会社法

# 平成十七年法律第八十六号 #

第二節 業務を執行する社員

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和五年六月十四日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号による改正
最終編集日 : 2024年 10月13日 07時55分


1項

業務を執行する社員は、善良な管理者の注意をもって、その職務を行う義務を負う。

2項

業務を執行する社員は、法令 及び定款を遵守し、持分会社のため忠実にその職務を行わなければならない。

3項

業務を執行する社員は、持分会社 又は他の社員の請求があるときは、いつでも その職務の執行の状況を報告し、その職務が終了した後は、遅滞なくその経過 及び結果を報告しなければならない。

4項

民法第六百四十六条から第六百五十条までの規定は、業務を執行する社員と持分会社との関係について準用する。


この場合において、

同法第六百四十六条第一項第六百四十八条第二項第六百四十八条の二第六百四十九条 及び第六百五十条
委任事務」とあるのは
「その職務」と、

同法第六百四十八条第三項第一号中委任事務」とあり、及び同項第二号
委任」とあるのは
前項の職務」と

読み替えるものとする。

5項

前二項の規定は、定款で別段の定めをすることを妨げない。

1項

業務を執行する社員は、当該社員以外の社員の全員の承認を受けなければ、次に掲げる行為をしてはならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

一 号

自己 又は第三者のために持分会社の事業の部類に属する取引をすること。

二 号

持分会社の事業と 同種の事業を目的とする会社の取締役、執行役 又は業務を執行する社員となること。

2項

業務を執行する社員が前項の規定に違反して同項第一号に掲げる行為をしたときは、当該行為によって当該業務を執行する社員 又は第三者が得た利益の額は、持分会社に生じた損害の額と推定する。

1項

業務を執行する社員は、次に掲げる場合には、当該取引について当該社員以外の社員の過半数の承認を受けなければならない。


ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。

一 号

業務を執行する社員が自己 又は第三者のために持分会社と取引をしようとするとき。

二 号

持分会社が業務を執行する社員の債務を保証すること その他社員でない者との間において持分会社と当該社員との利益が相反する取引をしようとするとき。

2項

民法第百八条の規定は、前項の承認を受けた同項各号の取引については、適用しない

1項

業務を執行する社員は、その任務を怠ったときは、持分会社に対し、連帯して、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

1項

業務を執行する有限責任社員がその職務を行うについて悪意 又は重大な過失があったときは、当該有限責任社員は、連帯して、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う。

1項

法人が業務を執行する社員である場合には、当該法人は、当該業務を執行する社員の職務を行うべき者を選任し、その者の氏名 及び住所を他の社員に通知しなければならない。

2項

第五百九十三条から前条までの規定は、前項の規定により選任された社員の職務を行うべき者について準用する。

1項

業務を執行する社員は、持分会社を代表する。


ただし、他に持分会社を代表する社員 その他持分会社を代表する者を定めた場合は、この限りでない。

2項

前項本文の業務を執行する社員が二人以上ある場合には、業務を執行する社員は、各自、持分会社を代表する。

3項

持分会社は、定款 又は定款の定めに基づく 社員の互選によって、業務を執行する社員の中から持分会社を代表する社員を定めることができる。

4項

持分会社を代表する社員は、持分会社の業務に関する一切の裁判上 又は裁判外の行為をする権限を有する。

5項

前項の権限に加えた制限は、善意の第三者に対抗することができない

1項

持分会社は、持分会社を代表する社員 その他の代表者がその職務を行うについて第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。

1項

第五百九十九条第四項の規定にかかわらず、持分会社が社員に対し、又は社員が持分会社に対して訴えを提起する場合において、当該訴えについて持分会社を代表する者(当該社員を除く)が存しないときは、当該社員以外の社員の過半数をもって、当該訴えについて持分会社を代表する者を定めることができる。

1項

第五百九十九条第一項の規定にかかわらず、社員が持分会社に対して社員の責任を追及する訴えの提起を請求した場合において、持分会社が当該請求の日から六十日以内に当該訴えを提起しないときは、当該請求をした社員は、当該訴えについて持分会社を代表することができる。


ただし、当該訴えが当該社員 若しくは第三者の不正な利益を図り又は当該持分会社に損害を加えることを目的とする場合は、この限りでない。