預託等取引に関する法律

# 昭和六十一年法律第六十二号 #

第三章 販売を伴う預託等取引の禁止等

分類 法律
カテゴリ   商業
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2022年 12月07日 10時15分


第一節 勧誘等の禁止等

1項

預託等取引業者等は、預託等取引業者 又は密接関係者(預託等取引契約の対象とする物品 又は特定権利の販売を行う者 その他の預託等取引業者と密接な関係を有する者として内閣府令で定める者をいう。以下同じ。)が販売しようとする物品 又は特定権利に係る売買契約(当該物品 又は特定権利を預託等取引契約の対象とする売買契約に限る。以下同じ。)の締結 及び当該物品 又は特定権利を対象とする預託等取引契約の締結 又は更新については、当該物品 又は特定権利の種類ごとに、当該預託等取引業者 若しくは密接関係者が当該売買契約を締結し、又は当該預託等取引業者が当該預託等取引契約を締結し、若しくは更新することにより、顧客の財産上の利益が不当に侵害されるおそれのないことにつき、あらかじめ、内閣総理大臣の確認を受けなければ、その勧誘等(勧誘 又は広告 その他これに類似するものとして内閣府令で定める行為をいう。以下同じ。)をしてはならない。


預託等取引業者 又は密接関係者が既に販売した物品 又は特定権利を対象とする預託等取引契約の締結 又は更新に係る勧誘等についても、同様とする。

2項

前項の確認は、一年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

3項

前項の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下「確認の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の確認は、確認の有効期間の満了後も その処分がされるまでの間は、なお その効力を有する。

4項

前項の場合において、確認の更新がされたときは、その確認の有効期間は、従前の確認の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

5項

内閣総理大臣は、第一項の確認 又は その更新に際し、顧客の財産上の利益の侵害を防止するために必要な条件を付することができる。


この場合において、その条件は、当該確認 又は その更新を受けた者に不当な義務を課するものであってはならない。

1項

預託等取引業者は、前条第一項の確認(同条第二項の確認の更新を含む。以下同じ。)を受けようとするときは、次に掲げる事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

一 号
商号、名称 又は氏名
二 号
本店、支店 その他の事業所の名称 及び所在地
三 号

法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役、執行役 又はこれらに準ずる者をいう。)の氏名 及び住所

四 号
確認の対象となる勧誘等に係る物品 又は特定権利の種類
五 号

次条第一項第一号から 第四号までに掲げる事項

六 号
その他内閣府令で定める事項
2項

前項の申請書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。

一 号

法人である場合においては、定款 及び法人の登記事項証明書(これらに準ずるものを含む。

二 号
貸借対照表
三 号
損益計算書
四 号
その他内閣府令で定める書類
3項

前項の場合において、定款、貸借対照表 又は損益計算書が電磁的記録で作成されているときは、書類に代えて電磁的記録に係る記録媒体を添付することができる。

1項

内閣総理大臣は、第九条第一項の確認の申請があった場合においては、次に掲げる事項を審査し、当該事項がいずれも適正であると認めるときでなければ、同項の確認をしてはならない。

一 号

申請者(当該申請に係る勧誘等を行う預託等取引業者をいう。以下 この項において同じ。)又は密接関係者が締結しようとする売買契約(第九条第一項後段の確認の申請があった場合においては、既に締結された売買契約)に係る物品 又は特定権利の価額

二 号

申請者が締結し、又は更新しようとするそれぞれの預託等取引契約において物品の預託を受ける期間 又は特定権利を管理する期間 並びに当該それぞれの預託等取引契約によって顧客に供与される財産上の利益の金額(供与される財産上の利益が金銭以外の場合においては、当該財産の価額)及び内容

三 号

申請者が第九条第一項の確認の有効期間内に締結し、又は更新しようとする全ての預託等取引契約によって顧客に供与する財産上の利益の総額の見込額

四 号

第二号の預託等取引契約に基づいて預託を受ける物品 又は管理する特定権利の管理の体制に関する事項として内閣府令で定める事項

五 号

申請者が第二号の預託等取引契約に基づいて、預託を受ける物品 若しくは管理する特定権利の返還 又はこれらに代わる金銭の給付、当該物品 又は特定権利の買取り 及び顧客に供与する財産上の利益の支払に係る債務を履行するための経済的基礎

六 号

前各号に掲げるもののほか、内閣府令で定める事項

2項

内閣総理大臣は、第九条第一項の確認をしようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴くものとする。

1項

第九条第一項の確認を受けた預託等取引業者は、第十条第一項第一号から 第五号までの事項を変更しようとするときは、内閣総理大臣の変更の確認を受けなければならない。


ただし、内閣府令で定める軽微な変更については、この限りでない。

2項

前項の変更の確認の申請をしようとする預託等取引業者は、変更に係る事項を記載した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。

3項

第十条第二項 及び第三項 並びに前条の規定は、第一項の変更の確認について準用する。


この場合において、

同条第一項
次に掲げる事項」とあるのは、
「次に掲げる事項(変更しようとする事項については、その変更後のもの)」と

読み替えるものとする。

4項

前項において準用する第十条第二項各号に掲げる書類については、既に内閣総理大臣に提出されている当該書類の内容に変更がないときは、その添付を省略することができる。

5項

第九条第一項の確認を受けた預託等取引業者は、第一項ただし書の内閣府令で定める軽微な変更をしたときは、遅滞なく、その旨を内閣総理大臣に届け出なければならない。

1項

内閣総理大臣は、第九条第一項の確認(前条第一項の変更の確認を受けたときは、その変更後のもの。以下同じ。)を受けた者が次の各号いずれかに該当するときは、その確認を取り消すことができる。

