地すべり等防止法

# 昭和三十三年法律第三十号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   災害対策
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十四号による改正
最終編集日 : 2024年 09月10日 15時57分


1項

この法律は、地すべり及びぼた山の崩壊による被害を除却し、又は軽減するため、地すべり及びぼた山の崩壊を防止し、もつて国土の保全と民生の安定に資することを目的とする。

1項

この法律において「地すべり」とは、土地の一部が地下水等に起因してすべる現象 又はこれに伴つて移動する現象をいう。

2項

この法律において「ぼた山」とは、石炭 又は亜炭に係る捨石が集積されてできた山であつて、この法律の施行の際現に存するものをいい、鉱山保安法 及び経済産業省設置法の一部を改正する法律平成十六年法律第九十四号)第一条の規定による改正前鉱山保安法昭和二十四年法律第七十号)第四条 又は第二十六条の規定により鉱業権者 又は鉱業権者とみなされる者がこの法律の施行の際必要な措置を講ずべきであつたものを除くものとする。

3項

この法律において「地すべり防止施設」とは、次条の規定により指定される地すべり防止区域内にある排水施設、擁壁、ダム その他の地すべりを防止するための施設をいう。

4項

この法律において「地すべり防止工事」とは、地すべり防止施設の新設、改良 その他次条の規定により指定される地すべり防止区域内における地すべりを防止するための工事をいう。

1項

主務大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事の意見をきいて、地すべり区域(地すべりしている区域 又は地すべりするおそれのきわめて大きい区域をいう。以下同じ。)及びこれに隣接する地域のうち地すべり区域の地すべりを助長し、若しくは誘発し、又は助長し、若しくは誘発するおそれのきわめて大きいもの(以下これらを「地すべり地域」と総称する。)であつて、公共の利害に密接な関連を有するものを地すべり防止区域として指定することができる。

2項

前項の指定は、この法律の目的を達成するため必要な最小限度のものでなければならない。

3項

主務大臣は、第一項の指定をするときは、主務省令で定めるところにより、当該地すべり防止区域を告示するとともに、その旨を関係都道府県知事に通知しなければならない。


これを廃止するときも、同様とする。

4項

地すべり防止区域の指定 又は廃止は、前項の告示によつてその効力を生ずる。

1項
主務大臣は、この法律の目的を達成するため必要があると認めるときは、関係都道府県知事の意見をきいて、ぼた山の存する区域であつて、公共の利害に密接な関連を有するものをぼた山崩壊防止区域として指定することができる。
2項

前条第二項から第四項までの規定は、前項の指定について準用する。


この場合において、

同条第三項
当該地すべり防止区域」とあるのは
「当該ぼた山崩壊防止区域」と、

同条第四項
地すべり防止区域」とあるのは
「ぼた山崩壊防止区域」と

読み替えるものとする。

1項

第三条第一項の指定は、必要に応じ、当該地すべり地域に関し、地形、地質、降水、地表水 若しくは地下水 又は土地の滑動状況に関する現地調査をして行うものとする。

1項

主務大臣 又はその命を受けた職員 若しくはその委任を受けた者は、前条の調査のためやむを得ない必要があるときは、他人の占有する土地に立ち入り、又は特別の用途のない他人の土地を材料置場 若しくは作業場として一時使用することができる。

2項

前項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとするときは、あらかじめ当該土地の占有者にその旨を通知しなければならない。


ただし、あらかじめ通知することが困難であるときは、この限りでない。

3項

第一項の規定により宅地 又はかき、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとするときは、立入の際あらかじめその旨を当該土地の占有者に告げなければならない。

4項

日出前 及び日没後においては、占有者の承認があつた場合を除き前項に規定する土地に立ち入つてはならない。

5項

第一項の規定により土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

6項

第一項の規定により特別の用途のない他人の土地を材料置場 又は作業場として一時使用しようとするときは、あらかじめ、当該土地の占有者 及び所有者に通知して、その者の意見をきかなければならない。

7項

土地の占有者 又は所有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入 又は一時使用を拒み、又は妨げてはならない。

8項

国は、第一項の規定による立入 又は一時使用により損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

9項

前項の規定による損失の補償については、国と損失を受けた者とが協議しなければならない。

10項

前項の規定による協議が成立しない場合においては、国は、自己の見積つた金額を損失を受けた者に支払わなければならない。


この場合において、当該金額について不服がある者は、政令で定めるところにより、補償金の支払を受けた日から三十日以内に収用委員会に土地収用法昭和二十六年法律第二百十九号第九十四条の規定による裁決を申請することができる。

11項

第五項の規定による証明書の様式 その他証明書に関し必要な事項は、主務省令で定める。