この法律は、自立の意思がありながらホームレスとなることを余儀なくされた者が多数存在し、健康で文化的な生活を送ることができないでいるとともに、地域社会とのあつれきが生じつつある現状にかんがみ、ホームレスの自立の支援、ホームレスとなることを防止するための生活上の支援等に関し、国等の果たすべき責務を明らかにするとともに、ホームレスの人権に配慮し、かつ、地域社会の理解と協力を得つつ、必要な施策を講ずることにより、ホームレスに関する問題の解決に資することを目的とする。
ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法
第一章 総則
この法律において「ホームレス」とは、都市公園、河川、道路、駅舎 その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者をいう。
ホームレスの自立の支援等に関する施策の目標は、次に掲げる事項とする。
自立の意思があるホームレスに対し、安定した雇用の場の確保、職業能力の開発等による就業の機会の確保、住宅への入居の支援等による安定した居住の場所の確保 並びに健康診断、医療の提供等による保健 及び医療の確保に関する施策 並びに生活に関する相談 及び指導を実施することにより、これらの者を自立させること。
ホームレスとなることを余儀なくされるおそれのある者が多数存在する地域を中心として行われる、これらの者に対する就業の機会の確保、生活に関する相談 及び指導の実施 その他の生活上の支援により、これらの者がホームレスとなることを防止すること。
前二号に掲げるもののほか、宿泊場所の一時的な提供、日常生活の需要を満たすために必要な物品の支給 その他の緊急に行うべき援助、生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号)による保護の実施、国民への啓発活動等によるホームレスの人権の擁護、地域における生活環境の改善 及び安全の確保等により、ホームレスに関する問題の解決を図ること。
ホームレスの自立の支援等に関する施策については、 ホームレスの自立のためには就業の機会が確保されることが最も重要であることに留意しつつ、前項の目標に従って総合的に推進されなければならない。
ホームレスは、その自立を支援するための国 及び地方公共団体の施策を活用すること等により、自らの自立に努めるものとする。
国は、第三条第一項各号に掲げる事項につき、総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。
地方公共団体は、第三条第一項各号に掲げる事項につき、当該地方公共団体におけるホームレスに関する問題の実情に応じた施策を策定し、及びこれを実施するものとする。
国民は、ホームレスに関する問題について理解を深めるとともに、地域社会において、国 及び地方公共団体が実施する施策に協力すること等により、ホームレスの自立の支援等に努めるものとする。