一 号

偽り その他不正の手段により第九条第一項の確認を受けたことが判明したとき。

二 号

第九条第五項の規定により同条第一項の確認に付された条件に違反したとき。

三 号

第十一条第一項第五号の経済的基礎を欠いたことによって顧客の財産上の利益が不当に侵害されるおそれがあると認められるとき。

四 号
この法律 又は この法律に基づく命令に違反したとき。

第二節 契約の締結等の禁止等

1項

預託等取引業者は、第九条第一項の確認 及び次項の確認を受けていない種類の物品 又は特定権利については、自ら売主となる売買契約の締結 及び自己 又は密接関係者が販売しようとする当該物品 又は特定権利を対象とする預託等取引契約の締結 又は更新をしてはならない。


預託等取引業者 又は密接関係者が既に販売した物品 又は特定権利を対象とする預託等取引契約の締結 又は更新についても、同様とする。

2項

第九条第一項の確認を受けた預託等取引業者は、同項の確認を受けた種類の物品 若しくは特定権利に係る売買契約を締結しようとするとき 及び当該物品 若しくは特定権利であって自己 若しくは密接関係者が販売しようとするものを対象とする預託等取引契約の締結 若しくは更新をしようとするとき 又は預託等取引業者 若しくは密接関係者が既に販売した物品 若しくは特定権利であって同項の確認を受けたものを対象とする預託等取引契約の締結 若しくは更新をしようとするときは、その確認の有効期間内において、あらかじめ、次に掲げる事項について、内閣総理大臣の確認を受けなければならない。

一 号

当該売買契約 又は預託等取引契約の内容が第九条第一項の確認の対象とされた売買契約 又は預託等取引契約の内容(第十一条第一項第一号から 第三号までに規定する事項に限る)に適合すること。

二 号
顧客の知識、経験、財産の状況 及び当該売買契約を締結し、又は当該預託等取引契約を締結し、若しくは更新する目的に照らして、当該売買契約の締結 又は当該預託等取引契約の締結 若しくは更新が顧客の財産上の利益を不当に侵害するものでないこと。
3項

第九条第一項の確認 及び前項の確認を受けないで締結した売買契約 又は これらの確認を受けないで締結し、若しくは更新した預託等取引契約は、その効力を生じない。

4項

内閣総理大臣は、第二項の確認をしようとするときは、あらかじめ、消費者委員会の意見を聴くものとする。

1項

第十条の規定は、前条第二項の確認について準用する。


この場合において、

第十条第一項第四号
勧誘等」とあるのは
「売買契約 又は預託等取引契約」と、

同項第五号
第四号」とあるのは
第三号」と

読み替えるものとする。

2項

前項において準用する第十条第二項各号に掲げる書類については、既に内閣総理大臣に提出されている当該書類の内容に変更がないときは、その添付を省略することができる。

1項

内閣総理大臣は、第十四条第二項の確認をした売買契約 又は預託等取引契約について、次の各号いずれかに該当するときは、その確認を取り消すことができる。

一 号

偽り その他不正の手段により第十四条第二項の確認を受けたことが判明したとき。

二 号
この法律 又は この法律に基づく命令の規定に対する違反があったとき。
2項

第十三条の規定により第九条第一項の確認が取り消された場合において、当該確認に係る売買契約の締結 又は預託等取引契約の締結 若しくは更新について第十四条第二項の確認を受けているときは、同項の確認は取り消されたものとみなす。

第三節 販売を伴う預託等取引に関する解除等の特則

1項

預託者が第七条第一項の規定により預託等取引契約の解除を行った場合には、現に効力を有する当該預託等取引契約の対象とする物品 又は特定権利に係る売買契約(第十四条第二項の確認を受けたもののうち、同項の確認を受けた日以後に締結されたものに限る。以下この条において同じ。)は、当該預託者が当該解除を行った時に解除されたものとみなす。


ただし、当該預託者が反対の意思を表示しているときは、この限りでない。

2項

前項本文の規定により売買契約が解除されたものとみなされた場合においては、預託等取引業者 又は密接関係者は、当該売買契約の解除に伴う損害賠償 又は違約金の支払を請求することができない

3項

第一項本文の規定により売買契約が解除されたものとみなされた場合において、当該売買契約に係る物品の引渡し 又は特定権利の移転が既にされているときは、その返還に要する費用は、当該物品 又は特定権利を販売した預託等取引業者 又は密接関係者の負担とする。

4項

預託等取引業者 又は密接関係者は、第一項本文の規定により売買契約が解除されたものとみなされた場合には、既に当該売買契約に基づき引き渡された物品が使用され 又は移転された特定権利が行使されたときにおいても、預託者に対し、当該物品の使用により得られた利益 又は当該特定権利の行使により得られた利益に相当する金銭 その他の金銭の支払を請求することができない

5項

前各項の規定に反する特約で預託者に不利なものは、無効とする。