会社法

# 平成十七年法律第八十六号 #

第二款 株式の譲渡に係る承認手続

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和五年六月十四日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月18日 20時57分

1項

譲渡制限株式の株主は、その有する譲渡制限株式を他人(当該譲渡制限株式を発行した株式会社を除く)に譲り渡そうとするときは、当該株式会社に対し、当該他人が当該譲渡制限株式を取得することについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

1項

譲渡制限株式を取得した株式取得者は、株式会社に対し、当該譲渡制限株式を取得したことについて承認をするか否かの決定をすることを請求することができる。

2項

前項の規定による請求は、利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令で定める場合を除き、その取得した株式の株主として株主名簿に記載され、若しくは記録された者 又はその相続人 その他の一般承継人と共同してしなければならない。

1項

次の各号に掲げる請求(以下 この款において「譲渡等承認請求」という。)は、当該各号に定める事項を明らかにしてしなければならない。

一 号

第百三十六条の規定による請求

次に掲げる事項

当該請求をする株主が譲り渡そうとする譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類 及び種類ごとの数

の譲渡制限株式を譲り受ける者の氏名 又は名称

株式会社が第百三十六条の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社 又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨

二 号

前条第一項の規定による請求

次に掲げる事項

当該請求をする株式取得者の取得した譲渡制限株式の数(種類株式発行会社にあっては、譲渡制限株式の種類 及び種類ごとの数

の株式取得者の氏名 又は名称

株式会社が前条第一項の承認をしない旨の決定をする場合において、当該株式会社 又は第百四十条第四項に規定する指定買取人がの譲渡制限株式を買い取ることを請求するときは、その旨

1項

株式会社が第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をするか否かの決定をするには、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。


ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

2項

株式会社は、前項の決定をしたときは、譲渡等承認請求をした者(以下 この款において「譲渡等承認請求者」という。)に対し、当該決定の内容を通知しなければならない。

1項

株式会社は、第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求を受けた場合において、第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をしない旨の決定をしたときは、当該譲渡等承認請求に係る譲渡制限株式(以下 この款において「対象株式」という。)を買い取らなければならない。


この場合においては、次に掲げる事項を定めなければならない。

一 号
対象株式を買い取る旨
二 号

株式会社が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類 及び種類ごとの数

2項

前項各号に掲げる事項の決定は、株主総会の決議によらなければならない。

3項

譲渡等承認請求者は、前項の株主総会において議決権を行使することができない


ただし、当該譲渡等承認請求者以外の株主の全部が同項の株主総会において議決権を行使することができない場合は、この限りでない。

4項

第一項の規定にかかわらず同項に規定する場合には、株式会社は、対象株式の全部 又は一部を買い取る者(以下 この款において「指定買取人」という。)を指定することができる

5項

前項の規定による指定は、株主総会(取締役会設置会社にあっては、取締役会)の決議によらなければならない。


ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

1項

株式会社は、前条第一項各号に掲げる事項を決定したときは、譲渡等承認請求者に対し、これらの事項を通知しなければならない。

2項

株式会社は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額(一株当たりの純資産額として法務省令で定める方法により算定される額をいう。以下同じ。)に前条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をその本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。

3項

対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に、前条第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。


この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、当該株券発行会社に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。

4項

前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、株券発行会社は、前条第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。

1項

指定買取人は、第百四十条第四項の規定による指定を受けたときは、譲渡等承認請求者に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。

一 号
指定買取人として指定を受けた旨
二 号

指定買取人が買い取る対象株式の数(種類株式発行会社にあっては、対象株式の種類 及び種類ごとの数

2項

指定買取人は、前項の規定による通知をしようとするときは、一株当たり純資産額に同項第二号の対象株式の数を乗じて得た額を株式会社の本店の所在地の供託所に供託し、かつ、当該供託を証する書面を譲渡等承認請求者に交付しなければならない。

3項

対象株式が株券発行会社の株式である場合には、前項の書面の交付を受けた譲渡等承認請求者は、当該交付を受けた日から一週間以内に第一項第二号の対象株式に係る株券を当該株券発行会社の本店の所在地の供託所に供託しなければならない。


この場合においては、当該譲渡等承認請求者は、指定買取人に対し、遅滞なく、当該供託をした旨を通知しなければならない。

4項

前項の譲渡等承認請求者が同項の期間内に同項の規定による供託をしなかったときは、指定買取人は、第一項第二号の対象株式の売買契約を解除することができる。

1項

第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、第百四十一条第一項の規定による通知を受けた後は、株式会社の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。

2項

第百三十八条第一号ハ 又は第二号ハの請求をした譲渡等承認請求者は、前条第一項の規定による通知を受けた後は、指定買取人の承諾を得た場合に限り、その請求を撤回することができる。

1項

第百四十一条第一項の規定による通知があった場合には、第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格は、株式会社と譲渡等承認請求者との協議によって定める。

2項

株式会社 又は譲渡等承認請求者は、第百四十一条第一項の規定による通知があった日から二十日以内に、裁判所に対し、売買価格の決定の申立てをすることができる。

3項

裁判所は、前項の決定をするには、譲渡等承認請求の時における株式会社の資産状態 その他一切の事情を考慮しなければならない。

4項

第一項の規定にかかわらず第二項の期間内に同項の申立てがあったときは、当該申立てにより裁判所が定めた額をもって第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格とする。

5項

第一項の規定にかかわらず第二項の期間内に同項の申立てがないとき(当該期間内に第一項の協議が調った場合を除く)は、一株当たり純資産額に第百四十条第一項第二号の対象株式の数を乗じて得た額をもって当該対象株式の売買価格とする。

6項

第百四十一条第二項の規定による供託をした場合において、第百四十条第一項第二号の対象株式の売買価格が確定したときは、株式会社は、供託した金銭に相当する額を限度として、売買代金の全部 又は一部を支払ったものとみなす。

7項

前各項の規定は、
第百四十二条第一項の規定による通知があった場合について準用する。


この場合において、

第一項
第百四十条第一項第二号」とあるのは
第百四十二条第一項第二号」と、

株式会社」とあるのは
「指定買取人」と、

第二項
株式会社」とあるのは
「指定買取人」と、

第四項 及び第五項
第百四十条第一項第二号」とあるのは
第百四十二条第一項第二号」と、

前項
第百四十一条第二項」とあるのは
第百四十二条第二項」と、

第百四十条第一項第二号」とあるのは
同条第一項第二号」と、

株式会社」とあるのは
「指定買取人」と

読み替えるものとする。

1項

次に掲げる場合には、株式会社は、第百三十六条 又は第百三十七条第一項の承認をする旨の決定をしたものとみなす。


ただし、株式会社と譲渡等承認請求者との合意により別段の定めをしたときは、この限りでない。

一 号

株式会社が第百三十六条 又は第百三十七条第一項の規定による請求の日から二週間これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間以内第百三十九条第二項の規定による通知をしなかった場合

二 号

株式会社が第百三十九条第二項の規定による通知の日から四十日これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間以内第百四十一条第一項の規定による通知をしなかった場合(指定買取人が第百三十九条第二項の規定による通知の日から十日これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間以内第百四十二条第一項の規定による通知をした場合を除く

三 号

前二号に掲げる場合のほか、法務省令で定める場合