労働安全衛生法

# 昭和四十七年法律第五十七号 #
略称 : 保安四法  安衛法  労安衛法 

第七章 健康の保持増進のための措置

分類 法律
カテゴリ   労働
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 05月08日 10時02分


1項

事業者は、有害な業務を行う屋内作業場 その他の作業場で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、必要な作業環境測定を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。

2項

前項の規定による作業環境測定は、厚生労働大臣の定める作業環境測定基準に従つて行わなければならない。

3項

厚生労働大臣は、第一項の規定による作業環境測定の適切かつ有効な実施を図るため必要な作業環境測定指針を公表するものとする。

4項

厚生労働大臣は、前項の作業環境測定指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者 若しくは作業環境測定機関 又はこれらの団体に対し、当該作業環境測定指針に関し必要な指導等を行うことができる。

5項

都道府県労働局長は、作業環境の改善により労働者の健康を保持する必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、作業環境測定の実施 その他必要な事項を指示することができる。

1項

事業者は、前条第一項 又は第五項の規定による作業環境測定の結果の評価に基づいて、労働者の健康を保持するため必要があると認められるときは、厚生労働省令で定めるところにより、施設 又は設備の設置 又は整備、健康診断の実施 その他の適切な措置を講じなければならない。

2項

事業者は、前項の評価を行うに当たつては、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣の定める作業環境評価基準に従つて行わなければならない。

3項

事業者は、前項の規定による作業環境測定の結果の評価を行つたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その結果を記録しておかなければならない。

1項

事業者は、労働者の健康に配慮して、労働者の従事する作業を適切に管理するように努めなければならない。

1項

事業者は、潜水業務 その他の健康障害を生ずるおそれのある業務で、厚生労働省令で定めるものに従事させる労働者については、厚生労働省令で定める作業時間についての基準に違反して、当該業務に従事させてはならない。

1項

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断(第六十六条の十第一項に規定する検査を除く。以下この条 及び次条において同じ。)を行わなければならない。

2項

事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による特別の項目についての健康診断を行なわなければならない。


有害な業務で、政令で定めるものに従事させたことのある労働者で、現に使用しているものについても、同様とする。

3項

事業者は、有害な業務で、政令で定めるものに従事する労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、歯科医師による健康診断を行なわなければならない。

4項

都道府県労働局長は、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、労働衛生指導医の意見に基づき、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対し、臨時の健康診断の実施 その他必要な事項を指示することができる。

5項

労働者は、前各項の規定により事業者が行なう健康診断を受けなければならない。


ただし、事業者の指定した医師 又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師 又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

1項

午後十時から午前五時まで厚生労働大臣が必要であると認める場合においては、その定める地域 又は期間については午後十一時から午前六時まで)の間における業務(以下「深夜業」という。)に従事する労働者であつて、その深夜業の回数 その他の事項が深夜業に従事する労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものは、厚生労働省令で定めるところにより、自ら受けた健康診断(前条第五項ただし書の規定による健康診断を除く)の結果を証明する書面を事業者に提出することができる。

1項

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第六十六条第一項から第四項まで 及び第五項ただし書 並びに前条の規定による健康診断の結果を記録しておかなければならない。

1項

事業者は、第六十六条第一項から第四項まで 若しくは第五項ただし書 又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果(当該健康診断の項目に異常の所見があると診断された労働者に係るものに限る)に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師 又は歯科医師の意見を聴かなければならない。

1項

事業者は、前条の規定による医師 又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設 又は設備の設置 又は整備、当該医師 又は歯科医師の意見の衛生委員会 若しくは安全衛生委員会 又は労働時間等設定改善委員会(労働時間等の設定の改善に関する特別措置法平成四年法律第九十号第七条に規定する労働時間等設定改善委員会をいう。以下同じ。)への報告 その他の適切な措置を講じなければならない。

2項

厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

3項

厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者 又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。

1項

事業者は、第六十六条第一項から第四項までの規定により行う健康診断を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該健康診断の結果を通知しなければならない。

1項

事業者は、第六十六条第一項の規定による健康診断 若しくは当該健康診断に係る同条第五項ただし書の規定による健康診断 又は第六十六条の二の規定による健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要があると認める労働者に対し、医師 又は保健師による保健指導を行うように努めなければならない。

2項

労働者は、前条の規定により通知された健康診断の結果 及び前項の規定による保健指導を利用して、その健康の保持に努めるものとする。

1項

事業者は、その労働時間の状況 その他の事項が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当する労働者(次条第一項に規定する者 及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く。以下この条において同じ。)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導(問診 その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うことをいう。以下同じ。)を行わなければならない。

2項

労働者は、前項の規定により事業者が行う面接指導を受けなければならない。


ただし、事業者の指定した医師が行う面接指導を受けることを希望しない場合において、他の医師の行う同項の規定による面接指導に相当する面接指導を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

3項

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、第一項 及び前項ただし書の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。

4項

事業者は、第一項 又は第二項ただし書の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。

5項

事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会 若しくは安全衛生委員会 又は労働時間等設定改善委員会への報告 その他の適切な措置を講じなければならない。

1項

事業者は、その労働時間が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超える労働者(労働基準法第三十六条第十一項に規定する業務に従事する者(同法第四十一条各号に掲げる者 及び第六十六条の八の四第一項に規定する者を除く)に限る)に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。

