただし、債権者が破産手続開始の時において有する債権について破産手続に参加したときは、この限りでない。
第一項の規定により債権者が破産手続に参加した場合において、破産者に対して将来行うことがある求償権を有する者が破産手続開始後に債権者に対して弁済等をしたときは、その債権の全額が消滅した場合に限り、その求償権を有する者は、その求償権の範囲内において、債権者が有した権利を破産債権者として行使することができる。
第二項の規定は破産者の債務を担保するため自己の財産を担保に供した第三者(以下 この項において「物上保証人」という。)が破産手続開始後に債権者に対して弁済等をした場合について、前二項の規定は物上保証人が破産者に対して将来行うことがある求償権を有する場合における当該物上保証人について準用する。
保証人について破産手続開始の決定があったときは、債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額について破産手続に参加することができる。
法人の債務につき無限の責任を負う者について破産手続開始の決定があったときは、当該法人の債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額について破産手続に参加することができる。
法人の債務につき有限の責任を負う者について破産手続開始の決定があったときは、当該法人の債権者は、破産手続に参加することができない。
この場合においては、当該法人が出資の請求について破産手続に参加することを妨げない。
法人の債務につき有限の責任を負う者がある場合において、当該法人について破産手続開始の決定があったときは、当該法人の債権者は、当該法人の債務につき有限の責任を負う者に対してその権利を行使することができない。
別除権者は、当該別除権に係る第六十五条第二項に規定する担保権によって担保される債権については、その別除権の行使によって弁済を受けることができない債権の額についてのみ、破産債権者としてその権利を行使することができる。
ただし、当該担保権によって担保される債権の全部 又は一部が破産手続開始後に担保されないこととなった場合には、その債権の当該全部 又は一部の額について、破産債権者としてその権利を行使することを妨げない。
破産財団に属しない破産者の財産につき特別の先取特権、質権 若しくは抵当権を有する者 又は破産者につき更に破産手続開始の決定があった場合における前の破産手続において破産債権を有する者も、前項と同様とする。
破産債権者は、破産手続開始の決定があった後に、破産財団に属する財産で外国にあるものに対して権利を行使したことにより、破産債権について弁済を受けた場合であっても、その弁済を受ける前の債権の額について破産手続に参加することができる。
破産債権者は、裁判所の許可を得て、共同して又は各別に、一人 又は数人の代理委員を選任することができる。
代理委員が数人あるときは、共同してその権限を行使する。
ただし、第三者の意思表示は、その一人に対してすれば足りる。
裁判所は、代理委員の権限の行使が著しく不公正であると認めるときは、第一項の許可を取り消すことができる。