2項

前条第二項から第五項までの規定は、前項の事業者 及び労働者について準用する。


この場合において、

同条第五項
作業の転換」とあるのは、
「職務内容の変更、有給休暇(労働基準法第三十九条の規定による有給休暇を除く)の付与」と

読み替えるものとする。

1項

事業者は、第六十六条の八第一項 又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く)の労働時間の状況を把握しなければならない。

1項

事業者は、労働基準法第四十一条の二第一項の規定により労働する労働者であつて、その健康管理時間(同項第三号に規定する健康管理時間をいう。)が当該労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める時間を超えるものに対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。

2項

第六十六条の八第二項から第五項までの規定は、前項の事業者 及び労働者について準用する。


この場合において、

同条第五項
就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等」とあるのは、
「職務内容の変更、有給休暇(労働基準法第三十九条の規定による有給休暇を除く)の付与、健康管理時間(第六十六条の八の四第一項に規定する健康管理時間をいう。)が短縮されるための配慮等」と

読み替えるものとする。

1項

事業者は、第六十六条の八第一項第六十六条の八の二第一項 又は前条第一項の規定により面接指導を行う労働者以外の労働者であつて健康への配慮が必要なものについては、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を講ずるように努めなければならない。

1項

事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師、保健師 その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「医師等」という。)による心理的な負担の程度を把握するための検査を行わなければならない。

2項

事業者は、前項の規定により行う検査を受けた労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、当該検査を行つた医師等から当該検査の結果が通知されるようにしなければならない。


この場合において、当該医師等は、あらかじめ当該検査を受けた労働者の同意を得ないで、当該労働者の検査の結果を事業者に提供してはならない。

3項

事業者は、前項の規定による通知を受けた労働者であつて、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持を考慮して厚生労働省令で定める要件に該当するものが医師による面接指導を受けることを希望する旨を申し出たときは、当該申出をした労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による面接指導を行わなければならない。


この場合において、事業者は、労働者が当該申出をしたことを理由として、当該労働者に対し、不利益な取扱いをしてはならない。

4項

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の規定による面接指導の結果を記録しておかなければならない。

5項

事業者は、第三項の規定による面接指導の結果に基づき、当該労働者の健康を保持するために必要な措置について、厚生労働省令で定めるところにより、医師の意見を聴かなければならない。

6項

事業者は、前項の規定による医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、当該医師の意見の衛生委員会 若しくは安全衛生委員会 又は労働時間等設定改善委員会への報告 その他の適切な措置を講じなければならない。

7項

厚生労働大臣は、前項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

8項

厚生労働大臣は、前項の指針を公表した場合において必要があると認めるときは、事業者 又はその団体に対し、当該指針に関し必要な指導等を行うことができる。

9項

国は、心理的な負担の程度が労働者の健康の保持に及ぼす影響に関する医師等に対する研修を実施するよう努めるとともに、第二項の規定により通知された検査の結果を利用する労働者に対する健康相談の実施 その他の当該労働者の健康の保持増進を図ることを促進するための措置を講ずるよう努めるものとする。

1項

都道府県労働局長は、がん その他の重度の健康障害を生ずるおそれのある業務で、政令で定めるものに従事していた者のうち、厚生労働省令で定める要件に該当する者に対し、離職の際に又は離職の後に、当該業務に係る健康管理手帳を交付するものとする。


ただし、現に当該業務に係る健康管理手帳を所持している者については、この限りでない。

2項

政府は、健康管理手帳を所持している者に対する健康診断に関し、厚生労働省令で定めるところにより、必要な措置を行なう。

3項

健康管理手帳の交付を受けた者は、当該健康管理手帳を他人に譲渡し、又は貸与してはならない。

4項

健康管理手帳の様式 その他健康管理手帳について必要な事項は、厚生労働省令で定める。

1項

事業者は、伝染性の疾病 その他の疾病で、厚生労働省令で定めるものにかかつた労働者については、厚生労働省令で定めるところにより、その就業を禁止しなければならない。

1項

事業者は、室内 又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙健康増進法平成十四年法律第百三号第二十八条第三号に規定する受動喫煙をいう。第七十一条第一項において同じ。)を防止するため、当該事業者 及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

1項

事業者は、労働者に対する健康教育 及び健康相談 その他労働者の健康の保持増進を図るため必要な措置を継続的かつ計画的に講ずるように努めなければならない。

2項

労働者は、前項の事業者が講ずる措置を利用して、その健康の保持増進に努めるものとする。

1項

事業者は、前条第一項に定めるもののほか、労働者の健康の保持増進を図るため、体育活動、レクリエーション その他の活動についての便宜を供与する等 必要な措置を講ずるように努めなければならない。

1項

厚生労働大臣は、第六十九条第一項の事業者が講ずべき健康の保持増進のための措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

2項

厚生労働大臣は、前項の指針に従い、事業者 又はその団体に対し、必要な指導等を行うことができる。

1項

第六十六条第一項の厚生労働省令、第六十六条の五第二項の指針、第六十六条の六の厚生労働省令 及び前条第一項の指針は、健康増進法第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

1項

国は、労働者の健康の保持増進に関する措置の適切かつ有効な実施を図るため、必要な資料の提供、作業環境測定 及び健康診断の実施の促進、受動喫煙の防止のための設備の設置の促進、事業場における健康教育等に関する指導員の確保 及び資質の向上の促進 その他の必要な援助に努めるものとする。

2項

国は、前項の援助を行うに当たつては、中小企業者に対し、特別の配慮をするものとする。